第3話 初めての体験

 処女喪失。大人の女性になる人生一度限りの一大イベントだ。これは身体的に穴に入れられて出血する(出血しない女性もいる。)儀式的な意味合いよりも、好意や愛情の多少はあれども男性から求められ、女性も相手の男性を信頼し、恋心や愛情を胸に恥ずかしさや痛みを乗り越えて受け入れる精神的成長の意味合いの方が大きい。古臭い言い方だが恋をしている女性が輝いて見えて、経験済みの女性が大人びて見えるのはこのためだ。

 だから男性から手付かずのままの女性は言うまでもないが、男性を好きになったことが無い、信用したことが無いまま女性が空虚なセックスを何回経験しても、精神的には“お子様”のままと言える。処女と大差は無い上、女性が素人童貞を馬鹿にするのと同様、つまらない経験をしている分普通の処女より質が悪い。


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 先輩の両親が不在の平日の夕方、下校して二人とも制服のまま先輩の部屋へ上がり、英語を教えてもらっていた。15分位経った頃、先輩が私の髪を撫で、肩を抱き寄せゆっくりと体重をかけて押し倒してきた。私にも覚悟があったので抵抗することなく床に背を向け、仰向けで先輩と向かい合うように寝転んだ。先輩はホッとした表情をした後、「このまま続けて良いよな?」、「俺を嫌いになって振ったりしないよな?」とでも言いたげに2回優しくキスをしてくれた。私は目を閉じてダランと両手を床に寝かせる事で恭順の意を示す。先輩は自分の制服のシャツと下着をまとめて捲り上げて脱いだ後、私のシャツの小さなボタンを1つ1つまどろっこしそうに外していき、シャツの裾をスカートから引っ張り出してから左右に開けた。先輩は私の発育途上の胸にブラジャーの上から軽く触れた後、ブラに指を添わせて正面から腋、背の方に進めきた。意図を察した私は背中を少し浮かせてホックを外してもらうとブラを下から上にズラし上げられ私の胸が露わになる。私の白肌の細い身体に程々の胸の膨らみとくびれた腰回りを見た先輩が「すげぇ」と小さな声でつぶやいたのが聞こえた。感触を試すように手の平で上下に包んでゆっくり胸を揉まれ、乳房や乳首を舐められた。自分の身体を舐められたのは初めての経験で、ヌルヌルした舌の感触とくすぐったさで身体がゾクゾクした。先輩は興奮してきたのかハアハア息遣いが荒くなり、舌や手の力が強くなった気がした。

 先輩の右手がスカートの中に入ってきて、両太ももの間に滑り込んでくる。指先が私の股間に触れ、たぶん人差し指と中指でパンツの上から私の割れ目に沿って指を上下に動かし始める。初体験で、かつオナニーをしない私にとっては、クイクイ擦られているだけ何をされているのか分からなかったが、人体の神秘と言うべきか自己防衛反応と言うべきか、ショーツに小さなシミができるくらいには濡れたみたいだ。先輩は私のスカートを捲り上げてショーツに指をかけ、ゆっくり足の方へ引っ張り脱がせた。母親がジャオンモールかどこかで買ってきてくれた正面のセンターに小さなリボンの装飾があるだけの可愛げもない安売りの下着を上下とも脱がされて、男性の前に裸体を晒す。この頃はビューティサロンにも行っていないから陰毛は自然体に生えたままだし、産毛やムダ毛もあったに違いないが、毛の心配よりも下着で隠していた所を男に見られているのが恥ずかしかった。何故恥ずかしいのか、何が恥ずかしいのか理屈は分からないが、自然と恥ずかしいという感情に支配され今更ながら手で胸と股間を隠し、左横に体を捩って寝転んだ。

 先輩は愛撫を止めて一旦立ち上がり、ベルトの留め金を外して今度もズボンとトランクスを一気に脱いだ後、部屋の衣装タンスからコンドームを1つ取り出してきた。

 「ちゃんとコンドームを着けるから。」先輩が私を寝転がせてから初めてかけてくれた言葉だ。

 「ありがとう。」私も上半身を起こして先輩の方を見る。先輩は封を指で切って500円玉くらいの直径のゴムを自分のチンポに被せた。今にして思えば普通サイズのごくありふれたチンポだったが、勃起したチンポを初めて見て「あんなのが本当に私の身体に入るのか?」とギョッとしたのを覚えている。ちょうどピンク色のコンドームだったので、装着後のチンポは人体の一部であることを一層主張しているように見えた。

 「カオルも制服を脱いじゃう?」

 「そうだね。」私もシャツを脱いで、肩からぶら下がっていたブラジャーを取り、スカートを足から抜いて手が届く限り遠く押しやった。畳んだりハンガーに掛ける心の余裕が無かったし、手も震えていた。

 「こっちにおいで。」立っている先輩の手を取って私も立ち上がるとベッドに寝るように促され、全裸でシングルベッドに仰向けに寝転んだ。先輩は寝ている私の足の方へ上がって来て、私の足を開いてその間に陣取り、コンドーム装着済みのチンポをアソコに押し当ててくる。反射的に力が入り太ももを閉じた。

 「痛かったか?」私は目を閉じたまま首を横に振って答える。この時はまだ痛くなかった。

 「もう一回いくよ。」先輩は私の太ももが閉じないように自分の腰を私の股間へギリギリまで近づけて、なおかつ左腕で私の右太ももを押さえながら入れようとしてきた。

 「痛っ。……先輩、ストップ。」先輩のチンポの先端が私の穴を押し広げる感触がして痛い。少し耐えてみようとしたが、痛みと恐怖で我慢できなかった。先輩はすぐにチンポを外してくれたので足の力を抜くことができた。先輩は乾いてきた私のアソコを再度優しく指で刺激してくれて、気持ち良いという感覚は無いが、私が無自覚に濡れたのを確認してから再々度チンポを押し当ててくる。入れる角度を調整したり、自分の腰の高さを変えたり、押し当てる力を強くしたりてジワジワとチンポを私の身体の中に突き刺してくる。

 「あ゛あ゛あ゛~。痛い痛い痛い痛い。…無理、もう無理ですって。」濡れていたおかげか先輩の亀頭が無事に私の入口を通過したのは良いが、文字に書けないような変な濁った声を出してしまい、鼻の穴も最大限広がって私の過去イチの変顔だったはずだ。額や背中にも汗をかいているのが分かる。私は少しずつ入ってくる体内の異物感よりも入口の激痛の方が辛く、それが竿の長さ分続いたのが耐えらなくなって、右手を伸ばして先輩の太ももを小さく何度もタップし止めてもらった。

 「痛かったか、ゴメンな。でも、全部入ったよ。」と先輩が言ってくれた。

 「本当ですか。…良かったぁ。」私もこれで無事に処女を卒業。呼吸が大きく乱れ入口が破れそうにヒリヒリ痛いままだが、後は男がイクまで我慢すれば終わりだ。

 「動かすけど、痛かったら言ってくれ。」

 「は、…はい。」


 私は初体験を無事に終え、処女を喪失した。周りの同級生の中に経験済みの子が少なからずいて、話を聞いていたからおおよそ何をされるかは分かっているつもりだったが、想像を絶する経験だった。ただでさえ入口が破れそうで痛いのに、先輩は腰を前後に動かしてチンポを穴の中で出し入れし始めた。不幸中の幸いだったのは、先輩のが穴から全部出てしまう前に中に戻ってきて穴から抜けてしまわなかった事だ。一度完全に抜けてしまったら、その日はもう入らなかっただろう。私がこんなにも痛い思いをしているのに先輩は興奮しているのか、余裕や私への気遣いが薄れて力加減が強くなり、動きが激しくなっていく。私は涙を浮かべながら枕をギュッと握って我慢し、腰を引いたり浮かせたり何とか痛みが和らぐ方法は無いかと動かしてみるが、先輩の力強い腕で腰を掴まれて戻される。殺されるのとは真逆の行為だが、私は初めて男性が恐ろしいと感じた。

 先輩の激しい動きが止まったことで終わったのが分かった。痛みに耐えるのが精いっぱいで射精されたことには全く気付かなかった。私は体中力んでいたのでどっと汗が出てぐったりした。快感は無く、先輩がやっと動きを止めてくれたという達成感と解放感が強かった。先輩は私からチンポを抜いてコンドームを外す時に血液が付着したのに気か付いたのだろう、多くは語らず一言「ありがとう」と満面の笑顔で言ってくれた。私が高校1年生の夏だった。


 これが最初で最後のセックスではなくて、この後も毎回ではないがデートの度に先輩とセックスをした。両親が共働きの先輩の家ですることが多かったが、私の部屋に来てすることもあった。母が家にいても私の部屋が2階だから音を立てないようにキスや触れ合うことは出来たし、母が友人とアフタヌーンティーや買い物に出ている時は私のベッドでセックスもした。既にアソコにチンポを入れられたのだから、自分の部屋に男を迎え入れても今更部屋を見られるのが恥ずかしいとか、汚されるのが嫌だとかも無い。先輩の家だと事後シャワーを借りる事ができず、ウエットティッシュ等で拭き取るものの帰宅するまで少し気持ち悪いし、嫌な匂いがする時もあったが、自分の部屋ならどこに何があるか分かっているし、拭き取りや着替えも、水分補給も思いのままでリラックスして臨めた。それでもコンドームだけは先輩にどこかで買って持参してもらった。

 すぐに慣れたわけではない。少しずつ痛みを感じなくなり、多少濡れやすくなり、気持ち良い感覚は無いが楽しくはあった。普段堂々としている先輩が急にモジモジして視線を送って来て、私がふざけて「今日はイヤ」と断ると、先輩がシュンと俯いて拗ねる。行為に及べば、普段明るくて面白い先輩が真剣な表情で無言のまま私の胸を吸って、微笑ましく思った。次第に興奮が高まると自分でも制止が効かなくなるのだろう、優しくて私を大事にしてくれる先輩がこの時だけは力いっぱい私の身体を掴んでチンポをねじ込んでくる。まるでライバル校の選手を打ち負かすように汗を流しながら呼吸を荒くして、体をぶつけながら激しく動き、か弱い私の身体を征服して満足する。征服と言ってもまだ高校生同士で、先輩も経験済みとは言え百人切りの猛者とかではない。せいぜい2~3人だったはずだ。愛撫と言えば抱き合ってキスをして、私が胸を吸われたり股間を触って濡らしてもらうくらいだ。風俗店や支配服従関係のようなフェラやクンニも、手コキや指入れもしなかったし、先輩から持ち掛けられた事も無い。私達はディープキスすらしなかった年相応の健全な肉体関係だった。

 行為が終わると先輩はコンドームをサッと外してティッシュに包んでゴミ箱に捨てる。お互いに背を向けてウエットティッシュで色々な液体を拭いている頃には、元気にそり上がっていたチンポが縮み、「痛いことをしてゴメンね」と私に謝っているみたいに下を向いているのが可愛い。一度冗談で「可愛いね」と言って指でつついてみたら、先輩は照れ笑いしながら手で隠し「また元気な時に見せてやる」と言われた。男性は勃起していないチンポを見られるのが恥ずかしいみたいだが、私は平常時のチンポが可愛いくて面白いと思う。

 先輩が在校中はもちろん、先輩が卒業して大阪の大学に進学した後も恋人関係は続き、先輩が大学2年生の春につまらない女を“つまみ食い”して妊娠させてしまって別れる事になるまで続いた。私は先輩が高校を卒業した後もラグビー部の名ばかりマネージャーで、試合観戦をして応援する以外にマネージャーらしい雑務は何もしなかったが、それでも先輩の後輩達が私をお姫様扱いしてくれたおかげで3年間ずっと快適な高校生活を送れた。結局、高校時代につきあった男性は先輩一人だけだったが、私は他の女性よりも性欲が弱い方なのか全く不自由せず、また彼氏が欲しいと思う事はなかったし、オナニーに目覚める事も無かった。

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