第六話 兎ちゃんと、牡丹ちゃん
「エロだけは無理。何があっても僕には無理!」
「そんなことはない、イツキはエロが向いてる! 絶対にエロの才能がある!」
「そんな才能を発掘されても嬉しくないよ!? だいたい、僕のどこにそんな要素があるってのさ。エロの才能なんてひとつも感じられないでしょ」
「見ろ、アタシのエロセンサーがイツキに反応してる」
修子はおもむろに、無い胸を突き出してきた。胸がエロに反応するって何!? 僕はそんなエロい妖気を発した覚えはないよ?
だいたいそこは、やる気スイッチだったはずでしょ。
「イツキはエロをやれば最強のブロガーになれる。アタシには見える!」
妖気が探知できて千里眼もあるエロリスト。最強の変態少女が爆誕。
「わかった、わかった。少し考えさせてよ。ちょっとトイレに行ってくるからさ、僕のパソコン持っててよ」
とりあえず修子から少し離れないと、何が何でもアダルト科を推奨されてしまう。
僕はノートパソコンを修子に預け、式館の裏にあるトイレに向かった。
用を足して戻ろうとすると、同じくトイレから出てきた女子二人の会話が耳に入ってきた。会話の内容からして、どうやら僕たちと同じように履修科目を相談しているらしい。
「
「
「そうね……私はファッションが本分であるのだけれど、せっかくだから兎と同じ科にしましょう」
「ホント? 牡丹ちゃんと一緒なのは嬉しいな~」
カワイイ女子が二人、仲良く科目を合わせようとしている。なんて微笑ましい光景なんだ。アダルト一択を強要されている僕とは大違いじゃないか。
女の子のひとりは、ロングのツインテールで可愛らしい顔立ち。色白でにこやかな笑顔はまるでアイドルみたいだ。いや……それよりも目を奪われるのは、たわわに実ったその胸元。メロンなの!? そこにはメロンが入っているの!?
で、もうひとりはこれまた物凄い美形の少女。サラサラの銀髪を長く垂らして、碧い瞳はカラーコンタクトかな? ただしこの子も違う部分が異常に目を惹く。
それはサブカルチャーの世界から飛び出てきたようなゴシックロリータファッション。真っ白なブラウスに真っ黒なドレス、それが美しい銀髪に見事に映えている。
けど、背中に生えている黒い羽根からは若干の中二病臭が……。
そんな趣味も趣向も違いそうな二人は「一緒にイラスト科にしよう」と話しながら僕の前を通り過ぎた。
でもあの子たち、腕にパソコンを付けてたね。そういえばコインちゃんも腕に装着してた――ああ、なるほど。支給されたノートパソコンは、ああやって腕に付けるものなのか。
でもそのままトイレしてたの? パソコン装備したまま?
「牡丹ちゃん、早く受付室に行こう。たしか、このパソコンで科目の申し込みをするんだよね」
「ええ、そうね。個人IDが登録されていて、このパソコンですべて一元管理されているわ。もし学園内でこれを手放したら、どんなイタズラをされるか分からないわね」
「そうだね~。なんでもかんでもデジタル化されてるって怖いよね~」
少女二人はそう言いながら式館の方へと歩いていった。
なにその説明口調。パソコンで科目の申し込みをする? すべてデジタル管理されてる? 手放したら誰かに悪用されるかも?
ふむふむ、この学園はそういうシステムなのね。あのパソコンがあれば他人の履修科目を勝手に決めることもできる……と。
ははっ。自分のパソコンを他人に預けてイタズラされる、そんなマヌケなことをする奴なんて――
ここにいるじゃないか!
僕は身軽な左腕を全力で躍動させて修子のところへ走った。
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