『転生サイドスロー ~左腕の魔球で全国制覇~』
kuroeru
第一話 『転生サイドスロー ~左腕の魔球で全国制覇~』
――俺の野球人生は、失敗だった。
左のサイドスローという希少な武器を持ちながら、プロの舞台で芽が出ることはなかった。
二軍暮らしの日々。ファームでいくら三振を奪っても、一軍の舞台では制球難と力不足をさらけ出すばかり。
何度もチャンスは与えられた。だが、結果を残せたことは一度もない。
気がつけば、三十を越えた。膝は悲鳴を上げ、球速は落ち、球団から戦力外通告を突きつけられた。
「俺は……何のために投げてきたんだろうな」
ロッカールームで最後のユニフォームを脱ぎ、静かにバッグにしまった。隣では後輩たちが「来季は勝負だ」と笑っている。俺には、もう未来がなかった。
◆
その夜、酒に逃げた。
居酒屋のテレビに映るのは、同期入団のエースが一軍マウンドで歓声を浴びる姿。
インタビュアーのマイクに、彼は誇らしげに答えていた。
――俺には、一度も訪れなかった光景だ。
終電を逃し、酔った足取りで深夜の国道を歩いた。
「せめて……もう一度、やり直せたら」
つぶやいた瞬間、轟音とともにヘッドライトの光が迫ってきた。
――世界は真っ白に塗り潰された。
◆
「……ん?」
まぶたを開けると、見覚えのある天井。
いや、忘れようのない場所だ。実家の自分の部屋。
慌ててカレンダーを手に取る。
「20XX年 4月1日」
息が止まった。プロ入りの八年前。ちょうど高校入学前の春――。
鏡に映ったのは、皺ひとつない十五歳の俺だった。
「マジかよ……」
膝の痛みもない。体は軽く、全盛期よりも動ける感覚。
そして視界の端に、奇妙なパネルが浮かんでいた。
――青と赤で区切られたステータス表。
【投手能力】
球速132km/h
コントロールC
スタミナC
変化球:スライダー3/シュート2
その下には特殊能力が並んでいた。
奪三振◎/対ピンチ○/キレ○/打たれ強さ○/逃げ球
「……パワプロの、能力パネル?」
前世では夢のように憧れたスキルたちが、今の俺に宿っている。
震える手でパネルを撫でながら、胸の奥が熱くなった。
――今度こそ、やり直せる。
失敗した野球人生を。もう一度、この手で掴み取るのだ。
現在の能力表(如月 隼人)
球速:132km/h
コントロール:C
スタミナ:C
変化球:スライダー3/シュート2
特殊能力:奪三振◎/対ピンチ○/キレ○/打たれ強さ○/逃げ球
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