No.6 第2話の感想
続きです。
>第2葉 歪んだ郷にて、“視えてしまった”もの──20歳(春の始め)
歪んだ郷。悪い人がそう見える、というだけではなくて郷全体。
悪い因習でもありそうです。
> いろんな土地から骨董品が集まるっていう、“
> 入り口の太い柵が、目の前に見えてきた。
> 赤い
> 格式があるって聞いてたけど……たしかに、港町とは雰囲気がちがっていた。
骨董なんて高尚な文化があるという点を考えると、この郷にはそういう趣味を是とする人がいそうです。
偉い人なのか、郷全体でそういう文化を貴んでいるのか。
> “
> 骨董を売っている人たちも、声を張らず、手で合図したり、そっとお客さんに話しかけていた。
>「……港町みたいに、大きな声でお客さんを呼ばないんだ」
> その様子が、なんだか不思議だった。
あまり骨董市へ行ったことがないので分かりませんが。
人が多ければ呼び込みもしていそうですが、淡々としている人が集まっているのでしょうね。
> 外から見えるだけでも、壺や刀に、絵まで飾ってあって。
> 護身用のものもあれば、農具や、ヤカンみたいな生活道具もある。
> 不思議な取り合わせなのに、どれもきちんと並んでいるけど……ヤカンって骨董品かな?とは思った。
地味に突っ込んでます(笑
時代背景的に鍛冶も盛んで、庶民に行き渡っているところから江戸時代くらい、でしょうか。
そうすると、南部鉄器的な薬缶もありそうなものです。
> だけど──
> 郷の入り口をくぐった瞬間、体がずしりと重くなった。
> 足が、一歩ごとに思うように動かない。
>「……あれ、疲れちゃった……のかな」
第1話で出てきたシーンです。
重い荷車を引いて来ましたからね、そう疑っても自然でしょう。
> 水でも飲もうかなと思った、そのとき──
>「──え……?」
> すれ違う人の体が、わずかに斜めにズレて揺れて見えた。
> 顔と体がちぐはぐに歪んで……まるで空気ごとゆがんでいるようだった。
これはどんな光景なのでしょう。
影がついて残像が残るような雰囲気でしょうか。
> 息が苦しい。
> のどが張りついて、声が出ない。
> 耳の奥で、金属がこすれるような音が響いた。
> その瞬間、目の奥に熱が走り──視界が真っ白に染まった。
>「っ……!」
おっと、これは強烈です。
ハノカ、大丈夫?
> 頭を殴られたみたいな痛みが広がり、ぐらぐらする。
> 吐き気がこみ上げ、腰から力が抜けそうだった。
> ──でも。
>「はぁ、はぁ……お仕事は、やり遂げなきゃ……っ」
大した気力です!
体力お化け(?)で荷車を引いてきただけあります。
> ここで投げだしたら、二度と任せてもらえない。
> 紹介人のおじさんの顔が浮かんだ。
> 歯を噛みしめ、荷車の手綱を握り直す。
おじさん、ここでも活躍してます!
やはり良い味を出す人は違いますね(何
> 視界はまだ水の中みたいにぼやけていたけど、輪郭と色を頼りに歩いた。
> 遅い歩みのせいで、すれ違う人たちの口元がちらちらと動くのが見える。
> ひそっと何か言われているようで……胸の奥がぞわりとした。
ヨソモノが来て、チラチラ、ヒソヒソ。
心地よいものではないでしょう。
> 《自分だけが、浮いて見える──》
> あの感じ。
> 実家で何度も味わった疎外感と、よく似ていた。
実家での疎外感はハノカ自身の特殊能力による感覚の浮きでした。
ここでも同じように感じるというのは、彼女の感覚で捉える何かがあるのでしょう。
> 汗で滑る手を羽織で拭い、もう一度しっかりと手綱を握る。
> わたしは、ただ前を見て大通りを歩いた。
> 早く、依頼人のもとへ辿り着くために。
> でも──通り過ぎる人たちは後ろの景色までが、墨を垂らしたみたいに黒く染まっていて……。
> 境目には、じわりと黒がにじんでいた。
奥へ行けば行くほど瘴気が濃くなる、という雰囲気でしょうか。
ここまで来ると気合で進んではダメと思いそうです。
> な、なんで……みんな顔が、真っ黒なの……っ。
> ぼやけた視界の中、蛇のような黒い線がぬるりと這っていた。
> その上に、何かが重なるように──
> 文字のような《もや》が、淡く浮かんでいた……。
> なのに、誰も、気にしてない。
> 見えてるの、わたしだけ……?
仮にこの状況になったとして……。
疑うのは何でしょう。自分自身?
自分の感覚を信じているなら、魔境へ足を踏み入れたと警戒するところです。
ハノカの無自覚さが何とも不安ですね。
> さっき通り過ぎたおじいさんも、近くに立っている女の人たちも──
> 視線を向けると黒白の網模様の着物人たちは、みんなの顔や体に……黒い“もや”が、くっついていた。
>「どうして、こんなことに……っ」
> 震える指先で、荷車の手綱を──爪が真っ白になるほど、強く握りしめてた。
> 今すぐ走り出してしまいたかった。
むしろ引き返すところなのでは……。
出直しが無難そうなところと思います。
無茶して進むのが主人公ムーブです。
> でも、そのとき──ふいに浮かんだ。
> どこか緩くて、まっすぐな声……。
>『──職人なら、信用第一。依頼はしっかりこなせよ~』
>「……信用第一、ですよね。師匠……」
> 自分に言い聞かせるように、そっと息を吸い込んだ。
ここはおじさんではなかったようです。師匠です。
アイデンティティを構成する師匠の言葉。
> 忘れちゃいけない。
> わたしの、“
> 鍛冶修行のなかでやっていた、日用品の細かい直しから、剣や盾の鍛え直しまで──
> “
> 人として、信頼をくずしちゃいけないって……そう、教わってきた。
うん、とても良い教えです。
良い師匠です。
でも、この状況で「丁寧にこの後も頑張ろう!」と考えるのはどうかと思います。
ハノカ、思い出すものを間違ってません?
> ふぅっと息を吐いて、背中をつたう汗に気づく。
> 痛みも、震えも──顔に出さないようにして。
> ──歩きながら、地図で見た風景を思い出していた。
> この
心身に負担がかかっているのでしょうに、良い思考をしています。
状況把握は大切です。
> 少し曲がりくねった大通りを挟むように──
> 一つの長い建物に、いくつか並んだ入口があって、そこでは骨董品を扱うお店が軒を連ねていた。
> セメントで舗装された商店街の通りから、脇の小道をのぞくと──
> すき間ごしに、木造の平屋がいくつも見え隠れしていた。
地味にセメントがあるようですね。近代的です。鉄筋は入っているのでしょうか。
舗装路は荷車的には楽そうです。
> 郷の奥には、道がそのまま“赤い鳥居”へと続いていて……
> 地図には、そんなふうに描かれていた。
>「たしか、依頼人は……郷の裏手にいるはず、だったよね」
そういえば村があって鳥居があって終わり、という簡便な地図でしたね。
違和感を抱いていないところを見ると意外に正確だったのでしょう。
> 入ってきた入口から、そのまま大通りを進んでいくと──
> やがて、郷をぐるりと囲う低い生垣が見えてきた。
郷の境界に生垣があるのですね。
分かりやすくて見栄えも良いですが、人や動物といった侵入者を排除する効果はなさそうです。
> 視界の滲みは、だいぶ落ち着いてきた。
> だけど、道行く人たちの様子が……やっぱり、おかしい。
しかし、郷の人が皆、こんな状態なわけですよね。
よほど穢れてるように感じます。
>「早くここから出たい……っ。
> だけど、裏手って言っても……どこのことなんだろう」
> あまり顔を上げずに、周りをゆっくり見ていた、そのとき──
> 近くの建物の陰から、男の人の声がふいに聞こえた。
見ることでも負担になっていそうです。
早く出たい気持ちは良くわかります。
この場所のせいだと気付いてますからね。
>「──
> あそこの奴らはねぇ、鼻っつらの曲がった根性曲がりの連中ですからねぇ。
> ……えぇえぇ、ぜひ、ウチの郷の品を見てってくださいよ」
鼻っ面がひん曲がっていそうなやつの声が聞こえてきました。
>「そうかい? 郷長のあんたがそこまで言うんじゃあ、ちょいとこっちを見ていくかね」
> 建物の陰から、そっと覗いてみた。
すかさず首を突っ込むハノカ!
> ──“郷長”って、さっき呼ばれていたから……きっと、あの人だ。
> 手触りが良さそうな絹の羽織に、
> 男の人は、大通りへ向かって笑顔で歩いていった。
> あの男の人の顔は……ちゃんと見える。
外来の方は正常だったわけです。
> ──だけど、《郷長さん》の顔は、墨で塗られていた。
> ひょろっとした背が高い体も、少しだけズレて見えている。
> ふと視線を落とすと、黒白の網模様の着物の裾から見えた鼻緒が、こちらへ向かってきた。
郷長は真っ黒。顔も、腹の中も。
覗いてしまったけれど見ていたことは知られたくない。
というか関わりたくないですよね、不気味な方々に。
> 手足が震えるなか、わたしも、荷車を押しながら前へ進む。
> 郷長さんは立ち止まって、こちらを見ていた。
> ゆっくりと近づいて──声をかける。
って、届ける先は郷長でしたか。
行かざるを得ませんね……
>「こ、こんにちは……。あの、郷長さんでしょうか……。
> 出しかけた声は、ひどく震えていた。
> だけど、どんな相手にも失礼がないように……
> “もや”が目に入らないように、笑顔をつくる。
営業スマイル頑張りすぎです。
場末の仕事でそんなマトモな相手がいるとは思えません。
世間知らずが逆にいい仕事をしているのかも……。
>「おぉ……こんな若いお嬢さんが、あの港から?
> ……へぇ、おなごの身で、よくやるねぇ。そんなに金に困ってるのかい」
> ──じろ、と。
> どこか、値踏みするような目線を向けられている気がした。
> でもその顔は、墨を塗ったみたいに黒くて……よく分からなかった。
一方の郷長。そりゃこんな怪しい仕事を引き受ける奴がろくでもないのを知っています。
だから気立てが良さそうなハノカにある意味驚き、そして興味も示します。
> 体の芯が、もう限界に近かった。
> 郷長さんに近づいた途端、目の奥が焼けつくように熱くなって──
> 手足も、誰かにぎゅっと掴まれてるみたいに、ずっしり重くなる。
> こんなに痛いのに、涙は出なかった。
> 泣きたいのか、ただ熱いだけなのか……自分でも分からない。
> 心臓の音だけが、どくん、どくんと、頭の奥に響いていた。
しかし重篤ですね。
40度近い熱がある状態だと思ってみると、何となく感覚が共有できる気がしました。
>「──んん? お嬢さん、顔色悪い気がするが……
> ま、仕事をこなしてくれたなら、わしには関係ねぇな」
わざわざ「無関心だぜ」と言ってくれるのは、ある意味親切ですね。
若い女ということでハノカ自身に狙いをつけてあれこれ考えるところな気がします。
> 声が遠くなっていく。
> 喉も、ゆるやかに締めつけられる感じで──
> もう、うまく返事ができない。
>「ほらよ。これが礼のもんだ。
> ……どうしたい。持ってる“依頼の印”、交換だよ」
郷長側から商習慣を教えられる。
こういうときに知らぬ立場は騙されても気付きません。
ハノカの下調べの甘さを感じます。
> 郷長さんの声が、ぼわぼわと、こもって聞こえた。
> ──あ、依頼の紙……っ
>「す……みません……こ、これ……です……」
> 震える手で紙を差し出すと、バッと引っ張るように取っていった。
ハノカの認識が曖昧なので、郷長の実際の雰囲気は想像しかできませんね。
相手を見てなければひったくられ感も仕方ないでしょう。
> 怒らせちゃったかな……っ
> でも、もういい──早く行こうっ
> できるだけ深く、頭を下げる。
> どんなときも、失礼があっちゃいけない──そう思って。
礼儀正しいハノカ。こういうところは好感が持てます。
>「……ありがとう、ございました……。
> すみません……失礼、します……っ」
> 荷車の手綱を避けて、よろけそうになりながら……なんとか、足を踏み出した。
> 反射的に──今いる場所から、“赤い鳥居”があった方へと駆けだしていた。
そしてダッシュ。
宅配便を受け取っていきなり玄関を締めて鍵までかけるのと同じくらいの失礼さです(何
> 道のまわりは、木がぽつぽつと立っていて……その先は、だんだん林が深くなっていく。
> 周りはよく見えなくて……さっきの怖さより、寂しさがこみ上げそうだった。
> だけど目をこすって、ごまかした。
> ……泣いちゃ、だめ。
感覚からくる体調不良だけでなく、緊張感とか恐怖感とか、色々に重なったせいでしょう。
しかし林に逃げ込んで寂しくなるとは、逃げ先がそこしかなかったのでしょうね。
> 目を閉じて、何回か深呼吸をする。
> ふぅと力が抜けて、視界を見回すと──
>「──え? あそこ……」
> ぽつん、と小さな祠が見えた。
> 朱塗りの鳥居は色褪せ、しばらく人の手も入っていないようだった。
ともかく危ない場所?から逃げ出せたので一息です。
そして目に入る鳥居と祠。
え、鳥居を建てるなら神様って認識されてますよね。
祠って……?
> 木の囲いの中、ちょこんと座っているのは──丸い目をした、小さな石の狐さま。
> 昔、おばあ様に連れられてお詣りした稲荷のお社に、少し似ている。
> 子どもの頃なら、ちょうど目が合いそうな高さ──
> 今でも、なぜか安心できる気がした。
見た目はともかく祀られていることには変わりありません。
見知ったものは安心感があります。
> 暗い林の中なのに、ここだけはほんのりと……やわらかい空気が流れているような。
> わたしは、ゆっくりと鳥居をくぐった。
> その瞬間、胸に絡まっていた不安が、ふっとほどけた気がした。
穢れを払う神域でした。
こんな怪しい村なのにしっかりしたものがあるなんて。
>「……ここ、不思議……」
> 祠の前に立って、そっと息を吐く。
> さっきまでの痛みが、すこしだけやわらいでいく……。
> ふと視線を落とすと、色褪せた古い“狐の面”が、祠の縁にぽつんと寄りかかっていた。
狐の面。また怪しそうなものが……
狐神様に狐面のお面なんて、ちょっと失礼な気もします。
>「……なんで、こんなところに?」
> そうつぶやいたとき──
> ふわり、と何かが揺れた。
> 木の囲いの裏から、小さな影が現れる。
> まるくて、ふわふわしていて──しっぽの先に、灯がともるような光をたずさえているように感じる。
いきなり出てくると怖い気がします。
が、ふわり、ふわふわと表現されているところに「怖くない」と強調されています。
> やさしくて、あたたかくて……
> まるで、「泣いてもいいんだよ」と言われたような気がした。
> 堪えていたものが、思わずこぼれそうになったけれど──
>「……え? な、なに……? おばけ……なの?」
> 目をぱちぱちさせているうちに、影はふっと消えていた。
戸惑いながら、優しそうなものに「おばけ」。
世界観を把握しきれていませんが、日本的なものとすれば、神域でおばけというのも失礼な感じが……。
> 月明かりしかないのに、どうしてだろう。
> あの光が見えた瞬間、祠のまわりが、少しだけあたたかく見えた。
え、月明かり!?
村の中で骨董市が開かれているという話でしたから日中と思っていました。
周囲のものも見えていましたから、せいぜい夕暮れくらいだろうと。
月明かりの中、深い林に入れば怖いし寂しいですよ。
鳥居と祠を発見して、神域と言えど近づくのも不気味そうです。
> 少し頭が落ち着いてきたころ──
> 大事なことを思い出した。
>「あ……! “
> ──火打ち灯。
> 石と鋼をこすって灯す、小さなガラスのランタン。
> 明るさは頼りないけど、夜道を歩くには十分だった。
提灯でなくランタンがあるのですね。
和風×洋風な側面が垣間見えます。
> あぁ、それさえあれば……港まで戻れたかもしれないのに。
> ガクッと頭が落ちる……。
> 今さら悔やんでも──もう、戻れない。
そこまでこの村を嫌悪しているわけですか。
まぁ郷長の怪しい雰囲気を見た時点で、影が見えなくても近寄りたくないです。
>「ふぅ、しょうがないよね……」
> 夜が明けるまで、ここで休ませてもらおう──
> 祠を見つめながら、そっと膝をついた。
>「……すみません。今晩だけ、ここを貸してください……」
> 小さな石の狐さまに手を合わせて、鳥居の隅に腰を下ろす。
傍目には怖すぎる光景ですが、ハノカの感覚からすると安心のほうが強いのでしょう。
聖域的な場所で庇護されるのは安心感ありますからね。
> ──火のない夜は、初めてだった。
> できるだけ目立たないように、膝をぎゅっと抱きしめる。
>「……はぁ……すごく、痛かったな……」
> 痛みが引いてくれて……ほんとうに良かった。
影が見えると頭痛と眩暈。
やはり瘴気か何かです。
> けれど、あの真っ黒な“もや”の、うねるような気味悪さ。
> 歪んで視えた人たちの顔。
> 体を締めつけるような、あの苦しさ。
> ──思い出しただけで、背中がぞわっとした。
こういう恐怖体験は思い出したくなくても思い出してしまうのです……
> ……そんなことを考えていたはずなのに。
> いつの間にか、わたしは──眠っていた。
そして悶々としていると眠りに落ちるまでセットです。
> 空が白み始めた頃──
>「……おーい、おーい!
> ──って、おまえ、寝てんのか? こんなとこで、変なヤツだな〜……」
> 遠くから、低くて陽気な声がしてる気がした……。
> 声に導かれるように、ゆっくりまぶたを開けると、
> 逆光の中に──がっしりした体と、赤茶色の短い髪の男の人が立っていた。
通りすがりの男に遭遇です。
朝の散歩か仕事への往路でしょうか。
>「お、おはよう……ございます……」
> ぼんやりと返すと、男の人は肩をすくめて、大げさに笑った。
>「やっと起きたか! あーびっくりした。死人でも拾ったかと思ったぞっ」
>「し、死人って……」
>「こんな朝っぱらから鳥居の前で寝てる奴なんて、普通いねぇって! わははっ!」
> 腰袋をドンと叩いて、豪快に笑う声が、思ったより大きくて──少しびっくりした。
寝起きでぼけっとしているところでしょうが、男から見るとそりゃ驚き案件です。
変なのはハノカのほうですから。
> 彼は辺りを見回してから、ちょっと怪訝そうに聞いてきた。
>「……一人か? ケガしてねぇか?」
>「えっと……はい……」
こういうことを察して様子をうかがうあたり、キレ者ぽい雰囲気です。
というか彼は紳士ですね、雰囲気はがさつそうなのに。
> 頭が重たくて、まだぼーっとしている。
> 風邪をひいたときみたいな、変な怠さが体に残っていた。
>「こりゃ、あんまよくねぇな……。立てるか?」
> そう言われて立ち上がろうとした瞬間──ぐらり、と酷いめまいが襲ってきた。
>「え……あ……うぅ、ちょっと……ふらふら、します……」
> 体がずしりと重たくて、足がうまく動かない。
その男から見てもハノカの調子は良くなさそうです。
慣れない野宿をすれば体力消耗しますし。
> ──そういえば、船を降りてから……何も食べてなかった。
>「よし、とりあえず肩貸してやる。うちの郷が近いから、ちょっと休んでけ。
> ……あ〜、おれは
>
> そう言いながら、大きな手を差し出してきた。
おっと別の郷の人でした。自警団なら、こんな早朝にうろついているのも納得です。
そして夜になっていたのも合点しました。
ハノカが夢中になって逃げすぎたんですね。
> わたしは、反射的に──肩をぴくっとすくめてしまった。
> ……初対面の人に、いきなり手を差し出されるなんて……少し緊張した。
こんなに紳士なのに(笑
むしろ悪意があるなら寝ている間にヤってしまっています。色んな意味で。
>「……あの、えっと、ありがとうございます……」
> おそるおそる、その手に触れようとしたけど──
> 立ち上がった瞬間、体がふわっと浮いたみたいに揺れた。
完全に風邪症状ですね。
熱で浮ついてます。
> わたしは思わず、左手で自分の腰の服をつまんで踏ん張る。
> そのすぐあと、背中側でカバンのベルトをぐっと握られる感触があった。
> リュウヘイさんが、わたしの背負っている荷物を、支えにしてくれていた。
> 触れないように。
> でも、ちゃんと支えてくれている。
え、これ、倒れそうになったハノカのショルダーベルト部分を引っ張ってるんですよね?
絵面的にどうなんですか(笑
ハノカは触れないで紳士的と解釈してますけど……むしろ痛いのでは……。
> ……背中にそのぬくもりを感じながらも、
> 今のわたしには、足を前に出すだけで精一杯だった。
> 気づいても、言葉にする余裕なんて、どこにもなかった。
うん? ベルトを掴んで触れてないはずの手のぬくもりが。
きっと紳士な心にぬくもりを感じてます。
> だけど──今は、独りじゃない。
> それだけで、苦しさの中に、少しだけ……ぬくもりを感じた気がした。
あれ、こっちで心のぬくもりが……。
じゃあさっきのは?
以上が第2葉です。
そして地図にあった鳥居のお稲荷様で一泊したところまでです。
苦しみながらも依頼を全うする姿はハノカの地力を感じました。
同時に頑張り屋な感じも心理描写でよく伝わってきます。
世間知らずな雰囲気もありますが、良い人に巡って今のところ無事です。
こういう運の良さも人それぞれですよね。
引き続き次話を読んでいきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます