第2話
飛鳥に聞くと、驚くことに飛鳥も同じことを考えていた。
「交換しちゃおうか。」
「うん。しちゃおう。」
誰も居ない放課後の教室で、2人は少し照れながらお数珠の交換をした。
「お姉さまとかな?って漠然と考えていたけど、千夏以外とは考えられないもん。」
「私も、お姉さまだと思ってた。でも飛鳥が1番シックリくる。」
2人は見つめ合ってお数珠を握った両手を握り合い、オデコとオデコをコチンとしてフフフと笑った。
ばぁばにお数珠の交換をしたことを伝えると、ばぁばは目を輝かせて、
「誰?お姉さま?同級生?千夏のことだから慎重に考えたんだろうけど素敵な方?どこに住んでるのかしら?」
と、質問の嵐。
「同級生だよ。中等科から仲良し。この子しか思い浮かばなかった。」
と答えると、
「そうかい。それは素敵な出会いだね。その方を大切にするんだよ。」
ばぁばは顔をほころばせて自分のことのように喜んだ。
「ばぁばは今でもお姉さまに会いたい?」
なんとなく聞いてみた。
「お会いしたいねぇ。お元気でいらっしゃると良いねぇ。「お姉さま」って直接お呼びしたいねぇ。」
ばぁばは、少し寂しそうに遠くを見た。
「そうだ、その方のお名前は?」
ばぁばが突然聞いた。
「飛鳥だよ。」
「飛鳥さんか。良いお名前だねぇ。今度ウチに連れてらっしゃい。ばぁばに紹介しておくれ。飛鳥さんの好きなお菓子用意するから。」
ばぁばは飛鳥と会える日を想像し、子供みたいに舞い上がっていた。
学校で飛鳥にそのことを話すと、
「ウチのお婆ちゃんも喜んでたよ。千夏に会いたがってた。」
「どっちの家も一緒だね。」
2人で見つめ合い、ふふふと笑った。
「飛鳥のお婆ちゃまは、誰とお数珠の交換したの?聞いたことある?」
飛鳥にたずねると、
「下級生としか聞いてない。お数珠の交換に関して全然教えてくれない。」
「ふぅん。ウチのばぁばとは違うね。秘密にしたいのかな?」
疑問を投げかける。
「それ以外のことは話してくれるんだけど、お数珠の交換だけは話したがらない。何か辛い記憶でもあるのかな?」
「ウチのばぁばみたいに?」
飛鳥と私は、2人で首を傾けて考えた。
「私達は辛い記憶にならないようにしようね。」
飛鳥の手を握って私は言った。
「うん。ずっと繋がっていようね。」
飛鳥が手を握り返す。
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