第19話 少年たちの諦める気が皆無なんだがぁ?
⑲
「【ライト】!」
うん、やっぱり異様に物覚えがいいねぇ。
ジョブやスキルの補助もなしに、今日だけで基本属性の基本魔法は全部使えるようになっちゃったよ。
まだ魔力回路を使った方法は無理だけど、そっちは座学で少しずつ進めておけばいいかねぇ。
とりあえず、詠唱ありで最下級魔法まで一通り教えて、得意不得意を見極める感じだねぇ。
「うん、いい感じですねぇ。詠唱ありの基本魔法はこれで全部です。キリもいいですし、今日はここまでにしましょうか」
「あ、ありがとうございました!」
いやぁ、それなりに詰め込んだかなぁって思ってたんだけど、大丈夫だったねぇ。
こういう子は教えてても楽しいからいいねぇ。
ていうかフィアが動いた気配がなかったんだけど、まだ少年たちはいるってことだよねぇ?
「そういえば、リリアといい、少年たちといい、村人はけっこう気軽に森に入るのかい?」
「うっ、い、いえ、入り口の辺りまでですね。戦闘ジョブの大人でもここら辺までは滅多に来ません。昔は成人の儀式で森の奥に向かうこともあるんですが……」
成人の儀式ねぇ?
そういえばそんなクエストあった気がするかもしれないねぇ?
まぁ、なくなったのは森の奥のモンスターが浅いあたりにも出てくるようになったからだろうねぇ。
「とりあえず、上に戻ろうか。レイ君たちもまだいるっぽいし、一緒に送っていくねぇ」
「はい、ありがとうございます!」
――おや、少し長引いたかねぇ。
もうすぐ夕飯時ってくらいかと思ったけど、もう夕焼けだ。
「ほら、少年たち。もう夕飯の時間だよ。リリアと一緒に送って行くから、君たちも帰りなさい」
「ちぇー……」
「仕方ねぇなぁ……」
「えっと、すみません……」
意外と聞き分けがいいねぇ。
ミクって子は流されて付き合ってる感じかねぇ?
「フィア、彼らは何を?」
「にゃ」
ふむふむ、なんか武器振ってたって、素振りかな?
やっぱりちゃんと熱意はあるんだねぇ。
いやまぁ、命がかかってるから当然かもしれないけど。
とはいえ、やっぱりめんどくさいから僕ぁ弟子にする気はないねぇ。
一応アドバンスジョブまでは近接ジョブもカンストさせてあるけど。
それはそれ、これはこれ。
とにかくさっさと村まで送ってしまおうか。
「――今日もいるねぇ……?」
「にゃぁん……」
「んにゃぁ?」
彼ら、あれからほとんど毎日来てるねぇ。
今日はリリアの授業もないのに。
下で素振りしたりなんなりして時間を潰してるようだけど、根競べのつもりなのかねぇ?
「コペン、何がダメかって、あの子たちがこの森に入るのは命がけなんだよ。ゴブリンにも勝てるか怪しいくらいだからねぇ」
「んにゃっ!?」
「あっ、ちょっと!」
あー、行っちゃった。
足元すりすり羨ましい……、ではなくて。
コペンはたまに少年たちと遊んでるし、彼なりに気遣ってるのかねぇ?
「なーおっさん! いい加減弟子にしてくれよ!」
「嫌です。それよりもう君たちだけで森のこんなところまで入ったらダメだと言ってるでしょう」
「ケチ!」
このやり取りももう何回目かねぇ。
「それよりほら、これあげるから、今日はもう帰りなさい」
「よっしゃ、おっさんの串焼きだ!」
「いただきまーす!」
「仕方ねぇから帰ってやるよ!」
ふぅ、今日も上手くいった。
しかしこれ、逆に彼らがうちに来る理由になってる気もするんだよねぇ。
とりあえず村まではフィアとコペンにお願いして、僕は夕ご飯何作るか考えようかねぇ。
えーっと、野菜は、まだ貰った分がいくらかあるね。
魚がそろそろ無くなりそう。
まあ、おやつにたくさんあげてるからねぇ。
それからお肉。
これが、大量。
しかも日ごとに増えていく。
「どうしようかねぇ……」
これ、使いきれる気がしないねぇ。
もう魚は僕が食べる分だけにして、フィアたちのおやつはお肉だけにしようか。
彼らも肉の方が好きみたいだし。
でも焼いただけとか、生でそのままだとかで出そうと文句言われるんだよねぇ。
神獣の肉球ぺしぺしはさすがにご褒美じゃないんだ。
ちゃんとダメージ入ってるからねぇ……。
「そういえば、ベーコンって作ったことないねぇ?」
一応、いつか作ろうと思って作り方は調べた。
ゲーム内で試作しようとしてメモも残してたし、ストレージを漁ればあるはず。
……ああ、あったあった、これだねぇ。
「作れるねぇ、ベーコン」
作っちゃおうか。
よし、作ろう!
これならそのままだしても文句はないでしょ。
夕飯は、ベーコン作りながら考えたらいいかなぁ。
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