第4話

 SE//複数の風鈴の音


SE//スピーカーから太鼓の音


「縁日やってるんですよ?いきましょ?」


(ふたりは教室の中に入る)


「いろいろやってますね……」


「せっかくなら、一緒になにかしませんか?」


「あれ!!あれ、やりましょう!!スーパーボールすくい!!」


(僕としおんはスーパーボールが入ったビニールプールの前に座る)


SE//遠くから水流を作るモーターの音


「一緒にやる必要ない……ですか?」


「確かにそうですね……」


「なら……」


「どっちが多くスーパーボールを多く取れるか、勝負しましょう。勝負」


「勝負は、ひとりじゃできませんよ?」


「なら、勝った方が負けた方のいうことを聞くっていうのはどうですか?罰ゲームがあった方が、盛り上がりますよね?」


(僕はうなづく)


「本当に?」


(僕としおんは店番の生徒からポイを受け取る)


「ソールの高い靴でかがむの、辛いんですよね……」


(しおんは少し近づいて)

「でも、……お義兄さんと近いんですよ?」


(しおんは僕の耳元によりながら)

「かがんだ分、立ってるときよりも、もっと……」


「それじゃぁ、レッツスタートです」


SE//水の中にポイを入れる音


SE//スーパーボールをすくっておわんに移す音


(しおんは僕から離れる)

「結構、うまいですね」


(しおんは僕をじっと見つめる)

「……お義兄さんって……。その……」


「案外、きれいな横顔してるんですね」


「いや……今、気が付いたっていうか……」


「その……こんな近くでお義兄さんの顔、見たことなかったし……」


SE//ポイからスーパーボールが落ちて着水する音


「あっ……」


「お義兄さんは3つですね。今、わたしは2つなので……。わたしの方が有利ですね」


「あっ……。別に……あの、……こんな卑怯な手で勝ちたいわけじゃなかったんですけど……」


「でも、勝負は勝負ですから」


(しおんは即座に1個スーパーボールをすくう)


「これで、あと1個でわたしの勝ちです」


SE//しおんが息を吸う音


「いきます!!」


「そんなにわたしのこと見ても……、なにも出ませんよ」


(しおんは僕の方を見る)


「えっ……。わたしもかわいい……?ですか……?」


「そういうこといっちゃうんですかぁ?」


「へぇ~~~~」


(しおんの視線がプールに向く)


「ふ~~~ん……」


「え~~~~?」


「でも、……そんなので隙ができたりしません」


SE//水の中にポイを入れる音


SE//おわんにスーパーボールを入れる音


「……これで、わたしの勝ちですね」


「勝ちでいいんですか……?」


「勝ちは勝ちでいい……ですか?」


「ホントに……?」


「ホントの、ホントに?」


「ホント~~にどんな罰ゲームでも……?受け入れてくれるってことですか……?」


「そんなにすごいお願いするのか……ですか……?」


「……」


「……ないしょ」


(ふたりはスーパーボールのブースから離れた)

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