第14話 勇気に報われた甘さ
☆ Before
読んでくれる人があなた一人でもいるなら、それで私は幸せです。
14. 勇気に報われた甘さ
頭が壊れた。
これは…人工呼吸じゃなくて…
キス…か?
キス?
私が?
誰と?
絶望的な現実
窒息しそうな灰色に満ちた視界。
その静寂の中で、電源が入るように――
世界が突然、華やかで眩しい色に溢れた。
死んでいた全ての感覚が、生き返るように蘇った。
「うぷうぷ…」
「は…」
キスを終え、頭を深く下げたサヤメ。
「い…いまだにわからないの?」
「え…え?え…」
慌てた俺の反応に、サヤメは普段の堂々とした態度とは違い
唇を噛み、小さく震える手で顔を覆った。
彼女の息は不規則に上がり、
視線は俺から逸れるようにどこかを向いた。
普段は露出にも恥ずかしがらない彼女が、こんなに緊張している姿は不思議で、
それでいて、いつもより強烈な魅力を放っていた。
小さく震える声で呟いた。
「そ、それ…わ・か・っ・て・よ! …わ、私、初めてのキスだから!」
「え…!?!」
その言葉に込められた恥じらう震えや慎重な動作が
部屋いっぱいに暖かいときめきを広げた。
すべてが初めてのサヤメの柔らかい姿が
小さな震えのひとつひとつまで俺の心臓をドキドキさせた。
ひゅっ
もう知らない、というように
サヤメは俺から背を向けた。
頭がぼんやりした。
心臓は破裂しそうに早く打ち、
意識は朦朧とした。
彼女の勇気に応えるように、
俺は一歩前に出て、彼女の肩を掴んで向きを変えた。
サヤメの腰を抱き寄せた。
目をそっと閉じて唇を重ねる。
誰も教えてくれなかったが、
唇と舌は自然にお互いを貪った。
さやめの足がびくびくする
腰の力を失ったようにベッドに
するすると滑った。
俺たちは一緒に倒れた。
彼女の細い腰をしっかり抱き、
首を傾けてキスを続けた。
俺の唾液が彼女と混ざり、
自信満々だったサヤメの瞳は徐々に曇っていった。
乱れた彼女を見つめ、俺は正気を取り戻した。
キスを終えたサヤメは腕で顔を覆い、
前の変な笑い声が聞こえた。
「ふふふ…キス…すごい…ふふふ…」
欲望が流れる時は、
彼女が美女だという事実が
むしろ残念に思うほど残念ない女性だった。
少し不器用でも甘かった。
この瞬間は、互いの勇気への報いのように感じられた。
俺たちは互いに壁にもたれ、手を握り合った。
脚を伸ばして座る二人、
サヤメの美しい脚がさりげなく光り、
つま先を揃え、喜びを全身で表していた。
俺はその一方で忘れられないトラウマと
今も続く不安な心を隠せなかった。
サヤメは俺の手をぎゅっと握り、
嬉しそうに柔らかく微笑んだ。
俺はそんな彼女の姿にただ驚くばかりだった。
その中で、
慎重に昨夜ひどかった寝言について尋ねた。
「誰にそんなに謝ったの?
すごく哀願してたんだけど··· 元彼?」
サヤメの表情には涙と恥ずかしさ、絶望が交錯していた。
伝えられない数々の感情が
彼女の瞳に映し出されているようだった。
★ After
ここまで読んでくださったすべての方々、ありがとうございました。
あなたの大切な一言をいつも期待しています
貴重な足取りで来てくださったこと自体だけでも感謝します。
作家に言いたい人
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