第6話 予想は外れる
「あら…ごめんなさ〜い」
そう言って恵さんはドアを閉めていった。というかラブコメしすぎじゃない?こんな展開見たことあるよね。ちなみに僕はオタクではない。すこーしだけラノベを読むような人間である。決してオタクではない。この先の展開を僕のラブコメ知識で予想すると、僕があげた時すみれは頬を真っ赤にして恥ずかしがるだろう。親に自分のそんな姿見られて恥ずかしがらないはずがない。というわけで僕は顔を上げてみる。
「すみれ?」
『……♪』
すみれは前から僕を包み込んでくる。あー、うん予想通りいかないなー。すみれを見ると恥ずかしいなんて気持ちなさそうに幸せそうに目を細めて口角を上げている。…すみれっていい匂いするんだな〜。なんの匂いだろう。お花系?いや桃みたいな甘い匂いかも。いやいや変態みたいじゃん、これはいくらなんでもダメだよな。
もうこんな時間か、そろそろ帰らないと…。すみれと正面からハグをしながら視界に入る時計を見てそう思った。僕はすみれから離れて
『じゃあそろそろ帰らないとだから』
『……やだ』
何その返し可愛すぎるんだが。そう思って少しの時間だけ僕の方からハグをしてみる。そうするとすみれは少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに嬉しそうな表情を浮かべた。その顔からは本当に音符が出ているように幸せそうだった。
『じゃあな』
そう言って玄関で別れようとする。いつもはすみれの部屋でさよならするのだが今日は玄関までついてくると言ってくれた。ちょっと嬉しい、いやかなり嬉しい。
『……』
すみれは少し名残惜しそうに僕に手を振ってくれる。
僕は玄関を出ると、自分の口角が上がっていることに気づいた。
「やば、このまま帰ったら母さんになんか言われるかも」
そう呟いて上がってしまった口角を手で下に戻すのだった。
帰り道に僕は考える。
「もしかしてすみれは僕のことをすき…?」
いやそんなことはない10年分甘えるって言っても10年僕がすみれの言ってることを理解しなかった反動で、この甘えは友達に向けられるものだろう。きっとそうだ…と思い込むがそうでなければいいのにと思う僕の気持ちもたしかにそこにあった。そんなことを考えるうちに家に着く。あれ、いつもよりも帰る時間遅れてるな。その後家に入るとやっぱり口角が上がるのを抑えきれてなかったらしく、からかってくるかあさんから逃げるのであった。
⭐︎⭐︎
翌日、今僕は学校にいる。僕の通う高校はそこそこ頭が良く、勉強についていくのが正直精一杯である。一限が終わるチャイムがなり休み時間になったことで僕は机に突っ伏す。勉強も大変だが昨日のことを思い出してあまり寝れなかったのが原因だと思う。
「どしたの悠也」
「どうもしてないだろ」
かれんに話しかけられた。かれんがモテるというのもあるがクラスの男子からの視線が痛い、ちょっと殺気まで感じる。
「悠也が元気ないのはいつもだけどどれにしても疲れてない?なんかあったの?」
「いや、なんもない、ぞ」
「ふーん、そっか」
そう言って自分の席に戻るかれんはすぐに女子に囲まれる。相変わらず女子からも人気あるなぁ。今日のポーカーフェイスは自分でも自信がある。きっと本当に何にもないと思ったのだろう。
放課後、いつも通りにかれんに尋ねる。
「今日も行くだろ、すみれの家」
「あーごめん今日は撮影あるんだよね」
「そっか、わかった、1人で行くわ」
「うん」
珍しいなすみれのうちに行く時に仕事は入れたことなかったと思うんだけど…
まあその方がすみれも甘えやすいか。ちょうどいいかも
*******
次回、初のかれん視点の話書く予定です。お楽しみに!
初心者の僕に応援やフォローしていただきありがとうございます。引き続き頑張りますのでぜひ☆☆☆を★★★にしてこの作品を広めてください!
新作出しました!タイトルは「隣のお嬢様が庶民的すぎる」です。ほのぼの系で書いてます。是非チェックお願いします!!
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