「百合×仏教」な物語を探していて出会った作品。様々な宗派や仏尊の役割を反映したキャラクター同士の掛け合いと、元ネタがわかるとニヤニヤできる知識が美味しい和風伝奇。細かい小道具や風習に至るまで設定が練られているだけではなく、賑やかさと不穏さが絶妙に配合され、程よい緩急のある会話と地の文が自然にストーリーへ引き込んでくれました。
六花の健気さと危なっかしさ、閻魔王の仕事モードを離れた皐月の普通の少女らしさ、五大山上層部の威厳と個性……光と影の折り重なる展開が御伽草子のような世界へ誘ってくれます。キャラクターたちが生きて暮らしている気配が感じられるファンタジーが好きな方へぜひお勧めします。
〝仏教ベース〟と聞いて「小難しいのかな?」と身構えてしまった方にこそ読んでいただきたい!!
非常に親しみやすく、時間が許す限りどんどん読み進めたくなる作品です。仏教に関する事前知識がゼロのわたしでも、ノンストレスで楽しく没入していけました。
作り込みはしっかりしていながら、世界観や歴史的な背景がストーリーの中に見事に溶け込んで語られるため、設定が無意識のうちに頭の中に入ってきます。とても心地いいお話運びです。
キャラクターたちもみんな魅力的です。お人好しで心根の優しい主人公、そんな彼女を慕っているらしい謎多き閻魔王をはじめとして、素敵な女性・女の子たちがたくさん登場します。きっとあなたの〝推し〟も見つかるはず!
物語もテンポよく進んでいくと同時に、長編としての伏線や軸ががっつり設けられているため、読み応えも抜群です。
和ファンタジーや女の子キャラクターがお好きな方、おすすめです。ぜひ読んでみてください!