『ゲーム実況、始めました。ヒロインは君と、私の声』
登場人物:
* ミナミ: 本作のヒロイン。声優志望の快活な少女。
(SE:放課後の教室のざわめき。チャイムが鳴り、少し静かになる)
ミナミ: (モノローグ)文化祭の出し物、ゲーム実況だって。私、絶対やりたいって思ってたんだ。隣にいるあいつは、顔色悪くしてるけど。人前で話すの苦手なんだって?そんなこと言ってる場合かよ!
(SE:椅子を引く音、マイクのセッティング音)
ミナミ: (モノローグ)ほら、マイク、ここに置いたから。大丈夫、大丈夫。顔は映らないから。マイクに息を吹きかけて、ちゃんと音が出るか確認。あいつ、緊張で震えてるな。
(ASMR:マイクに息を吹きかける音。)
ミナミ: (モノローグ)マイクテスト、マイクテスト。あー、あー、聞こえるー?……って、なんだよ、その顔。ははっ、緊張しすぎだって!
(SE:ゲームの起動音。オープニングBGM)
ミナミ: (モノローグ)よし、始まった。私の声が変わる。スイッチを入れる。これが、私の勝負服。さあ、私だけのステージの始まりだ。
(ASMR:ミナミの笑い声。少し身を引くような音)
ミナミ: (モノローグ)ゲームの戦闘が始まった。今の技、すっごいかっこいい!……あいつ、私にマイクを向けた。早く、喋れって。私がマイクに顔を近づけると、あいつは恥ずかしそうに顔を背けた。
(ASMR:ゲームのキャラクターの声を真似たミナミの声。普段からは想像できない、滑舌の良い、ハキハキとした声。)
ミナミ: (モノローグ)……あれ、なんか、あいつの声が聞こえた気がした。いや、そんなはずないよな。私の、思い過ごしだよな。
(SE:ゲームのボス戦BGM)
ミナミ: (モノローグ)……でも、やっぱり、あいつの声が聞こえる。ネットで人気のゲーム実況者、「声の人」にそっくりだ。……まさか、あいつが……?
(ASMR:ミナミの息づかいが、少し荒くなる)
ミナミ: (モノローグ)……ホントに?お前が、あの「声の人」だったの?……嘘だろ……。……なんで私に黙ってたんだよ…。
(SE:ゲームのクリア音。ファンファーレ)
ミナミ: (モノローグ)ゲームが終わり、静けさが戻る。あいつに聞いてみた。「どうだった?」って。あいつは何も言わずに、私の頭を優しく撫でた。
(ASMR:優しく、頭を撫でる音)
ミナミ: (モノローグ)あいつの優しい手に、胸が熱くなった。「最高のヒロインだよ」って。そう言ってくれた。
(SE:教室のざわめきが、再び遠くから聞こえてくる)
ミナミ: (モノローグ)……そっか。私の声が、あいつの最高のヒロインか。
(ASMR:ミナミの静かな息遣い。遠ざかるざわめき。)
おしまい
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