③
え、配信途切れてました?そりゃすいません。今は聞こえる?大丈夫?
オッケーです。それじゃあもう少しで到着します。あ、見えてきました。見えてきました。見えますか?あれ。
あれが祖父の家です。祖父の元、家です。わあ、こんなにも茂っているなんて。いざ目にするときついですね。まるで廃墟ですよ。そりゃ心霊スポットって言われても仕方がないですね。ほら、劣化がすごい。見るからにやばいですよ。
この庭でよく遊んだりしましたね、今となっては悲しいですよ。
あ、神社って言っても、神社といえば鳥居じゃないですか。
うちの祖父の家にはないんですよ。厳密にいうとなくなりました。
なんでなくなったかっていうとまあこれもまた不思議な話である日突然なくなったんです。
それも玄関の向こうにいるアレを目にしてからすぐに。
次の日だった気がします。突然なくなったんですって。それが原因でいろんな禍が降りかかったのだと祖父は言います。神域っていうじゃないですか、悪いものが入れなくするために鬼門の役割をしている鳥居がなくなるって、本当に訳がわからないですよね。それほどやばいものに襲われて祖父は神職をやめたんだと思います。辞めざるを得なかったんだと。
いやあ、それにしても言葉にならないですね、ここまで廃墟化してると。
何も思えなくなってしまいました。ここが玄関です。玄関の引き戸も外れかけてますね。
じゃあ入っていきます。お邪魔しますというよりかはただいまですね。
ただいま。すげえ散らかってる。ボロボロです。手入れしなかったらこうなっちまうんですね。廃墟散策。いたずら書きもいっぱいありますよ。ほら見てください。
酷いすね、不法侵入。私も不法侵入に入りますか?まあ親族すからね。さすがに。
でも今は誰の土地なんでしょうかね。私もよく分かってないのでもしかしたら不法侵入かもしれませんが。え、今度調べとこ、調べておいておこう。祖父に今度聞いてみます。あ、祖父生きてますよ。そんな話繰り返してましたが祖父は生きてます。死んだと思ったでしょ?全然生きてますよ。今年で80になりましたが、元気にしてます。まあ少し認知症はありますけどかろうじて元気でやっていますよ。ここがリビングです。よくここでご飯を食べましたね。こんな寂しい空間なのに楽しい思い出が蘇ってきます不思議と。不思議なものですね。なんか言葉にはできないような感覚に陥ります。寂しい、寂しいすね。なんだ、この気持ち。
ここに椅子があったんですよ、立派な椅子です。背もたれもしっかりしていておそらく結構な値段したんじゃないですかね、まだ立派にありました。良かった。
どうですかね、立派でしょう。流石にちょっと軋んでますかね、座るのはちょっと難しいかな。
腰やったら嫌なので座らないでおきます。
なんですかねこれは、ネズミが齧ったんですかね、書類の数が尋常じゃないほどありました。手続きですかね、そういったことが書かれています。
神社を売り払うために書いた書類、なんでこんなところにあるんでしょうかね、
重要なものなら持って行った方が良かったと思いません?重要書類ですよ。ほら、私の祖父の名前も書いてある。これは今度直接いった方がいいですね。
はあ、全く悲しいですよ、こんな姿に。みてくださいよ。
はあ、はあ。あ、みてください。いましたよ、いました。
きいちゃんですよ。呪いの人形の。
もしかすると動くかもしれませんね、動いたら教えてください。
え!動いた?流石に嘘でしょ早くねえ?あ、なんだ冗談か。冗談すよね。
髪の長さはどうですかね、そんな変わんないか。前見た時とあんまり変わんないですね。
立派な人形でしょう。かなりの値段したと思いますよ。
きいちゃん、きいちゃんと呼びかけてみましょうか。
(物音)
うわあああ。なんだ?後ろか?後ろですかね。
物が落ちた音ですかね、霊現象ですよ、明らかにこれはやばい。
確信的にきいちゃんじゃないですか。名前をよびかけてすぐに反応するとは思わなかったです。
あまり名前を呼ばない方がいいんですかね。あれ?動いた?もしかしたら動いたかもしれないです。
首の向きちょっと変わってます?
変わってますよね。ちょっと拡大します。
ほら、ほらほら。あ、すいませんちょっと拡大しすぎましたね。
これが、きいちゃん。きいちゃんです。
髪が伸びたり、動いたりしますからね。
寂しかったでしょう。さぞかし。ねえ、突然家に誰もいなくなってねえ。
ひとりぼっちでひとりぼっち。もう平気だよ大丈夫。大丈夫だから。おいで、おいで。ほらおいで。もうさみしくないよ。
えっ?なんですか?音が止まってましたか?えっとえ?おかしいな、なんか変な感じ、あ、ああ。大丈夫かな、ああ。
仕切り直して、なんの話してたんでしたっけ。すごい自分からしたら変な感覚なんですけど。え、やっぱり理解できないですね。
何か話してたんでしょうか。でも誰と話していたんでしょうかね。
自覚はあるんですけどわからなくて。気のせいですかね。まあ、いいや。
定点カメラ置いてみましょうか、きいちゃんに。
(カメラが置かれる。きいちゃんが画面左に映る)
みなさんこの状態ですよ、いいですか?これで動くかどうかしっかり見えると思いますから。
自分が前見た時よりも髪の量増えましたかね、うん。多分増えた。
(ううぅという呻き声のような音)
今の聞こえました?絶対なんか言ってましたね、ですがきいちゃんの方向ではなく私の後ろ側でした。いやあ、まじか。こんなにも起こるなんて思いもしませんでしたよ。
それにしても今の声、なかなか変な声でしたね。
男の人ですかね、女の人ではなさそうな気がしました。
あ、私ですね、持ってきたんですよこれ。
(画面右に映る機械)
これ何かわかります?これ幽霊がいるかどうかわかる機械なんですよ。YouTuberとかがよく使ってません?念の為に持ってきたんです。まあ、なんの念の為かなんてのはわかりませんが。、近くに幽霊がいると、ピピビって音が鳴るんですよ。
普通にこう、ボタンを押していそうなところ、幽霊がいそうなところに向けるんです。そうしたら音が鳴るんです。こんな感じで。
いろんなところに当ててみましょうか、
音しないですね。いないのかなもしかしたら。全然反応しないですね。
平気っぽい。まあ、基本的に平気そうですね。
ほら、ほら。大丈夫すね、撮れ高は無いに等しいですが。
試しにきいちゃんに当ててみますよ。当てます。
(電子音)
あ、やばい。やっぱり鳴った。
怖いすね。やっぱりなにかに取り憑かれてるんじゃ無いですかね?
今気がついたんですけど、ちょっときいちゃんに近づいてもいいですか?いや、これ気がついたの驚きでしたよ。すいません、失礼します。
いやあ、なんかあったかくて。生きてるみたいなんです。まるで生きてますよ。
え?私もどういうことだかさっぱりです。
なんか音が聞こえてきました。
どこだろ?え?なんか例えるなら給湯器みたいな音。ぷしゅうみたいな。
あ、こっちか?意外と近いような気もしてきました。すぐ近くから聞こえてます。
まさか、いやまさかだろ?まさかそんなことがあるわけ。
今から私がいうことは馬鹿げてるように聞こえると思いますが、しっかり聞いてください。そして信じてください。私もあまりにも恐ろしくて信じようとは思いませんでしたが。こんなことが起きるなんて思いませんでした。
呼吸してるよ、呼吸、きいちゃんが呼吸してる。
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