第3話 最強と最弱
昔の話も終わったところで今僕たちはトランプをしているところだ。すみれの家に来る時はこんな感じでボードゲームをすることが多い。
「さあ、来い」
「……」
そしてなぜだかわからないがすみれはこういう心理戦が最強なのである。現在は僕とすみれの1対1である。ん?かれんはどうしたかって?あいつは手札をもらった時点で全て揃うとかいう意味のわからない運の良さをして1位抜けした。逆にそうでもしないとすみれには勝てないのである。すみれは僕の2枚のカードを交互に触りながら僕の顔色を窺っている。正直言ってすみれみたいな美少女から顔をガン見されるのは恥ずかしいのだが僕も勝ちたいのでポーカーフェイスを貫こうと頑張っている。
「……」
「さぁな」
こっち?と言わんばかりに首を傾げるすみれに僕は無表情を貫いて対応をする。いちいち可愛いなこいつは。その瞬間にすみれが左のカードを引いた。そのカードはスペードの1ですみれの勝ちになった。
「まいりました」
と頭を下げる僕にすみれはえっへんと言いたいのか胸を張る
「すみれが強いのはわかるんだけど、悠也弱すぎじゃない?全部顔に出てるよ」
「嘘だろ、ポーカーフェイスを貫いていたつもりだったんだが」
「こっちが嘘だろって言いたいわ、ジョーカーに触れてる時だけ眉がよってるし…本当に隠す気ある?」
そう僕は心理戦にめっぽう弱いのである。今月のババ抜きの戦績は32戦28敗今月は特に弱くワースト記録を更新しそうなのである。ちなみにワーストは86戦82敗である。僕がまた負けて肩を落としているとすみれが肩を叩いて励ましてくれる。
「ありがとなすみれ」
その言葉が彼女に伝わったのかすみれはにっこりと笑顔になる。そしてまた肩を優しくトントンとしてきた
「……」
すみれはよくこうやって僕に手話で話しかけてくる。多分僕が手話を分からないのを知っているのに。
「なんだおやつが欲しいのか?ほらクッキーだ」
「……」
そう言ってクッキーを彼女の手に置くとフルフルと首を横に振る、そして頬を餌を含んだリスのように膨らませて、不満の意思を示す。かわいい、そう思ってしまう自分がいる。こうやって手話で話してくるのはいつものことであんまり気にしたことがない。すみれも僕が手話をわからないのを多分わかっているので僕に対しての抗議なんかをを言っているのだろう。そう思ってた。
「「お邪魔しました」」
「はい、またいつでもきてね」
「「はい」」
「じゃあ、またな」
「すみれ、じゃあね」
2人で手を振るとすみれも手を振ってくれる。そうして帰り道を2人で歩く。
「すみれは手話でなんていってるんだろうね?」
「僕への悪口じゃない?」
「それはあるかも」
「いやないって言ってくれよ」
「不満なんていくらでもあるでしょ、特にすみれは直接伝えられないんだからさ」
「まぁ確かに」
そう言って家に帰る。
「ただいま」
「おかえり」
そう言って台所に立つセミロングくらいの髪を持つ女性はのは僕の母の秋山薫だ。優しい母親であり僕のことを大切にしてくれるそんな自慢の母親である。ちなみに年は32だったかな?恵さんほどじゃないけどそこそこいい顔をしていると思う。
「そういえば、今日面白そうなチラシがポストに入ってたんだよ。これこれ〜」
そう言ってリビングでテレビを見る僕の元に来る。
「手話教室?」
「そうそう。すみれちゃんも手話使うでしょ?ならあんたのためにもなるかなって…それに無料で受けれるっぽいし…」
「そっちがメインだろ」
「ぎくぅ、でもためになのは事実でしょ。」
「まぁたしかに」
「行ってきたら?カレンちゃんも誘って」
「いやかれんは仕事で忙しいから1人で行く」
かれんは仕事が忙しくてもこようとするだろうがそんな無理はさせたくない。たしかにこれでいつも何言ってるのかわかるのか。いいじゃん、行こ
「えっと来週の土曜日ね」
「あら、行く気のなったの?」
「初めから行く気だよ」
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こんにちはゆるせんです。
新作出しました!タイトルは「隣のお嬢様が庶民的すぎる」です。ほのぼの系で書いてます。是非チェックお願いします!!
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