File 2 ①
橋宮:橋宮というものです。今私は動画をこうして撮っています。なぜなら、この師井山、隆吾が行方不明になった場所の近くですから。ある日、つい最近のことなんですが、手掛かりというものを見つけまして、その手掛かりというものが、声なんですよ。
おーい、おーいという声なんです。男の人の声、明らかに知らない人というのはわかるんですが、聞いたことのありそうでもある声です。不思議な感じですよ。そんな声が至る所で、いかなるときでも聞こえるようになってきたんです。
その声は遠かったり近かったりします。初めの方は幻聴でも聞こえているのかななんて思いましたけど、そんなこともなさそうなんです。ね、聞いたでしょ、今も聞こえてるんですよ、おーい。おーいって声が。爪を剥がした隆吾、いまだに連絡ひとつくれません。生きているとしたら返事が帰って欲しいですね。まあ流石に死んでいるとは考えてませんよ、少しは考えましたけど。隆吾、これ見てる?見てたら返事してくれ。
いろいろなメッセージが届きました。あの家に訪れてから。
何かが写っているとか、声が聞こえたとかそう言ったものから、隆吾を見たなんて話も、名古屋あたりで隆吾みたいな人がいたとか、一番あり得ないって思ったのはスウェーデンで隆吾を見たなんてコメントも。流石にバカにしすぎでしょう。からかいも限度がありますよね。まったく。
まあ、最近はそれほど悩まなくはなりましたけど、一時期はすごかったですね、特にあの事件から1ヶ月くらいは。
もうどれくらい経ったんでしょうかね、半年はゆうに越しました。
半年ですよ、異常じゃないですか?生きてる保証もないくらいですよもし山の方に来たとしたら。このロープウェイの下の駅の近くなんですよそのあたりにありました、鳴り止まないお経の家。距離としてはどれくらいでしょうかね、だいたい十分くらいですかね、土地勘ないのでわかりませんが。
あ、あの動画の話なんですが、インスタグラムって大体、知り合いとかに生活の様子とか遊び行った場所とかを見せる場所じゃないですか?あ、やってます?みなさん。それなんで、こんなにもいろんな人に見られることはなかったんですが、誰かが録画して、あ、画面の録画です。
YouTubeにでもあげちゃったんでしょう。
この師井山についてもたくさんのYouTuberの人が現れてましたね、やっぱ心霊スポット。
さすがですね。銭銭ブラザーズとかも来てたんでしょ?結構な有名人も来てるみたいですね。
なんか、不思議ですね、頭が痛くなってきましたよ。
ガンガンと、いやあ、さっきまでそんなことなかったのでびっくりですよ。急に山登ってからです。偏頭痛とかも持ってないのに、おかしいですね、頭痛薬買ってくればよかった。
普段飲まないですからね、でも参りましたよ。
今この下の駅、下の駅にいます。なんですかね、この石。見てください、ほら写ってますか?
めちゃくちゃ石が投げ入れられてますよ、なんですかね?この量、ほら。
大きな石の周りを取り囲むように石が置かれてますね、変な景色。
あのお、あのすいません。駅の方ですか?駅の方ですよね、すみませんお聞きしてもよろしいですか?お顔は映しませんのでお聞きしたいことがありまして、ええ。
すいませんお忙しい中、あ、宜しいでしょうか?
従業員:ええ、大丈夫ですよ、どうかされました?何かご不便を
橋宮:いやいやいや、そんなことではないです、質問だけです。
こちらの大量の石、一体どんな意味があるんですか?
従業員:あ、こちらの石ですか?私どももよく分かってないんですが、石置きっていうらしいんです。ずっと昔からあったみたいで、よく分からないんですが皆さん、登山をされる前に願掛けです。無事に帰れるようにという意味で石を置くみたいなんですよ。なぜ石?と思いますよね、石と意思をかけているというのも聞いたことがあります。
ほぼダジャレじゃないか?って思いますよね、私もそう思いますが。
あ、こんな話も聞いたことがありますよ、それもまあ、また変な話ですがね。
丸い石じゃないといけないと、まん丸の石ですね、そこの近くに川がありますよね、その川は師井山の上流から流れてきてるんです。まるで水切みたいですね、あれは薄くて平べったいものであればいいですもんね。
変な話してすみません。話が逸れてしまいますね。
あ、その話。丸い石じゃないと、長生きできない、らしいです。ね、変な話ですよね。
ここに置く石は丸い石じゃないといけない。見るからに違う形の石もありますよね、どうなんでしょうか、変な言い伝えですからね。あからさまに本当のことだとは思わないでくださいね、
昔から、およそそうですね、大正時代くらいからずっと言い伝えとして言われてるんです。
このお山は霊山として有名ですから歴史だけは長いんです。そんなこと言うとあれですけどね。
橋宮:丸い石じゃなければいけないんですね。あ、すみません、仕事の邪魔ですよね。
従業員:そうなんです、いえ大丈夫ですよ、今日は思いのほか人も少ないので気にしないでください。
橋宮:いやいやいやいや、そんな手を止めてしまうなんて、石のことだけ聞いて私は行きます。
従業員:お気になさらず、私でよければお話を。
橋宮:ではお言葉に甘えて、続きをお聞かせください。
従業員:ええ、ではお話しさせていただきます。第一前提としてお話しいたしますけど、まああまり広まって欲しいわけではありませんが、この師井山はこの世で一番恐ろしい山だと思います。なんなら、こんなことを言ってしまうのはよくないとは思いますが、あのゴンドラ、ロープウェイのゴンドラ見てください。黄色の、今そうです、でたあれ。
見えますか?霊感ある人じゃないと見えませんよね。
橋宮:え?誰も乗っていないですよね、空っぽのゴンドラですもん、誰もいません。
誰か乗ってるんですか?
従業員:ええ、乗っています。最近よく見るようになりましたねえ、いやあ、とても上品な格好してはいるんですけど。
橋宮:上品な?
従業員:ほら、小さいお子さんが手を振ってる。勝手に乗られちゃうんですよ、いつの間にか乗ってるって場合。あそこのホームからこう観覧車のように動いているゴンドラの中に入ってもらうんですが、ね、私のような霊感が強い人なら頻繁に見てしまうんです。恐ろしいとかはあまり思いませんが。
それが普通になってしまいましたから、なんとも思わないですよ。たまにあれですよ、カップルがゴンドラに乗ってる時とかも平然とそこにいるんですから。もう笑ってしまうくらい不自然にいる時はああ、乗っちゃったなと軽く思うだけです。
見えてしまうのは人間だけじゃなくて、オーブとか、よく心霊特番で見られるようなもの、赤い火の玉とか見られるんです、特に夜ですね。こちらのロープウェイでは、泊まり勤務があるんです、この上に続く駅の近くに泊まる場所があって週に2回ほど泊まっているんですけど、そこで異常なほど霊的現象が見られるんですよ。そこで私ちょっと病んでしまいまして、復活してから1ヶ月くらいです。ようやく仕事に戻ることができましたよ。私がなぜこんなにも言うかわかりますか?この山は覚悟を持ってきて欲しいと言うことを広めて欲しいからです。
これ今動画ですか?動画ですよね、顔を映してもらって構いません。
みなさま、出来る限り、働いている私の口から言う言葉ではありませんが、師井山には来ないでください。お願いします。これ以上のことが起こると。
橋宮:すみません、こんな出会ってばかりですが、お名前は。
従業員:あ、私、飯塚といいます。
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