lost fang 失われた牙
きゃんでぃろっく
001 始まり
キューブが連なり果てなく広がる世界
そんな世界の内に人ならざる者が誕生した、アタナシオスだ。
アタナシオスはヴァンパイアの始祖アルケーとして、モンスター最強の地位に君臨する。彼の父グラウコスは海の神であったが人となり、母スキュラは人間であった。父に執着していた[古代の魔女キルケー]の呪いで、両親がつけた『不死の者』という名前の通り、この世の自然を超えた最強のモンスターとして誕生したのだった。
アタナシオスは[古代の魔女キルケー]との因縁をつけるために軍隊を構成した。人をヴァンパイアに変化させるが、それらはアルケーの資質には及ばない、アタナシオスはそれらをアルケーと区別してアルグルと名付けた。
アタナシオスが変化させた最初のアルグルはアタナシオスに従順で完璧な主従関係がみられた。彼はアタナシオスから[
アタナシオスとレオンは日夜人々を変化させアルグルの軍隊を増やしていった。
そして二人が信頼するアルグルにも噛む権利を与えたが、[
また、[
やがて、多くの人間を襲ったせいで人間界でヴァンパイアの存在が知られることになり、人間たちを守っている魔女を味方につけたり、高位の魔女に対抗するために他のモンスターを従える必要ができた。
アタナシオスは最強の存在故に多くのモンスターたちを従えたが、繁殖能力の優れているモンスターたちとの軍事力の差は徐々に均衡へ近づいていく。特にウルフの繁殖力は脅威であった。
モンスターの中で最強であるアタナシオスには、たった一人の妹ラミアーがいる。彼女はこの世の2番目のアルケーだ。
この妹は兄と違い幼い頃から残忍で性悪な性質で、非道な魔術に傾倒していた。兄ばかりを愛する両親を憎悪し、[古代の魔女キルケー]と結託して両親を殺害、アルケーを支配することを企て[古代の魔女キルケー]の策略に便乗して兄と契り、子供を産んでいく。
[古代の魔女キルケー]を滅することができず苛立っていたアタナシオスは、妹の策略には気がつかず、ついに両親を失って自暴自棄になっていた。そんな時期を見計らってラミアーは兄を唆して契り子を産んだのだった。
こうしてアルケー一族にアルケーの子たち、新たな生命が誕生し、モンスター最強の地位は不動のものとなっていく。
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