第13話 要塞並の防壁ができちゃったんだがぁ?
⑬
「えっと、防壁、ですかねぇ?」
「領主様の城でもここまでではなかったと思うが……」
まあ、ちょっと、楽しくなってしまったのは否定できないねぇ。
途中から村人たちも集まってきてちょっとした騒ぎになってたし。
ほら、リリアちゃんのご両親もはわわしてるよ。
リリアちゃんのキラキラした目が逆に辛いねぇ……。
「一応、案内しておきます?」
「ああ、うん、頼みたい」
まぁ、作ってしまったものは仕方ないからねぇ。
そのせいで夕方までかかっちゃったんだけど。
とにかく、しっかり案内して事故防止だよ。
「じゃあまず、壁そのものですね。こちら、高さ三十メートル、厚さ二十メートルに石材を積み上げたもので、外側にはオリハルコンとヒヒイロカネに少しミスリルを混ぜた合金板が貼り付けてあります」
「オリ、ヒヒイロ……?」
うん、そうだよねぇ。
ここら辺じゃ、おとぎ話くらいでしか聞かない名前だよねぇ。
王都クラスのの街の防壁でもこのレベルを使ってるところはあまり無いし。
最初の構想より大きくなってるのはご愛敬だねぇ。
「合金板には自動修繕の付与がしてあるので、メンテナンスは必要ありません。その動力も自然魔力を吸収してまかなっているので、皆さんに確保していただく必要もありません」「な、なるほど?」
「その他、付与してある常設結界各種も同様です。ただ、緊急時用の攻勢結界、外側からの攻撃に反応して自動的に魔法で反撃するものですね」
結界は全部、ちゃんと空まであるやつだから安心だねぇ。
「こちらは別途で追加供給が必要なので、魔石をある程度確保しておく必要があります。初回分はこちらで充填しておいたので、ゆっくり貯めてもらえたら」
計測してみたら、このあたり、妙に空気中の魔力量が多かったんだよねぇ。
おかげで色々盛り込めたよ。
緊急時用の魔石も想定より少なくて済みそうだし。
おっと、頭がパンクしてそうな顔してるねぇ。
「まあ、基本何もすることはなくて、ゴブリンの魔石を十個くらいストックしておいたら、十分くらいは勝手に反撃してくれるって感じです」
「ほう!」
ゴブリンの魔石なんて、くず魔石も良いところだからね。
それで十分なら、かなりコスパ良し。大した負担にはならないでしょう。
「耐久面だと、フォレストオーガジェネラルの攻撃にも十分耐えられます。中位のドラゴン相手でもしばらくは耐えられますね」
「ドラゴン……?」
ざわざわっと。
良い反応だねぇ。
「石の部分だけは定期的にメンテナンスが必要ですが、中が空洞になっているので、そちらからお願いします。この空洞は地下部分まであって、倉庫にも避難所にもなるので、好きに使ってください」
「それくらいなら我々でもどうにかなるな」
「壁そのものに関してはこんなところですね。中に入りましょう」
なんか村人たちもぞろぞろ付いてきてるけど、まぁ大丈夫でしょう。
避難所にもできる想定で作ってるからねぇ。
「思ったより広いな」
「食料の備蓄が出来るように、地下部分には冷凍蔵があります。寝具などは改めて用意してもらう必要がありますが、それさえもちこめば、暮らすにも十分かと」
「うおっ、水が出たぞ!?」
「これ! 勝手に触るでない!」
「まあ、水もそういう感じです。普段使っておられる井戸などには影響でないようにはなってるので、ご安心を」
地下水をくみ上げて処理したり、排泄物を魔法的に処理したりしてるんだけど、まあ仕組みは分からなくていいでしょ。
この場合のユーザーには使えるってことが大事。
この辺も自然魔力で十分賄えてるんだよねぇ。
なんでこんなに多いのやら。
僕が植えた小世界樹のせい、にしては影響が出るの早すぎるしねぇ?
「階段はこちらです。一応、十階分とれる高さはあるんですが、もろもろ運びやすいように六階建てです。貨物用の魔導エレベーターもあるので、詰めたら三十人くらいは一気に移動ができますね」
「ほう。それは助かるが……。もう驚くのも疲れてきたな」
「ははは」
愛想笑いって便利だねぇ。
エレベーターに関してはメンテナンスが必要かもだけど、しばらくは僕もここの森に住んでるだろうし、何かあれば呼んでもらおうかねぇ。
「二階から四階はここと同じ作りですから、説明は省きます。エレベーターで六階まで行ってしまいましょう。エレベーターは一定間隔で一台ずつ、計三台あります。この人数なら、一台でなんとか行けますね」
ちょっと狭いだろうけど、そこは我慢してもらおうかねぇ。
僕も階段は嫌だし。
そんなにかからないから平気平気。
次は、防衛設備周りの紹介だねぇ。
兵器は特にちゃんと説明しないとねぇ。
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