30 黒幕について考察する

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 ルナリア様と話したおかげで、心がすっきりした。


 俺は頭の中で整理する。


 もしゴードンが犯人ではないとしたら……?


 俺が彼を疑ったのは、聞きこみ調査の中でとある騎士からこういう証言があったからだ。




・演習で使われた魔物誘引の魔道具が、直前に別のものにすり替えられていた、という噂を聞いた。


・それは従来のものより効果が数倍高い試作品であり、すり替える指示を出したと噂されるのはゴードン副団長。




 この証言と不自然な陣形指示を合わせ、ゴードンが事故を仕組んだのだと思っていた。


 だけど――。


「そう、たとえば黒幕がゴードンを装って指示を出したとしたら……」


 ゴードンへの疑いをいったん止めることで、その仮説を思いつくことができた。


 もし、そうだとしたら――黒幕は誰だ?


 俺はさらに思考を巡らせる。


「そういえば……」


 一つの可能性が頭をよぎった。


 先日、俺を襲った暗殺者のことだ。


 奴は俺が魔族と戦ったことを知っていた。


 ナターシャたちが殺され、俺も狙われた。


 その共通点は、やはりあの演習だろう。


 魔族と出会った、あの――。


「……魔族の存在を知った者を消そうとしているとしたら、黒幕は」


 俺はゴクリと喉を鳴らした。


「そういえば、あの暗殺者……」


 奴は魔法を使っていた。


 俺の魔力弾を【ダークウォール】という魔法で防御したのだ。


 確か――未来の世界で、そんな暗殺者の噂を聞いたことがある。



 闇属性の魔法と卓越した体術を併せ持つ最強クラスの暗殺者。


 名前は――レザレ。


 彼はルーファス帝国を拠点とする暗殺者だったはず。


 そして、魔族もルーファス帝国とはつながりがある。


 なら、そのすべては一点につながる――か?


 ルーファス帝国が魔族の情報を隠蔽するために、まず事故を装ってナターシャたちを殺した。


 さらに暗殺者を使い、俺を排除しようとした。


「っ……!」


 そのとき異様な殺気を感じ、俺はその場から跳び下がった。


 ざんっ!


 一瞬前まで俺が立っていた地点を、無数のナイフが貫く。


「……避けたか」


 黒装束の男が影から現れた。


「レザレ……でいいんだな?」


 俺は奴をにらみつけた。


「……その名をどこで知った」

「言う必要はない」


 俺は剣を抜く。


 周囲にひと気はない。


 ここは城の庭の中で一番奥まった場所だ。


 考え事をしたくて、ここを選んだんだけど、狙いすましたかのようにレザレは俺を襲って来た。


 ――いや、その前から俺に狙いをつけ、襲撃に最適なタイミングや場所を探っていたんだろう。


「ちょうどいい。お前の方から来てくれるとはな」


 ボウッ!


 俺は右手に【竜牙】、胸に【竜翼】、額に【竜眼】――と三つの紋章を同時に発現させた。


 今こそすべての力を持って、この男を捕えてやる。


 そして、こいつの後ろにいる帝国の黒幕の正体をつかんでやる――!




 俺と暗殺者との、二度目の戦いが始まった。


 といっても、これは武人同士の一騎打ちじゃない。


 形勢不利と見れば、奴はまた逃げるだろう。


 そうさせないように注意が必要だ。


「俺にはもう後がない。ここで確実にお前を殺す」


 レザレが冷徹に告げた。


 同時に、その姿が消える。


「――!」


 単純な速さじゃない。


 俺には【神速】と【超反応】があるが、それでも捉えきれない。


 何か特殊なスキルを使っているのか……!?


 ざんっ!


 異様な殺気を感じ、俺はとっさに横っ飛びする。


 そこをレザレが通過していった。


 まただ。


「動きが見えない――」


 いや、


「動きが感じ取れない……!?」

「さすがに速いな」


 レザレがつぶやいた。


「だが、お前に俺の動きを見切ることはできん。それが『騎士』の限界だ」

「だったら『騎士』じゃなく『魔術師』として戦うまでだ!」


 俺は魔力を手のひらに収束し、放った。


 威力よりも手数を重視し、小型の魔力弾を次々に撃ち出す。


 以前と比べ、魔力のコントロールや攻撃精度はかなり上がっていた。


 何度かアストライアに訓練してもらったおかげだ。


「……ちいっ、こいつ、騎士のくせに魔法を自在に――!」


 レザレは舌打ち交じりに跳び下がった。


「逃がすか!」


 俺はなおも魔力弾を放つ。


 が、さっきと同じくフェイントを交えながら移動するレザレを、いつの間にか見失ってしまう。


 動きが、見えない……。


「【ダークボム】!」


 と、今度はレザレが魔法攻撃を仕掛けてきた。


 こいつはナイフや体術による近接戦闘が主体のようだが、闇属性の魔法も使う厄介な相手だ。


「――ん? 闇属性の魔法、か」


 もしかして、さっきからこいつの動きが捉えづらいのは――。


 俺は奴が使っている術の正体に気づき、ニヤリとした。


「なら、手立てはある」






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