幼なじみに告白されたので、魔王を倒すことにした
@xzjdsgxu
第1話 俺の友達は1
「何してるの?」
机の脇に、聞き慣れた女の声が響いた。
目を開けると、そこには呆れ顔で立つ彼女の姿があった。ちなみに彼女は、二年A組の委員長で、次期生徒会長の最有力候補。男子の間で流れる「校内一可愛い女子」ランキング(俺は投票してない)で三位の、東山・夏美(ひがしやま・なつみ)だ。俺? まあ、どうでもいいさ。
来たのが彼女だと分かると、俺は顔を背け、机に突っ伏していた腕の位置を調整し、安らかに再び目を閉じた。
バンッ!
誰かが机を強く叩いた。ちっ、昼寝も満足にさせてくれない。
仕方なくまた目を開けると、そこにはさっきよりもさらに冷たい彼女の視線があった。マグロも凍るんじゃないかってくらいに。
「あんたって人は」彼女は一呼吸置いた。「休み時間って、こんなに貴重な時間を寝て過ごすなんて、青春の無駄遣いだと思わない?」
「残念ながら、俺の青春期はとっくに終わってるんだ。(誇らしげに)それに、これは英気を養ってるんだよ?次の授業に備えてな。この俺オリジナルの休息法、全国の高校で広めるべきだと思うぜ。もちろん、特許料は俺に払ってもらうけどね。(真剣に)」
「あんたから学びたいと思う人なんて、いないと思うわ」彼女は呆気にとられながら言った。「それより、普通の健全な高校生みたいに、人とまともな交流をしたらどうなの?」そう言って、彼女は俺の席の左斜め前方で固まっている三人組の女子を指さした。
「それ、どこのストラップ?」「わぁ、かわいい」「それそれ」
俺は彼女の方を向き直した。「健全な男子高校生である俺が、いきなり女子トークに割り込むのはどうかと思うぜ」
「あんた……友達いるの?」
「悪いな、友達は少ないんだ」俺はニヤリと笑った。「そっちこそ、友達とおしゃべりしなくていいのか? 例えば、互いの推しアイドルをディスり合ったり、『恋・愛・話・題』とかいうゴシップを囁いたりさ。こんなとこで俺と話してて、青春の無駄遣いじゃないのか?」
彼女の頬がぱっと赤くなった。「そんな風に女子を悪く言わないで! それに、それに…」
なぜか彼女は黙って顔を背け、小さな声で呟いた。
「…あんたと、一緒にいるのが、無駄遣いなんかじゃないんだから…」
「そろそろ授業だぞ」彼女が何を言ったかはよく聞き取れなかったが、俺は時計を指さした。
「あ、ほんとだ。じゃあ、席に戻るね」そう言うと、彼女は俺の席から離れていった。
机の脇に、彼女の体温が残っていた。
「おい」俺は彼女を呼び止めた。
「何? もうあんたの屁理屈は聞きたくないわ」彼女が振り返ると、栗色のポニーテールが揺れ、空中に弧を描いた。
「ありがとな、俺みたいな奴に青春を無駄にさせてくれて」
「なによそれ」彼女はふっと笑った。「これも屁理屈じゃない」
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