1話 家出少年。侯爵家の少女。
ダルカナことアラルである僕は転生者だ。
転生前は菅原永利と言い、刺されて死んだ。
今俺はシーナ侯爵家の近くのギルドに泊まっている。
もちろんダルカナ名義でだ。
何故こうしているのか。
それは二日前に遡る、、、
二日前
俺は家で走っていた。
一応年頃の男の子なのだ。
無邪気に走り回ってたまには自分の使命を忘れるくらいはしていいと思う。
そこで俺はふと思った。
(何か大事なことを忘れているような、、、)
ここ最近、SSS級の魔物相手ばかりしていて本命の仕事を忘れているような気がした。
「あ、、、あ、あぁぁぁぁ!」
「どうしたんだ!アラル!静かにしなさい!」
「ご、ごめんなさい。お父様、、、」
(完全に忘れていた。3つ目の悲劇、、、盗賊卑猥な事件!あれは語りだけだったが、その後1000人の盗賊に襲われたと書いてあった、、、それが、、、四日後、、、ただここを出るのも難しい、、、仕方がない、、、この手は使いたくなかったが、、、)
俺はすぐに自室へ向かい、パンとメモを持ってくる。そしてあることを書く。
『家出します。探さないでください。
いつか帰ります。
アラル。』
そしてそれをリビングの机の上に置き、すぐさま準備して侯爵領へと向かう。
「さて、、、出てきたはいいけど、、、確かユラは親が超がつくほどの過保護で、街に出さないみたいだな。それが嫌になってユラが一人で外に出てくる、、、ていう感じだったかな。」
そう呟きながらまずは近くのギルドへと向かった。
ギルド
「ギルマス、シーナ侯爵家のところから依頼ある?出来なければ近くの依頼でもいい。」
転移してきてすぐにそう言うが、ギルマスは留守にしていた。
「ちっ、、、あのおっさん、どこ行きやがった。」
「その言い方はやめてくれんかな?ダルカナ君」
「はぁ,お前は気配が弱くて見つけにくい。
ずっと座ってろ。ギルマス」
「私も休みがあるのさ。と言うか、僕にはラードという名前があるのだから、、、それで呼んでくれないか?」
ラード。レオナル辺境伯領のギルドマスター。
俺の情報統制や、情報屋としても活動している。裏では【リーグ】と呼ばれ、伝説の情報屋とされている。
「今回はシーナ侯爵領に行きたいからさ。依頼出してくんね?」
「便利モノ扱いするな、、、まあいい、、、あるぞ。神古代龍討伐。SSS Sレート。唯一の仕事ただ。」
「任せろ。S SSSだろうが俺なら余裕だからよ」
「頼りになる冒険者だよ。本当。」
「そりゃそうさ、勇者以上、神以下。天上天下唯我独尊。僕を止められるのは神様くらいだよ。」
「そうかもな。魔王ですらお前から見たら雑魚扱いしそうだ。」
「そりゃな」
そうして僕は依頼を引き受けた。
侯爵領近くの子爵領。
僕は今目の前の存在と対峙している。
相手は神古龍。
過去1最強のランクで誰も手に負えない。
過去に腕試しと言って挑んだパーティーは帰ってこなかったらしい。
ま、僕には関係ないんだけどね。
そんなことを考えながら僕は侯爵領のギルド前の公園で遊んでいる。
いや僕も精神年齢は下がってるし?
かけっことかしますよ?
てかそんなのはどうでもよくて。
寝る場所も帰る場所もギルドだからいいんだけど、呼び出し受けたくないなぁ、、、
「、、、【変身解除】」
アラルの姿で公園で遊ぶことにした。
木の棒で砂場に絵を描いたり、滑り台で遊んだり、、、
遊んでいたらすでに夕方になっていた。
ギルドに戻り、神古龍の情報を取り入れては、
ギルドが用意してくれた部屋で一人休み、
また今日得た情報を元に神古龍の居場所を特定する。
実は、大まかな場所しかギルドも知らないようで、、、
探すのは自分でやれということらしい、、、まじ使えないなギルド、、、
そんな悪態ばかりつきながら今日も公園へ来ていた。
近くの冒険者や、住民に話を聞いてみたが、、、全く知られていなかった、、、
「また今日も失敗か、、、面倒くせえ」
そう言いながら砂場で絵を描いていると、、、
「あ,あの!私も一緒に遊んでもいいかしら?」
「ん?いいけど、、、君は、、、ユラ嬢、、、か?」
小さい女の子が声をかけてきた。
同い年くらいの、それでいて、少し寂しそうな目をした少女。
それが僕の最初の彼女を見た時の感想だった。
さて、一応解説といこう。
彼女はユラ シーナ。侯爵領のお嬢様だ。
それでいて、この世界のヒロインであり、被害者でもある。
彼女は他の人みたいに魔族やら、天災ノ六厄神が襲ってくるわけではなく、盗賊に狙われる。
そのおかげで主人公でプレイしてた時、何回も「トラウマがー」とか、「私なんてー」とかでストーリーを止められた覚えしかない。
(だがそれも今日まで!ここでその悲しい過去を俺もお前のも断ち切らせていただこう!)
「何で私の名前を?」
(ま、こんな怪しさ満点な子供いたら疑うよね、、、)
「あっ、、、もしかして勘違いしてるかもしれないから言っとくけど、僕は別に君をどうにかするとかしないさ。ただ、たまたま居合わせた僕が捕まったら嫌だからってのもあるけど。」
(ま、少し誤解が解けただろうし、僕の自己紹介をしておこう。)
「僕はね、アラル。君と同じ貴族の子で、現在家出中の男の子さ。」
そして僕は彼女に微笑み、少し絵を描いたりして遊んだ。
ーーー数分後
「ダルカナ様ー!ダルカナ様ー!どこにおられるのですか〜???」
「げ。もう来たか。早いな、、、情報はまだなはずなのに、、、」
「家出中なんでしょ?何で呼ばれてるの?というかアラルじゃなかったかしら?ダルカナって呼ばれてるから貴方じゃないわよね?」
「あ、いや〜、、、そうだな、、、よし、ちょっと待っててくれ」
「いいけど、、、まあ、いってらっしゃい」
そして僕はギルド職員の前に行き。
「今日は侯爵家に泊まることになりそうだ。ギルドは空けといてくれ。」
「え?あの、情報はーーー」
「明日、また来る。その時に渡せ」
「わ、わかりました。では、また明日よろしくお願いします。」
「あぁ、では」
そして僕は戻り、彼女の館へと向かった。
勿論大豪邸。とりあえず泊めてもらえるか聞いてみよーーー
「お断りだ。」
、、、ですよね〜。まあ、こんな怪しさ満点な子供が泊めてくれとか言われたら無理だろ。
まあしょうがない、、、こうなったら、
「僕、、、辺境伯の息子のアラルっていうんです。親と喧嘩して、、、走ってたらこんなところに、、、誰も頼れず、、、ここまで来たんです、、、うぅ、、、」
どうだ見たか!これが超スーパー最高パーフェクト美少年アラルの子供ねだり!in異世界ver.だ!
これを食らって,助けなかったものは、、、サイコパス以外いない!(前世経験)
「む、、、辺境伯のところか、、、あそこはここまで三ヶ月かかるはずだが?おかしいよな?ここに来て二日?それは、、、倒れたりしてもおかしくないと思うし、辺境伯も気づいて早く保護されるよな?それにまだ服も綺麗、、、おかしいよな?」
(こ、こいつ、、、名探偵級の頭脳だ!か、勝てない!)
そして僕は結局口論に負け、ギルドに泊まることになり、ギルマスに哀れみの目で見られました。
今度覚えとけや、、、侯爵、、、
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