第十七話 掲示板の熱狂と二枚看板の噂

ネットの反応


 二回戦、蒼志館が強打の明神商業を2−1で下した翌日。

 地元の掲示板は、夜通し熱気を帯び続けていた。


【蒼志館スレ part62】


521 :名無しさん@野球好き

明神に勝ったのマジかよwww

蒼北と明神連破とかもう中堅校じゃないだろ


524 :名無しさん@野球好き

如月の低めスライダー、白石にだけ通じなかったな

あいつ4安打とかヤバすぎだろ


527 :名無しさん@野球好き

でも最後は高城が締めたの熱かったわ

150km直球3球で黒田をねじ伏せるとかロマンすぎ


531 :名無しさん@野球好き

ダブルエースやべぇな

「試す如月、締める高城」って形になってたw


535 :名無しさん@野球好き

蒼志館=二枚看板のチームって印象ついたな

県内で一番怖い投手陣になったんじゃね?


【県大会総合スレ】


690 :名無しさん@観戦民

蒼志館、完全にダークホースだな


693 :名無しさん@観戦民

明神の黒田が如月に空振り三振、高城には3球三振ってwww

あいつ今年プロ注目って噂あったのに


697 :名無しさん@観戦民

白石は4安打打ったけど、それでも勝てないあたり蒼志館やばいわ


700 :名無しさん@観戦民

県大会の優勝候補に名前挙げていいレベルになったな

次はどこと当たる?


【野球好き匿名掲示板】


88 :名無しさん@スカウト目線?

一年の左腕が130後半出して、スライダーとシュートを自在に操る

さらに上級生の速球派右腕が150出せる

二人揃ってるチームなんて県どころか全国でも稀だろ


92 :名無しさん@観戦民

↑なんかやけに詳しいなw スカウト乙


96 :名無しさん@匿名

まあプロ志望届出す頃には名前が残るかもな

それくらいの素材


他校の視点


 県内の強豪・鳳凰学園の練習場。

 キャプテンがタブレットでスコアを確認し、仲間に言った。

 「蒼志館……完全に二枚看板で来るな」


 エース投手は真剣な顔で呟いた。

 「如月は低め徹底、高城は直球勝負。タイプが全然違う。対策が難しい」

 監督は短く頷いた。

 「必ず当たる。攻略できるかどうかが優勝の分かれ目になるだろう」


蒼北工業の部室


 敗退した蒼北の四番・堂前はテレビで試合のダイジェストを見ていた。

 「……あの一年、やっぱりただ者じゃない」

 キャプテンが肩を叩いた。

 「俺たちは負けた。でも次の世代に伝える。『如月隼人に打ち勝て』ってな」


蒼志館の夜


 部室を出た帰り道。

 スマホを開けば、自分の名前が掲示板に踊っている。

 「魔球スライダー」「二枚看板」「全国クラス」……。

 胸の奥に熱が宿る。


 (ここからだ。俺たちはまだ、全国に名を轟かせていない)


 隣を歩く高城が、不意に口を開いた。

 「如月。お前が投げるから俺も投げられる。二人で勝ち上がろうぜ」

 その言葉に、自然と笑みがこぼれた。

 「もちろんだ」


 夜風が、二人の肩を静かに押した。


現在の能力表(如月 隼人)


球速:137km/h


コントロール:B+


スタミナ:B


変化球:スライダー6/シュート3


特殊能力:奪三振◎/対ピンチ○/低め○/キレ○/打たれ強さ○/逃げ球/クイック○


備考:二回戦突破で「ダブルエース」として話題に/ネット掲示板で全国レベルと噂され始める

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