第38話 呪い

トントン導師が極めて「人間離れした富豪」っぷりで、彼女の「謝罪」と「顔合わせの記念品」を終えた後、実験室全体は死のような静寂に包まれた。ふゆことクスマは、まだ、あの「神装備を顔面に叩きつけられる」という、巨大な衝撃と非現実感の中に浸り、どうしていいか分からずにいた。


しかし、クレイは全く、その手に持つ、新入生全員が狂喜乱舞するであろう高級な長弓を見ていなかった。


彼はただ、弓本体を握り潰さんばかりに固く握りしめ、それから、ゆっくりと顔を上げた。


その、いつもは傲慢の炎を燃やす瞳が、今、これまでにない、「懇願」と「決意」が入り混じった複雑な光を宿していた。


彼はクスマに言わせれば、それら「値千金」の装備を無視し、彼にとって、唯一重要な質問を口にした。


クレイの声は、極度の緊張と抑えで、わずかに震えていた。

「噂では......」 彼は深呼吸を一つし、まるで全身の力を絞り出すかのように言った。「アカデミーに、『呪い』を専門に研究している老学者がいると。どうすれば、その方にお会いできるでしょうか?」


─ (•ө•) ─


トントン導師はクレイの質問を聞いた後、初めて、本当に、興味津々といった様子で、目の前の、彼女に言わせれば「格好つけで強情」な、この赤毛のひよこを吟味し始めた。


彼女の、その分厚いゴーグルの奥の鋭い両目が、わずかに細められた。彼女はこの質問から、この「問題児チーム」の背後に、どうやら彼女が想像していたよりも深く、そしてより「面白い」秘密が隠されていることを、鋭敏に察知した。


彼女は奥深い笑みを浮かべ、問い返しと探りが入り混じった口調で、ゆっくりと言った。


「あら?呪いの学者ですって?あなたたちのような入学したてのひよっ子どもが、あの頑固じじいに何の用?まさか……」


彼女の視線は、四人の間を行き来し、最終的に、顔色がわずかに青白いみぞれの上に、固定された。


「……あなたたちの中に、誰か、『呪われている』者がいるのかしら?」


─ (•ө•) ─


トントン導師の、その、まるで全てを見通すかのような眼差しの下、クレイは初めて、全ての傲慢と偽装を捨て去った。


彼は一歩前に進み、みぞれを背後にかばった。彼の、いつもは真っ直ぐに伸びた、傲慢に満ちた肩が、今、わずかに震えていた。


彼は捨て身の、この上なく固い口調で、トントン導師をまっすぐに見つめ、何かを言おうとしていた。


しかし、この重苦しい雰囲気の中、一つの、場違いな、感動に満ちた声が、一足先に響き渡った。


「クレイ……」


クスマは、この上なく感動した、さらには少し涙ぐんだような眼差しでクレイを見つめていた。


「俺は本当に感動したぞ!まさかお前が、俺のあの『不運』の呪いのために、こんなにも心を砕いてくれるなんて……」


「——黙れ!」


クレイは逆上して怒鳴り、一瞬にして、自分が先ほど作り上げたばかりの悲壮な雰囲気を打ち破った。彼はもはやクスマを相手にせず、向き直るとトントン導師に、彼が本当に言いたかったことを口にした。


「そうです。呪われているのは、彼女です。だから、教えてください。どうすれば、その学者に会えるのかを!」


トントン導師はその茶番を意に介さなかった。


彼女の、その興味津々といった眼差しが、クスマとクレイの上から離れ、初めて、本当に、あの、最初から最後まで沈黙を保っていた、水色のひよこの上へと、注がれた。


彼女はゆっくりとみぞれの前まで歩み寄り、それから、全員の、あの緊張に満ちた注視の中、そっと、彼女の手を握った。


しばらく調べた後、トントンの眉が、初めて、深く寄せられた。


「……奇妙ね」


トントン導師は喃々と呟いた。彼女の、いつもは自信に満ちた声が、今、信じがたいという困惑の色を帯びていた。


「体がどうしてこんなに虚弱で、魔力回路もかくも脆弱なのかしら……今まで生きてこられたのが、まるで奇跡だわ」


彼女は注意深く感知した後、顔色を一層、深刻なものにした。「この呪い...直接あなたの魂に縛り付けられているわね。それに、絶え間なく魔力と魂を蝕み続けている」術をかけた者は、極めて強大な存在よ。私にも、手の施しようがない」


その言葉は、まるで一本の氷の鉄槌のように、クレイの心を、激しく打ちのめした。彼の、いつもは真っ直ぐに伸びた、傲慢に満ちた肩が、その一瞬、目に見えて、崩れ落ちた。


「でも」トントンは付け加えた。「あの頑固じじいなら、何か知っているかもしれないわ。まあ、あなたたちもあまり大きな期待はしないことね」


「それに」彼女はみぞれの手を離した。「あの頑固じじいは今アカデミーにいないから。戻ってきたら、私があなたたちに知らせてあげる。それまでは……」


「みぞれ」彼女の声は、初めて、全ての狂気と冷徹さを脱ぎ捨て、純粋な、「先生」としての優しさだけが残っていた。「あなたはまず、自分の実力を高める方法を考えなさい。実力が強ければ強いほど、呪いの侵食にも、より抵抗できるわ」


それから彼女の眼差しが、目の前の、顔色は青白いが、その瞳は依然として冷静な、水色のひよこ(みぞれ)の上から、ゆっくりと、隣の、心配と怒りのあまり、全身をこわばらせている赤い少年(クレイ)の顔へと、移された。


トントンの眼差しに、初めて、一筋の、「称賛」と「同情」が入り混じった、本物の優しさが、現れた。


彼女は目の前のこの幼馴染の二人を見て、静かに言った。「ここ数年、本当に、大変だったわね」


「私が今、あなたたちの導師である以上」


トントン導師は少し間を置き、有無を言わせぬ、責任感に満ちた口調で、あの、全てを変えるに足る約束を、口にした。


「呪いのことは、これからは、私が何とかする方法を考えるわ!」


その言葉の声は大きくなかったが、しかし、まるで一本の赤熱した刻印刀のように、音もなく、その約束を、クレイとみぞれの心の上へと、深く刻みつけた。


そしてその言葉はまた、一つの温かい流れのように、一瞬にして、クレイの心の中の最後の防御線を、打ち破った。彼の、いつもは炎を燃やすその目元が、初めて、制御できずに赤く染まった!

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