転生したら末弟王子~王位はどうでもいいので魔術で遊びます~

@Ciel1024

第1話転生したら王子でした

魔術師になるうえで最も重要なのは魔力量、ほぼ横並びで才能、その二つと差を開けて最後に努力。これは俺がの人生で出した結論だ。


魔力量が多いというのも才能に含まれそうだが、残念ながら魔力量は一部の例外を除いて血筋に依存し、王侯貴族は生まれながらに豊富な魔力量を誇る。では彼らすべてが魔術の才能にあふれているかというとそういうわけではない。ここでいう才能とは術式への理解力、制御能力、展開スピード、集中力、空間把握能力など多岐にわたる。仮にこの二つの片方が特段優れいたとしても、もう片方がダメダメな場合魔術師として大成するのは難しい。


そして最後に努力だが、これはもちろん無駄というわけではない。ただ当然のことながら前述の二つの要素を持つものだって努力をしているため、差を覆すのは容易ではない。


残念ながら俺は庶民生まれで魔力量に乏しく、魔力のコントロールだけは多少自信があったがそれ以外は平々凡々。魔術学校を真ん中ぐらいの成績で卒業した後は、冒険者になって日銭を稼ぎながら、お金がたまったら魔術書を買って擦り切れるくらい読み込む。劇的なことはないが大好きな魔術を使って送る生活に満足していた。


しかしギルドからの依頼を達成して帰ろうかとしていた時に突如空から現れた黒き竜に遭遇した。今覚えば竜は俺のことなど眼中になかったため、なりふり構わずその場から離れていたら死なずに済んだのだろうが、この時の俺は竜などの知能が高い一部の魔物は人と同じように術式を介した魔術を使うという話を思い出し、つい我慢できずにちょっかいをかけてしまった。当然俺程度の魔術では竜の硬い鱗を貫けるはずもなく返しの竜が発動した魔術による雷に打たれて命を落とした。


命を落とす間際の俺が思っていたのはバカなことをしたという後悔でも、人生の振り返りでもなくただただ竜が繰り出した魔術に対する考察。術式は? 発動に必要な魔力量は? そもそも魔物の使う魔術は人間と同じ体系なのか? 魔術を使う魔物と使わない魔物の違いは? 


考えれば考えるほど尽きない魔術への興味と憧憬。ああ、しかし間違いなくここで俺は死んでしまう。まだ魔術で遊びたかった、そんなことを考えながら俺の命は終わった。


_______


随分長く寝ていたような感覚を覚えながらゆっくりと目を開ける。

視界がひどくぼやけている。

全身に力が入らず、思うように身体を動かせない。

周りがすごく賑やかな気がする。


混乱している俺に女性の声が聞こえる。


「無事生まれました。元気な男の子ですよ! 国王様」


ん、生まれた? しかも国王っていった?


なんかすごいこと起きてない?

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