第2話 そもそもどうして動画なの?

 さて、最初の話題としてはまず「なぜ動画で一次創作をやろうとしたか」でしょうか。元々小説やX内での創作企画、TRPGなどでいくつもの創作活動を行っていました。絵はちょっっっぴり、小説はまぁまぁ形に出来ているかな、と思いながらも壁になるのは表現力。


 ところで皆さんは、スマホでのゲームをやったことはありますか?それもただゲーム性があるだけでなく、ストーリーもついていて、なんならストーリーが売りになっているような作品を。

 今の時代は様々なゲームがあり、皆さん一つくらいは遊んだことがあると思います。その上で創作をする人なら一度は「自分の物語をそういったゲームにするならどんな形になるか」を考えたこともあるのではないでしょうか?

 私が作っている作品「The ResT」はまさに「アプリゲーム風の物語を作りたい」と思ったのがきっかけでした。ユーザーの分身ともいえるプレイヤーと個性豊かなキャラクター達。彼らが時に想いを吐露し、時に彼らのやり方で物語を紡ぎ、時にキャラクター同士がぶつかり合いながらも一つの問題を解決する。

 私は元々ファンタジーや怪奇譚が好きな人間だったので、そういった要素を入れ、かつ現代日本をコンセプトにして……そんな形で次から次へと妄想が浮かんできました。色々なキャラクターの走り書きをまとめたところで、どうしようもない衝動が自分の中に浮かんでいたのです。


 ──折角なら彼らには、文字だけでない形で世界を描いてほしい。


 とはいえ、理想の形の漫画を描けるほど画力があるわけでもなし。

 公募やコンテストに出して拾われるように力を注ぐのも一瞬は考えましたが、実績もなければ確信もない状態。そんな中でもしもを期待しきれるほど、夢に満ち溢れていたわけでもなく。

 そんな状態でたどり着いたのは「それならパーツを組み合わせて、動画にすればいいじゃない」という結論でした。元々のイメージがアプリゲーム風なら、動画で作ればいいだろう。自分自身(途中で頓挫しましたが)TRPG動画を作ろうとしたことがふるーい昔にあり、本当に最低限の知識はあったのでその結論に至ることも早かったです。


 が、それだって一筋縄でいくものではありません。

 ゲーム風動画を作る場合、いくつか必須で用意しないといけないものがあります。


「物語」これはゲーム風である以上必須です。どんな物語をその動画の中で展開していきたいかを整理するのは一筋縄ではいきません。自分の性格上、作りながら展開をするのはほぼ不可能だと分かっていました。だから一区切り1章分物語を作り上げてから動画を作る必要があります。


「キャラクター立ち絵」モブはさておき、主要キャラクターは必要です。私は今回出したいキャラクターを10人前後と決めており、それらすべての立ち絵と表情差分をいくつか書く必要がありました。一度揃えられれば余裕は出ますが、まずそろえるのが大変!!!表現を増やせば増やすほど都度対応も出てきます。


「背景」どこにいるのか、何をしているのかをより分かりやすくするためにも必要でした。当然ながら背景なんて背景技術がないと書けません。最近はAI画像での背景も多く出回っていますが個人的なポリシーとしてAI画像には頼りたくないというのがあったので、どうしてもこだわりがある場所は自作。そうでない場所はクリスタのパーツやフリー素材として公開・あるいはBoothと呼ばれる創作物の総合マーケットで購入することにしました。


「枠」これも実は地味に大切。特に会話をさせるタイプのものだとフレーム一つで意外と世界観って出たりします。私は比較的シンプルな形にしたかったのでいろんなアプリゲームを見ながら会話ウィンドウを自作したり…。


「BGM」これも自分で作るのは至難の業。その場の雰囲気に合わせた音楽やSE(サウンドエフェクト・効果音)を探して、権利を確認してDLして…というのを繰り返します。


 ……うん!改めてこういったことを全部乗り越えて動画を作っている人たちはすごいなと畏敬の念を多くの方に向けてしまいました。場合によっては複数人で行う作業を一人で全部やろうというのですから、改めて考えても狂気に満ちています。

 同時に一つ、自分の中で一番の不安がありました。これ本当に、最後まで折れることなく走り切ることができるのか……?

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