苦しみの中に幸せがあって、それはずっとあるものではないのかもしれません

 登場人物みんな抱えている物があって、読んでいると、ダイレクトにその苦しみが伝わってきて、どんよりと心を重くしていきました。とてもよかったです。

 それで、読み終えた後、彼らの幸せは何だったのか、ずっと考えています。苦しみの中で生きているのなら、この物語に繋がるまで、生きながらえさせる何かが彼らの中にあって、ずっと守って来たんだろうなと勝手な想像をしています。

 誰かを悲しませたくなかったのか、
 誰かの期待に応えたかったのか、
 死ぬのが怖いから生きてきただけなのか、
 みんなが生きているから生きるものだと思っていただけなのか、

 その以外なのか。

 生きている中で幸せを感じられる瞬間があったのは確かでしょう。
 その瞬間が人生で一番幸せだったとしたら、その幸せがもう来ない未来がわかっていて、未来を望むべきものなのでしょうか。
 未来を生きたいと思うのでしょうか。

 そんなことを考えていました。
 素敵な作品でした。