第141話 ゲーム配信 ― 再び、戦場へ

 配信タイトルは、たった一言だった。


【夜宵アリア】 #初ゲーム配信


 待機所はすでに満員。コメント欄は、まるで開戦前のチャットのようにざわめいていた。


【コメント】

リスナーA:ついにこの時が……!

リスナーB:歌姫が戦場に降り立つ日w

リスナーC:ゲームやるって言ってたけど、どんなジャンルだ?

リスナーD:声と雰囲気のギャップがやばそう


 BGMが切り替わり、画面が暗転。

 次の瞬間、夜宵アリアの声が流れた。


「こんばんは、夜宵アリアです。

 今日は、ちょっとだけ……遊びに来ました。」


 “ちょっとだけ”――そう言って始まったその配信が、

 この日のトレンドをすべて塗り替えることになるとは、

 誰もまだ知らなかった。


開幕 ― 選んだゲーム


 選ばれたタイトルは、人気MOBA系のオンライン対戦ゲーム。

 5対5のチーム戦で、戦略と連携がすべてを決める。


 初めてプレイするはずのアリア。

 しかし、その操作は最初から迷いがなかった。


「移動は……クリックで。

 スキルはQ、W、E、R……サモナースペルがDとF。ふむ。」


 まるで、何度も触れてきたかのような指の動き。


序盤 ― 静かな連携


 開始から3分。

 仲間が仕掛けようとしたタイミングを、ピンひとつで止める。


「まだ、早い。」


 その一言で味方が動きを止め、敵の奇襲を完璧にかわした。


【コメント】

リスナーA:え、判断早すぎない!?

リスナーB:味方も動き合ってる!?

リスナーC:初プレイって言ってたよね?


中盤 ― 反撃の一瞬


 敵チームの強襲。味方が崩れる。

 だがアリアは動じない。

 わずかにマップを見て、静かに呟いた。


「……右、来る。」


 その声と同時に、視界外からスキルを放つ。

 的確に敵の位置を予測し、反撃の起点を作った。


【コメント】

リスナーA:え、今の読み完璧すぎ!

リスナーB:これ……“初心者”の動きじゃないよね!?

リスナーC:なんか怖いほど冷静だ……。


終盤 ― 戦場の支配


 チームが前線を押し上げる。

 アリアは支援キャラでありながら、全体を見ていた。


「ここ、寄って。」

「待って、いまじゃない。」


 わずかな指示だけで、味方全員の動きが噛み合う。

 敵はそのたびに崩壊していった。


【システムログ】

《勝利》


【コメント】

リスナーA:やばい……こんな初配信ある!?

リスナーB:戦場を支配してた……。

リスナーC:“夜宵アリア”って名前、もうブランドだわ。


配信のあと


 配信を終えたあと、静かな控室。

 モニターの光を見つめながら、アリアは小さく呟く。


「……やっぱり、戦うのは好きだな。」


【ステータスボード:夜宵アリア】


反応速度:MAX(固定)

戦術理解Lv:6

キャラ操作精度:9

空間認識力:8 → 9

感覚統合:Lv2 → Lv3

表現力:Lv3

トーク力:Lv2

発信影響力:Lv2 → Lv3


“夜宵アリア――声で魅せ、戦いで魅了する。”

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