小さな先生のいる中学校【癒し・シュールギャグ】

ほねなぴ

1限目、国語[ナマケモノ先生]

朝の教室に入ってきたのは、黒板の上に伸びる梁にぶらさがったナマケモノ先生だった。


のそのそと尻尾を揺らし、ようやく口を開く。


「ではぁ……教科書の十六ページを……」


生徒たちが慌てて本を開くより早く、ゆったりと音読が始まった。


声は柔らかく、途切れ途切れで、まるで風が木の葉を揺らすよう。


「……ここでね、作者の気持ちはぁ──」

言葉が溶けていくころには、先生の目は半分閉じていた。


生徒たちも次々とあくびをし、鉛筆を握ったまま机に伏してしまう。


黒板には一文字も書かれず、チャイムが鳴る。


音読は子守歌のように響いたまま、最初の授業は静かに終わった。

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