②
「ほら、いやいやいや嘘ですよ。冗談です。
でもまあ、変な目線みたいなものは感じられますがね。
後ろの方から、(後ろの方を指差す)話を戻しますと、私はそうですね、生まれた時からこの山が近くにあったので切っても切り離せないんだと思います。
そうですね、いやでもこの山が近くにあります。
だって祖父が引っ越した後でも時折声が聞こえるんです。あ、この話してませんでしたっけ?じゃあ話しますね。声、なんですけど。それもまた奇妙な声なんですよね。
筒に向かって声を放つような声、くぐもった声っていうんですかね。それがどんな場所にいても聞こえてしまう時があるんです。
道を歩いている時、部屋にいる時も聞こえるんです。気持ち悪いですよ。
あ、言った側からほら。今聞こえてますけど聞こえてますか?ほらほら、ね、聞いたでしょ?
聞けてないですか?え?あ、止んだ。こんな感じで結構頻繁に聞こえてくるんです。
もうかれこれ長い時間こんなところにいるので少し飽きたでしょう。
先ほど話した動画。テレビで放映されたやつ、なんとかしていまさっき調べて出てきたんで、少しそれをみてもらってもいいですか?まあそうですね、動画の時間で言うと20分もないですから。少しそれをみていただけますか?じゃあまた後ほど、画面が変わります。
芸人F「いやみてくださいよ、ほら空き家ですよ。ここに本当にあったんですかね神社が」
人気モデルM「いやそりゃ失礼すぎる。あまりもね」
芸人K「いやお前謝れよ、謝れって」
芸人F「(揶揄うように)ごめええんよ」
(スタジオで笑いが起きる)
ナレーション「早速足を踏み入れる3人、この神社に一体どんなものがあるのだろうか、すると、その時」
人気モデルM「ぎゃあ」
芸人F「うわああ」
芸人K「なになになんだよなんだよ」
ナレーション「足を踏み入れた途端に聞こえたのは呻き声のような音、おそらく寝室の方か。奥へと進んでいく」
芸人F「いやあ、なんかね、奥の方で聞こえたんだよ。ううう、みたいな声で。苦しそうな声が」
芸人K「ここは何があったんだろ、台所?台所かな」
人気モデルM「なんかものすごく生活感があります。今も人が住んでいるかも、それくらい」
芸人F「確かにね、なんかものすごく生活感がある」
ナレーション「一同は向かっていく、先ほど音がした寝室の方へ」
芸人K「いやあ、こわいねええ、怖すぎるよ。ちょっと待って」
人気モデルM「え、この先行くの?行きたくないんだけど」
芸人K「いやしょうがないよ(人気モデルM)、もういくしかない」
芸人F「うわあああ」
芸人K「なんだよびっくりするなあ」
人気モデルM「え?え?」
芸人F「この日本人形が、ほら勝手に」
(画面に大きくREPLAYの文字)
(画面右端、人形のあたりを拡大)
ナレーション「お分かりいただけただろうか。(芸人F)の近くに置かれた日本人形に注目していただきたい。こちらの様子を伺うように、顔がこちらに向いた」
人気モデルM「無理無理無理無理」
ナレーション「今の霊障について、道苗寺、住職。郷田瑞雲に映像を確認してもらい、話を聞く」
別映像
郷田「これはね、まずいですよ。あかんです。人形に完全に自我があると。そう思ってやまないです。そうとしか思えません。日本人形に髪の毛が生えたり色々聞くでしょ、ほんまにそれの類やね」
人気モデルM「いやあ、本当にびっくりした。やめてよ」
芸人K「でも本当になんか動いた気がする」
ナレーション「さらに奥へと進むと」
芸人F「わあ、ここは。なんだろ、寝室かな」
芸人K「床ちょっと軋んでますね」
人気モデルM「あ、お札?お札が」
芸人F「うわマジかよ」
芸人K「まじだ、お札が」
ナレーション「床の畳の一畳に一つ貼られたお札。このお札は一体」
人気モデルM「なんか音しない?」
(物音)
芸人F「なんか近づいてきてるよね」
芸人K「うわうわ、ほんとに近づいてきてるかも」
人気モデルM「え、階段階段?」
芸人K「うわああ」
(テロップ:番組側のカメラはそこで途絶えていた)
「ええ、戻りました。いやあひどくないですか。ましてや神社に、というか、まあ神社は取り壊されていてただの祖父の家だけがある状態ですけど。住居侵入罪ですよ。
本当に不快でしたね。ただ、あの人形、日本人形のことが世間に知られて良かったと思います。まあ知られたと言っても微々たるものですがね。あの人形にも話があって、訳があって祖父の家で保管していたんです。訳があると言ったらもちろんそうです。曰くです。
この人形。きいちゃんと言います持ち主がそう名付けていたのできいちゃんです。
はじめは何もなかったんだそうです。至って普通の日本人形。可愛げのある普通の日本人形ですね。ある時にきいちゃんと名付けたそこの家の娘さんが亡くなられたそうです。流行りの疫病で、もうどうすることもできなかったそうです。
その女の子は6歳の時に亡くなりました。不思議です。ここからが不思議な話です。
このきいちゃんと呼ばれる人形は6時間ごとにいる場所が変わったり、手の位置が変わったりします。もちろん髪の毛も。
ですが家の人が観察し、じーっと6時間も見ていたら本当に6時間は動かずにそのままの体勢なんです。びっくりすることに6時間きっかりできいちゃんは動きました。きっかりです。
1日4回動く計算ですね。
親御さんたちは悩みに悩んで祖父の神社で供養をしようと考え、きいちゃんを手放しました。
苦渋の決断だったと思います。その後の話なんですが、立て続けに両親が亡くなられたそうです。手放してしまった、そのことが原因なのか定かではないですが、ほんとうにつられて亡くなられたそうです。
二人とも5月16日、5月26日と。6がついているのが恐ろしいですよね、ほら、666悪魔の数字とか言うじゃないですか。まんま悪魔の数字です。この話は祖父が引っ越してから教えてくれた話です。どうしてきいちゃんを置いてったのかと訊ねて、こんな話を聞きました。親しんでいた名前だったので妙に辛かったですよ。まさか呪いの人形だとは思いませんでしたから。
祖父も、た私たちの手には置けないと判断したのでしょう。その娘さんには申し訳ないですが、きいちゃんはそれで良かったのだと思いますよ。分かりませんが。
きっとそのタイミングであの映像のきいちゃんはうごいたのかと。
あと、時折話をしているそうです。話をしているだと、少し変な言い方ですが、ひとりで、誰かと話しているんだそう。会話ですよね要するに。しっかりと話しているみたいなんですよ、
何を話しているかはわからないんですが、祖父の家に置いてある時、親族の子供たちは男ばかりで、そうですね。本当に男家系です。なのでその声が聞こえて不思議に思いました。こんな小さい女の子の声なんて聞こえる訳がない。これはおそらく幽霊だと。きいちゃんが運んできたもの。怖いですよね。
そのきいちゃんを見てしまった方々に何か起きてしまったら嫌ですね、あ、そう。前例があったんですよ。
前例と言っても、まあ一度だけですけどね。祖父の家に訪れた知り合いが可愛い人形といってきいちゃんの髪に触れてしまったんです。するとその知り合いの方が訳がわからない話だと思いますが、身体中のあちらこちらから血が出てきたんですって。それもドバーッではなく、ささくれが剥がれるような微々たる血が。
幸い命に別状はありませんでしたが、知り合いは今でもきいちゃんのせいだと思っているようです。まあ一概にそのせいだとも思わないすけどね、疎遠になってしまったそうですよ。
でも実際人の家の人形を触ったりしますかね?自分なら気味が悪くて触れないと思いますわ。
あまり可愛がりすぎるのも良くないって言いますもんね、なんかそれもそれでどうかしてると思います。本来は可愛がる我が子のように作ったものが呪いだ何だと言われるのはあまりにも悲しいですよね。そうですよ、きいちゃん。見に行きましょうよ。きいちゃんがどんなもんか。どんなもんかというのはちょっと違いますね、ただしこれを見ている。この配信を見ている方。命の保証はできませんからね。それだけは悪しからず。もし何らかの呪いが降りかかったとしても知りませんからね。え、映像からの呪い?ありますよそりゃ。知らないんですか?映像を挟んだから呪われないとかは大違いですからね。実際よくあるみたいですよ。あ、聴いたとかじゃなくて、ほら、呪いって電波をも超越するっていうでしょ?え、いわない?まあいいや。とにかく気をつけて。責任は取れないですから。
まあ冗談はその辺にしといて、この場所での霊現象もそんななさそうなので移動します。ね、きっと何もないでしょうよこれ以上は。
というわけで、祖父の家に向かいます。どうかな行けるかな。この道を通れば近いんですけど、よいしょ、じゃあちょっと内カメのまま行きますね、酔ったらすいません。
一応と念のために言っときますよ、本当に責任取れませんからね、すいませんねしつこいようですけど。まあ確実ってわけではないんで安心してほしいんですが、万が一がありますので。
お、この道です、この道を進めば祖父の家がある。問題のきいちゃんもまだご健在でしょう。
よいしょ、すげえ荊道でしょ、いやあ、全くどうしてこんな辺鄙な場所に、なんて思いますよ。普通に考えて山の奥って怖いですからね。今なんて熊とかも出るじゃないですか。
猪とか狸はありましたけど、熊の噂はそんな聞きませんでしたね。まあそこまで山が深くないんですかね、十分だと思いますけど。反対側のルートなんていったらもう結構ハードな山道でそっちの方が熊の話は聞きますね、襲われたとかいう情報は幸いなことにないので良かったすけどね。いやあ、熊も怖いですよ。襲われたら太刀打ちできませんからね。よいっしょ。
歩くだけで全く疲れちゃいますよね、ふう、一歩、一歩。疲れてきましたよなかなか。おだまにしき。
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