第15話 サヤメの物語
☆ Before
読んでくれる人があなた一人でもいるなら、それで私は幸せです
15. サヤメの物語
# (過去)小学校6年生のサヤメ
彼女も実は最初から完璧ではなかった。
短い髪で、女らしさを全く意識していなかった彼女は、
誰が見てもただのいたずら好きな、ハンサムな男の子のように見えた。
そんなある日、私だけの太陽を訪れた。
学校へ行く時間、ドアを開けると向かいの家の制服姿の彼。
毎日、彼を待つことだけが人生の唯一の楽しみだった。
わざとドアの前に立ち、彼の足音を聞き、
彼が出てくる瞬間を狙った。
彼に少しでも近づきたかった。
彼がうまくいったと聞くたびに誇らしかった。
もっと努力して、もっと上手くなりたいという気持ちが大きくなった。
そうして成長し、高校生になった時、
座っていればグラビア、
動けばポカリのCM、
集中すれば映画のワンシーンになった。
男子だけでなく女子の憧れにもなった。
一日に溢れるように告白が届いた。
「ごめんなさい、好きな人がいるから。」
いつも同じ答えだった。
みんなの関心は集めたが、誰も知らなかった。
すでに卒業し、別の学校へ行ってしまった彼への本当の気持ちを。
そんな彼女にも初めて印象が悪く、
気分が沈む日があった。
しばらくの間、まるで魂が抜けたように見えた。
彼が恋愛していると聞いたのだ。
涙が出た。
希望が消えた。
夢を失った。
絶望した。
前がもう見えなかった。
しかし、彼がしたように完璧を追求する彼女が
すべてを手放すことはできなかった。
ある日、ぼんやりと決意のようにつぶやいた。
「殺そうか?」
誰に対しても敵を作らなかった彼女が、
初めて吐き出したその言葉に皆が恐怖を感じた。
彼女の敵が誰なのかを探す噂は、
長い間、学校の伝説のように語り継がれた。
そんなある日、嬉しい知らせが入った。
彼が別れたというのだ。
喜びに満ちて、彼をこっそり探しに行った。
「彼だ。」
遠くからでも分かる愛しい人。
彼の影がシルエットで見えた。
しかし、以前に知っていた彼とはあまりにも違った。
真っ青になり、すべてを恐れて、
通り過ぎる女性を避ける姿だった。
皆に愛され、人気者だった彼が、
今はまるで生ける屍のように見えた。
彼の家の前までついて行った。
ドンッ!!!
「ひっく…うわああああ!!! なぜだよ、どうしてだよ!!!!」
成功した人ほど、失敗は大きく響くのだろうか。
涙と叫び、絶叫がドアの外に漏れ出していた。
私はドアの前で声を殺して泣いた。
今すぐにでも抱きしめてあげたかった。
彼が恋愛していると聞いた時よりも、
もっと辛かった。
自分が苦しみたいと思った。
彼を抱きしめ、彼の心を癒やしてあげたかった。
喜んでしまった自分が本当に憎らしかった。
このドアを壊してでも今すぐに抱きしめたかった。
でも決意は揺らがなかった。
何事にも自信に満ち溢れていたサヤメ。
私の唯一の弱点――彼。
言ってしまっていいのか不安だ。
私を避けるだろうか?
私を軽蔑するだろうか?
彼の力になれなかった自分がとても嫌いだ。
不安に包まれる。
数百回夢を見たのだろうか
しかし今、そんな彼が目の前で私の手を握っている。
もう身と心、罪悪感と愛だけの私は
彼に引っ張られるしかなかった。
★ After
ここまで読んでくださったすべての方々、ありがとうございました。
あなたの大切な一言をいつも期待しています
貴重な足取りで来てくださったこと自体だけでも感謝します。
作家に言いたい人
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