第十二章 疼きの記録、語りの再起(レン編)


 ぼくの声は、閉じていた。


 守れなかった記憶が、胸を締めつけていた。


 でも、ユイの声が、ぼくの封印に触れた。


 レンの語りは、痛みの記録だった。


 タグに残された声は、震えていた。


 それは、誰かを守りたかった少年の叫び。


「ぼくは、語りを閉じた。でも、ユイの声が、ぼくの疼きを灯してくれた。だから、もう一度語りたい。ぼくの声で、誰かの春を守りたい」


 レンの語りは、炎のようだった。


 静かに燃えて、誰かの灯りになろうとしていた。


 変身は、語りの再起。


 疼きを受け入れて、声を差し出すこと。


 それが、ぼくの変身。



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