第2話 変化
授業終わりのチャイムが鳴る。
(はあ。あの人のことを考えるだけで幸せ)
(今日の授業はあの人のことを考えてるだけで終わった気がする。)
まあいいか。
一時間目の授業が終わり、二時間目に向けて準備をする。
二時間目は数学か。
(嫌だな。私、数学苦手なんだよな。)
憂鬱だ。
それは、数学の先生が厳しいからだ。
問題が解けるまで計算しなきゃいけないという方針なので、放課後居残りさせられることも多い。
(今日も居残りさせられるのだろうか。)
そんなことを考えながら、授業の準備を進める。
準備が終わり、前を向くとまた、美人の女の子と目が合う。
私が知らなかっただけで、実はクラスメイトだったのだ。
気まずい。何を話したらいいか分からない。
「次は数学の授業だね。頑張ろうね。」
「………………。うん。」
ようやく話してくれた。
返事だけだったけど。
まあいいか。一歩前進だ。
振動していた胸が落ち着き、ほっとした。
(髪が綺麗だったな。)
(美人だし、声も素敵だったな。)
好きだ。
少し話せた嬉しさと、あの人のことを考えただけでまた胸がドキドキと振動する。
チャイムが鳴り、先生が言う。
「起立、礼、着席。」
「数学の授業を始める。」
「ここの式を田中。」
「はい。」
(毎回のことだが、最初に指名をするのやめてほしい。)
数学が得意ならいいのだが。
あいにく私は数学が苦手だ。
問題が解けずに困っていると、あの人が手をあげた。
何かと思っていると、あの人が来て教えてくれた。
「ここの式は、こういう風に解くと、解きやすいよ。」
「ありがとう。助かったよ。」
優しい。美人なだけではなく、心まで優しい。
好きだ。好きだ。好きだ。
今、告白したい。
この場が二人だけの空間であれば、告白するのに。
終わり。
次に続きます。
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