第7話 お前のことをもっと知りたくて......
(明日は愛鈴とデートか...... )
夕食を済ませた要は、ベッドで明日の予定について考えていた。
(考えてみれば、俺って愛鈴のこと全然知らないんだな...... )
明日のデートでどこに行こうか考えれば、考えるほどに、いかに自分が愛鈴のことを知らないのかを痛感する。
そんなことを考えているとスマホに着信が届いた。
(こんな時間にいったい誰からだ?)
時刻は、夜八時。そんな時間に電話を掛けてくるような知り合いは今までいなかった。
「はい。」
「あっ。もしもし要くん!。」
スマホの向こうから聞こえてきた声は、聞き覚えのある声だった。
「愛鈴か。どうしたんだこんな時間に?」
「明日の予定を確認しておきたくて...... 」
「実はまだ、ハッキリとは決められてないんだ。」
明日のデートは、要がデートをエスコートすると言い出したので、それならデートスポットは要に選んで欲しい。との愛鈴のお願いで、要が場所を決めることになっていた。
「そうでしたか。わかりました、では決まり次第連絡を下さい。」
「と言うかこの話をする為だけに電話かけて来たのか?スケジュールを知りたいだけなら、別に電話じゃなくてもよかったんじゃ無いか?」
スケジュールを知りたいだけならば、メッセージアプリで聞くだけで十分なはずだ。
それに、そんなことに愛鈴が気づけないとは、到底思えなかった。
「実は、要くんと少しお喋りしたかったんです。」
「それなら、学校で十分話してるんじゃ無いか?」
「その、学校でも確かにいつも喋ってますけど、そうじゃなくて、要くんと電話というものをして見たかったんです。」
どうやら愛鈴は、電話を誰かとして見たかったらしい。
「もし、よろしければ少しの間で良いので、もう少しだけ話しませんか?」
「どうせすることもなかったし、少しと言わず、愛鈴が満足するまでの間。電話してやろうか?」
「良いんですか?」
「どうせすることなかったしな、それに愛鈴には勉強教えてもらった借りがあるしな。」
愛鈴には、勉強を教えてもらった借りがある。それに、愛鈴のことをもっと知る良い機会だからな。このチャンスを逃す手はない。
「ありがとうございます!では今回はお言葉に甘えさせて貰います。」
「でも、電話するったって一体何話すんだ?」
「そうですね...... じゃあ互いの気になってることを交互に聞いていくのはどうですか?」
「それ、良いかもな。じゃあどっちから聞く?」
この愛鈴の提案は、今の要には、嬉しい提案だった。
「では、まずは私から...... 。そうですね...... では、要くんは普段家ではどういった生活を送っていらっしゃるんですか?」
「そうだな...... 家では基本飯食って寝るだけの生活だな」
普段の家での生活は、本当になんてことのない普通の生活を送っていた。
「えっ!何かもっとこう...... 趣味的なこととかはしないんですか?」
「そう言われても本当に何も...... あっ!たまに流行ってるゲームとかやったりするな。」
「なんか、要くんって思ってたよりも、普通の生活を送っていらしたんですね。」
「普通で悪かったな。」
「では、次要くん行きましょうか。」
散々人のこと、普通って言ってくれたんだ。そう言う愛鈴は普段どういったことをしてるんだろうな。
「全く同じ質問になるんだが、愛鈴は普段どんな生活を送ってるんだ?」
「私は、そうですね...... さっき要くんがいってたことと、それからペットのハムに餌あげてるくらいですかね。」
「愛鈴ペット飼ってるのか?名前がハムってことは豚か?」
もし、そうなんだとしたら、凄いネーミングセンスだな。
「違いますよ!。確かに子豚も可愛いですけど違います。私が飼ってるのは、ジャンガリアンハムスターです。」
「へぇ〜。愛鈴ハムスター飼ってるのか。」
「凄い可愛いんですよ?人懐っこくてボールに入れて、ゲージから出してあげると凄い喜んでくれるんですよ?」
楽しそうにハムスターの話をする愛鈴を見ていて、とても大切に扱ってるんだなと思った。
「じゃあ、何か趣味はないのか?」
「趣味ですか...... そうですね、昔から続いてるのは読書。ですかね?」
「読書かぁ。俺は読んだことないな...... 。愛鈴はどういったのを読むんだ?」
せっかくだから、愛鈴の読んでる小説を、自分も読んでみるのも悪くないかもしれないな。
「そうですね。ちょっと前まではミステリーものを多く読んでましたね。ミステリーものは、人によって描いてることが結構違うので、それぞれ味が出ていて面白いんですよ?」
「ちょっと前ってことは、今は違うジャンルのものを読んでるのか?」
「ええ。そうなんですよ!最近は、恋愛ものの小説を読み漁ってるんですけど、凄い面白いんですよ。最初はちょっと抵抗あったんですけど、物語に出てくる男の子が要くんみたいにかっこよくて...... あっ。」
愛鈴は、自分が口を滑らしたことに気がついて、耳まで顔を赤くした。
「俺のこと、カッコいいと思っててくれたのか?」
「それは、その................. はい。」
そう褒められるのは、悪くない気分だった。
「そっか。愛鈴は!、俺のことをカッコいいと思ったのか?」
「もう!恥ずかしいので、あまりからかわないで下さい!」
「ごめん。ごめん。愛鈴のリアクションが可愛くてつい揶揄い過ぎた。」
「もう、あんまりそう言うこと、言わないで下さいよ。」
「私はもう寝ます!。明日の為にも、もう寝て起きたいですから。」
「そうか、じゃあまた明日な。」
「ええ。おやすみなさい。要くん。
「おやすみ。愛鈴。」
(よしっ!、明日の予定決めるか)
電話を切ると、もう一度明日の予定を練り直した。
「要くん...... 今日は私の為にわがまま聞いてくださって、ありがとうございました。明日の遊園地、楽しみにして、待っておきますね!、ではおやすみなさい...... 」
「楽しみに待っといてくれ、じゃあまた明日な、おやすみ!」
自分のわがままに付き合ってくれた要に対してのお礼をすると、愛鈴は通話を辞めて、就寝した。
電話を切ると、要は明日のプランを練ってから、眠りについた。
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