第36話 告白

「先ほどの時間的に余裕がないってどういうことですか。」

「私が、あんまりテニスが上達しないのに、ずっとやってるんで、夫がもうやめた方がいいいじゃないという感じで。」

「旦那さん、そんなこと言うんですか?」

「まあ、直接に言われてはいないんですけど、夫とうまくいってないんですよね。」

「そうなんですか。」

「ええ。もう、パパとママという関係になってしまって、男と女って感じじゃないんですよね。スキンシップとかもなくて。」

「でも、夫婦ってそんなもんじゃないですか。うちの父と母もそんなにベタベタしてかったですけど、仲はよく見えましたけどね~。」

「仲は悪いわけではないんですけど、男性として見られなくなってしまって・・。」

「それで、セックスレスなんです。」

 野口コーチは、「セックス」って聞いて、ちょっとびっくした顔で私を見た。

 私は、野口コーチの太ももに、手を置いた。そして、顔を彼の顔へぐっと近づけた。

「私、恋をしたいんです。この後、私と恋をしませんか。」


「成田さん。」

 私は、甘い言葉を期待した。ひょっとしたらここでキスを・・。

「こういうのは、止めましょう。」

 野口コーチは、さっと体を離した。そして、言葉をつづけた。

「僕は、結婚していないから分かりませんけど、成田さんは旦那さんと向き合った方がいいんじゃないですか。僕は、旦那さんの代わりにはなれません。」

 そう言うと、立ち上がり、

「僕は、プロのテニスコーチです。お客様と不適切な関係をもつことは絶対にないようにしています。テニスの相談ということで来ましたけれど、もう終わりのようなら帰りましょう。」

 野口コーチは、支払いをすると、

「では、またコートでお待ちしています。また私のクラスを選んでくださるなら。」

 そう言って笑顔を見せて、帰っていった。


 ああ、私は振られたんだ・・。婚外恋愛できなかった・・・・。

『うまくいった?』晴美さんからのLIMEが空しく映った。

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