第2話

昼の地獄


はー」

モブ1「よっ!焦げパンw」

ムル「……は?」

モブ2「お前、全国デビューおめでとー!」

ピカタ「(何言ってんだコイツら…?)」


──ざわざわする教室。

机にカバンを置いた瞬間、数人が一斉にスマホを見せてくる。そこには真っ黒に炭化したパンを前に呆然とするムルの姿。


ムル「!?!?!?な、なんで!?なんでこんな……!」

ピカタ「おいムル、説明しろ。俺は知らんぞ」

タシャ(後ろの席からにやり)「あ、見つかった?」

ムル「タシャァァァァァ!!!」

タシャ「昨日、静かに撮っておいたんだよね〜。SNS上げたらすぐ伸びちゃってさ」

モブ3「“焦げパン少年”タグ、今トレンド入ってるぞw」

ムル「うわぁぁぁぁお嫁にいけない〜〜〜!!!」

ピカタ「(いや元から行ける予定あったのかよ)」


──結局、その日の授業中もずっと「焦げパンw」の囁きがムルの耳を突き刺していた。

ピカタはノートを取りながら「…自業自得だろ」と呟いたが、当のムルは机に突っ伏して“全国デビューの重圧”に潰されていた。



放課後。

下校のチャイムが鳴り響き、ピカタが荷物をまとめる。


ピカタ「ほら、帰るぞ。シェアハウスの夕飯逃したらまたネタにされるからな」

ムル「……俺、もう外歩けない……」

ピカタ「バカ、ただのネタ動画だ。明日には忘れられてるって」

タシャ(横からひょいと顔を出す)「忘れられないように、次は動画でシリーズ化しよっか♪」

ムル「やめろぉぉぉぉ!!!」

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