第17話 企み

 テニススクールの帰り、私は、また晴美さんとカフェでお茶をしていた。

「ねえ。ちょっと聞いてくれる。昨日、旦那からセックスさせろって、せまられちゃった。」

「あそう。それで盛り上がったって話?ご馳走様。」

「ちがう、ちがう。もう、そんな気ないから,下だけ脱いで、『やりたきゃどうぞ』って言ってやったの。」

「ひっど~い。それで旦那様どうしたの。」

「最初は、ちょと触ってきたけど、あきらめたわ。」

「かわいそ~。いいのそんなことしてぇ。夫婦関係まずくない。」

「大丈夫よ。私は、普段は良き妻をしてるわ。家事だって家計だって、文句はないはずよ。夜以外はね。」

「夜以外はね~。」

 2人で顔を見合わせて笑った。

「瞳さんの方は、あっちの方はがまんできてるの?」

「あっち?」

「性欲よ。セックスなしで平気なの?」

「う~ん。旦那以外の男とやりたいって、思わなくはないわね。」

「どんな人がタイプなの?」

「今なら、野口コーチかな。あの日焼けした顔や腕で抱きしめられたいな、体だって鍛えてるし。」

 晴美さんは、ちょっと考えて、口を開いた。

「じゃあ。私、協力してあげようか。」

「どうするの?」

「テニスの相談とかなんとかで、飲み会をセッティングする。私と太田君とあなたと野口コーチの4人。本当はもうちょっと声をかけたけど4人になったという設定。いい感じになったら、私と太田君は消えるから、あなたたちもその後、ホテルでしっぽりっていう作戦。」

「そんなにうまくいくかしら。」

「野口コーチってとっても情に厚い感じするじゃない。だから、夫からレスられて悲しいとか、多少モラハラ気味だとか、悲劇の妻を訴えるのよ。私も、援護射撃するから。そうすれば、ああ、僕が力になってあげたいって思うはずよ。」

「それじゃあ。嘘をつくことになっちゃうでしょ。」

「婚外恋愛よ。恋愛には多少の嘘はつきものじゃない。まあ、におわせるだけでいいわよ。夫とうまくいってないって。それは事実でしょ。それを優しいコーチから慰めてもらえばいいのよ。」

「分かったわ。」

「じゃあ、セッティングの方は、私と太田君でうまくやるから、日時が決まったらLIMEするね。」


 晴美さんと別れて、良平を裏切ることになるかもしれないと頭をかすめた。でも、私は、野口コーチに抱かれることへの期待をしていた。





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