番外No.7 アクアンパラダイス / 花森遊梨 様
懲りずにやってまいりました、昼間テンションでの辻感想のお時間です。
今回、辻感想にご協力いただきましたのは、花森遊梨(@kVf1iWXsTc82316)さん(カクヨムID(@STRENGH081224)さん)です。
花森さんとは、たぶん1か月半くらい前にFFさんの関係になりました。
また失礼なお話で恐縮ですが……第一印象は『この人は何を仰っているのだろう?』でした。
私が突っ込みやすい話題を呟くのも影響していると思うのですが。
花森さんのXでの返信は(私にとって)とても難解なのです。
擁護していると思っても、ええと、やっぱり違う……? なんて感じで。
例えるなら、洞窟の広間の中央で大型のドラゴンと戦っているときに。
広間の入り口から端っこにいるオーガを狙撃して。
オーガがやられた衝撃で持っていた棍棒を手放し、それが勢いよく飛んでいき。
広間の天井に命中し、岩盤が崩れてドラゴン共々生き埋めにされそうになる感じです(何
そんな遠回しすぎる表現で普段から返信をいただくため、いつも解釈に苦労しています。
解釈が外れていたらどうしよう、とひとり戦々恐々として返信を書いてました。
そのため、とても『怖い方』というイメージがついてました(苦笑
何度目かの返信のとき『いつも婉曲的で外れたことを返してないか怖いです』と返しました。
そうしたら、思った以上に
やはり思い込みは良くないなと実感した出来事でした。
コミュニケーションは大事ですね。
現在は変な印象もなく、良識もあり、婉曲的な表現を自在に駆使される賢い方、と認識しています。
いつも勉強させていただいております、これからもよろしくお願いします m(_ _)m
さて、そんな花森さんからご提供いただいた作品はこちらです。
『アクアンパラダイス』
https://kakuyomu.jp/works/16818792438411336388
4500字程度の短編です。
タイトルからは、夏場に水着を着て騒ぐ若者たちの映像が思い浮かびます。
リゾートプールで、太陽の下、水飛沫で輝く笑顔。
そんなシーンが想像されますね。
キャッチ:生きてる感じ、してる?
うん?
ちょっと意外ですね。
タイトルから、もっとこう、楽しくて仕方ないという話なのかと思いました。
が、この問い掛けは、元気のない人に「どう、楽しい?」と聞いているかのようです。
概要を見ていきましょう。
>学生でありながら製薬会社で働く平山珠緒は、疲れ切っていた。部屋は散らかり、心は曇り、ただ日々を“やり過ごしている”だけのような生活。そんな彼女のもとに、知り合って間もない“陽キャ”の栞から、突然プールへのお誘いが届く。
「珠緒の“生きてる感じ”してるとこ、見てみたいんだよね」
主人公でしょう、平山珠緒。
毎日に追われて疲れ切っているところに、このプールへ誘われたと。
栞の誘い文句がすごいですよね。「“生きてる感じ”してるとこ」ですよ。
普通なら「はしゃいでるとこ」とか、「笑ってるとこ」でしょう。
何かを見透かした栞が何を見ていたのか、気になります。
>渋々ながら出かけた先で、珠緒は栞の明るさの裏にあるまなざしと、いつもは見せない自分自身の揺れ動きを感じ始める。透けるシャツ、溶けるアイス、照り返すプールの水面――そんなささやかな非日常が、日々の「息苦しさ」を少しだけ緩めていく。
無理やり引っ張り出されたけれど、ちょっと気分が楽になった珠緒。
良いですね、疲れている毎日から解放されるわけです。
>これは、頑張らなきゃいけないと息をひそめていた誰かが、ほんの一日だけ、ちゃんと「生きてる感じ」を取り戻すまでの話。
読んでのとおりのお話、期待したいですね!
……と流そうと思いましたが。
> 息をひそめていた
この表現。
ここも、普通は「歯を食いしばっていた」とか、「必死だった」とかを使いそうです。
この言葉を選んだ作者の拘りを感じます。
以上が概要です。
さて、それでは本編を読んでいきましょう。
2話構成で、前半が珠緒の視点、後半が栞の視点、と分かれているようです。
----------
>SIDE 平山珠緒
>平山珠緒は、ようやく帰宅した。部屋は散らかり放題だ。テーブルの上には、製薬の資料が無造作に積まれている。学生と会社員の二足のわらじを履いている自分には、部屋を整理する余裕などなかった。自分でも、こんな生活が続くことに辟易としている。
二足のわらじ。苦学生ですね。
何もできない自分が嫌になってしまう。
よく物語に出てきますが、これ、本当につらいです。
私も学業とバイトで休みなしの生活をしていた時期があります。
ほんとにきつかったですね。何か別のことをする余裕や、息をつく暇もない。
学業か、仕事か。どちらかから解放されるだけで、劇的に楽になれます。
>携帯の画面がちらっと光り、メッセージ通知が表示される。画面を見ると、栞からのLINEメッセージがポップアップされている。
>――
>おしりん: 「明日プール行かない? 珠緒の「生きてる感じ」してるとこ、見てみたんだよね」
>――
おっと、いきなりですね。
ぐでぐでに疲れているところにこのメッセージ。
しかも、キャッチのあの言葉です。
こっちの都合を考えろよと言いたくなりますね。
既読スルーしちゃいそうです。
>珠緒は少し顔をしかめた。今は本当に動く気力がない。栞のあまりの元気さに、どうしても心が重くなる。
>テイル・デカキン: 「私、そんな元気ないよ…」
LINEのハンドルネーム(笑
予想通り? 珠緒も断ります。そりゃそうですよね。
>メッセージを送った後、再びソファに背を預けると、すぐにビデオ通話の着信が鳴った。画面には、栞の元気そうな顔が映る。背景は明るい部屋、栞の自信に満ちた姿が、珠緒の心にちょっとした刺激を与える。
テンション高い人と相対すると、こっちも無理やり引っ張られること、ありますよね。
そんな感じなのでしょう。陽キャ強い。
>栞は手を振りながら、元気よく言った。「あ、繋がった。珠緒さぁ、明日プール行かない?」
>珠緒はすぐにうんざりしたように答える。「もう、やめてよ。私 はそんな元気ないって…」
それでも珠緒は塩対応。
気持ちは良く分かります。もう寝たいでしょうね。
>栞は彼女の声を聞いても、むしろ嬉しそうに笑いながら言った。「だからこそ行こうよ!だって、珠緒のことだし、どうせ夏が終わったら、またどこにも出かけずに文句ばっか言うでしょ?」
>連絡先を交換してまだ2ヶ月。この時点で栞の珠緒に対する解像度は高すぎる、コミュ強に実際に関わるとこれである。
陰キャ×陽キャあるある、な気がします。
陽キャが踏み込んであれこれ話をして、けっこう的確に陰キャの境遇やキャラを理解するパターン。
陰キャ側からすると「そうだけど、そんなに踏み込まないで」と思うやつです。
珠緒もそう感じてるのでしょう。
けれども栞もそこは見通していますね。
しょっちゅう「遊ぶ時間が無い」とか愚痴をこぼす珠緒を連れていきたいようです。
良い人に思えます。
>「……しょうがないな。」と珠緒は言った。心の中ではすでに栞に押し切られていることを感じていた。「じゃあ、明日行くよ。でも、ほんとにすぐ帰るからね。」
>「決まり!」栞は画面越しにガッツポーズをし、満面の笑顔を見せた。「準備しといてね、明日は楽しもう!」
押し切られることも理解していた珠緒。
2か月でこの関係が築ける栞、さすが陽キャ(笑
>よそ行きの服装とはいえ、ベレー帽は失敗だった。
>上半身の白いシャツも、下半身のほつれたデニムのショートパンツもいい感じに太陽の熱と光を受け流してくれている、首元には細めのシルバーのネックレスも以下略だ。問題は私の頭にちょこんと乗ったベレー帽だ。暗いネイビーのウール素材はそれらに受け流された分まで熱と光をたっぷりと吸収し、私の頭皮をダイレクトに熱している。
そこそこオシャレして出て来た珠緒。
せっかくの休み。
だというのにちょっと失敗コーデが陰鬱な気分を押してきます。
>「なんで私がこんな夏のレジャーなんかに連れ出されてるんだか」
>「それはね〜、“生きてる感じ”が欲しかったからです」
>声の主は、やけに軽い調子でそう言った。振り返らなくても、本気じゃないように見えて、なぜか本音を突いてくる。
>「わたしに? 生きてる感じ? いやそれ、完全に間違い電話」
栞が的確に突っ込んでます。
私の勝手な偏見で、陽キャはあまり考えずに行動する、なんて思ってる節があります。
ですが栞は色々と見抜いて行動していそうです。
される側の珠緒はちょっと困惑気味。
>栞はにやにやしながら、ポーチから日焼け止めを取り出す。
>「「じゃあさ、死んでる感じで泳いでみてよ。ゾンビみたいにさ」
>「……プールの警備員に捕まるでしょ、それ」
>「見たいなあ〜、平山珠緒(20)、ゾンビスイム」
トーク力、さすがですね。
>くだらない。くだらないのに、ちょっとだけ笑ってしまいそうになる。
>こういうふうに無理やり引きずり出されることを、私は本当は嫌いじゃないのかもしれない。
>珠緒は顔を手で覆った。
そして珠緒も満更でない様子。
普段から良い感じの仲なんでしょうね。
>「お願い、駅に戻って。まだ引き返せる」
>と言ってみたものの、駅からはもうシャトルバスで20分。今さら戻る体力なんて、どこにも残っていない。
言うだけ言ってみて、もう戻れないことも自覚していて。
珠緒も往生際が悪いです(笑
>車内の冷房が、火照った肌をやっと冷ましてくれた。
>外の熱気が嘘のように遠くなって、思考がやっとまともに戻ってくる。ふと自分の服を見下ろすと、白いシャツの薄さに気づく。
>陽射しを浴びた生地の向こうに、黒い下着がくっきりと透けていることに気づいた。すぐに「まあ、いっか」と思う。行く先はプールだし、間も無くこの状態からシャツすらなしの状態で人前に出るのだし。
ちょっとアレな格好に気付いて、もう投げやり。
なるようになれという感じですね、珠緒。
>珠緒は、ふと横に座る栞に目を向けた。最初は気にしなかったのに、突然、栞の姿が妙に目に入った。スポーティーなタンクトップ。真っ白で、シンプルなデザインなのに、どこか高級感を感じる。自分んと違って何も見えない胸元には、そういう見えない部分に対する抜け目のない気遣いを感じるし、下半身のショートパンツはタイトすぎず、タンクトップに引き続いてカジュアルながらもどこか品がある。極め付けが足元を彩るのはあえてのシンプルな白いスニーカー。栞の服装には、やっぱり計算された抜け感が感じられる。私でもアマゾンで買い揃えられる上下の服はともかく、靴箱の奥にもあったはずの白いスニーカーに手入れが行き届いていているのは負けを認めざるを得ない。カジュアルな服でも本気で着こなせば文字通りの魅力的な装備になるのだ。
イケてる女子、栞。
こうやって生きられるんだ、と羨ましく見ています。
見比べて感じる「生きてる感じ」ですね。
劣等感で感じたくはありませんが(><)
>見上げたドーム状の建物は、思ったよりも大きかった。
>白く反射する曲線の屋根が、真夏の青空の中で浮かぶように光っている。
>中に入ればどうせ濡れるのに、足元からじんわり汗が浮いて、シャツの背中が肌に張りついた。
>「……なんでここまで来てんのよ、私」
>吐き出すように言った言葉は、自分に向けたものだった。隣で栞がテンション高くチケットを買ってる。ポニーテールを揺らして、財布を取り出す仕草まで無駄に元気。
>一方私は、入り口の横に立ってるヤシの造花の前で、現実逃避するように影を探していた。
イケイケでチケットを買う栞を、いつでも帰れる位置で帰りたい雰囲気を漂わせる珠緒。
まだまだ珠緒の気分は沈んだままです。
>中に入ると、いきなり空気が変わる。冷房でも自然の風でもない、湿度の高い、ぬるっとした温室のような空気。
>鼻の奥に漂うのは、わずかに塩素の匂い。水の気配と熱気が混ざっていて、息を吸うだけで全身がだるくなる。
プールの中に入ったときに感じるアレです。
夏で蒸し暑くて、塩素臭がする独特な感じですよね。
>天井は高く、透明なガラスドームが光を拡散している。
>直射日光は当たらないはずなのに、まるで外よりも眩しい。
>プールの水面が、光を乱反射させてキラキラと床に模様を描いていた。
屋内プールなのですね!
描写だけ見るととても良さげな屋内リゾートです。
>水着に着替えて、足だけを先に入れた瞬間、冷たさに膝が跳ねた。
>でも、水に浸かってしまえば、逆にこの体温と合ってくる。不思議な感覚。
>流れるプールには子ども連れが多くて、浮き輪と叫び声が絶え間なく流れてくる。
周囲が既に楽しそうに騒いでるところに、来たばかりのテンションが低い自分が入っていく。
この、場に溶け込んでない一瞬の微妙さ、良く分かります。
>「リゾートって感じじゃない?」
>栞が浮き輪に体を預けながら言った。
もう浮き輪に載ってます、栞。
満喫するのも早い(笑
いや、見せつけているのでしょうね。
>リゾート。そう呼ぶにはどこか作り物っぽい
>ヤシの木も人工。岩のような装飾も本物ではない。でもそれが逆に、ここが「現実の延長線じゃない場所」だってことを強調している気がした。
>屋外ではないのに、光があって、風も動いて、水もある。この不思議な非日常感が、きっと人を連れてくるんだろう。
この「外にも似たような場所があるのに、わざわざ屋内に非現実を作り出した」感。
イメージは宮崎県のシーガイア、でしょうか。
あそこも近くに海があって、ヤシも生えています。
施設内に似たような光景が広がっていて、不思議な感覚になった覚えがあります。
(2桁年前の話なので……今は違うかも)
>栞は迷うことなくバッグから水着を取り出した。深いネイビーブルーのハイレグビキニは、シンプルながらも絶妙なカッティングで彼女の身体を包み込んでいた。腰のラインがくっきりと際立ち、まるで彫刻のように引き締まった脚が水着の布面積を最小限に留めている。
>「これくらいがちょうどいいの」と栞は涼しい顔で言い、装いに何の迷いもない。肌は透き通るような白さと艶やかな輝きを放ち、光を受けて微かに反射する。プールサイドを歩くたびに、彼女の背筋はまっすぐに伸び、自然と視線を引き寄せる。
あれ? さっき着替えてませんでした?
場面が前後しているのかも。
ハイレグビキニとは大胆ですね。
似合うレベルのプロポーションなら視線を集めるのも納得です。
>一方で、珠緒は黒のシンプルなワンピース水着を選んでいた。表から見ると露出は控えめだが、背中が大胆に空いていて、狙っていないのにどこか艶っぽい。着替え終わって鏡の前に立つと、珠緒は思わず自嘲気味に呟く。
>「……は?誰に媚びる気よ私」
着替えてから我に返る珠緒(笑
自嘲しながらも、媚び売る格好になる自分をどこか想像していたのかも。
>栞はそんな珠緒に軽く笑いながら、「無理に見せようとしなくていい。でも、水着って結局は自分の気持ちの表れだよね」と言った。
>珠緒は栞の堂々とした姿に圧倒されつつも、どこか羨望のまなざしを隠せなかった。
栞の言葉を借りるなら。
珠緒は全面を隠しながらも、後背では大胆になりたいということでしょう。
栞が眩しすぎて、自分のその願望に気付かない?珠緒。
> 海を模したプールには、ゆっくりと人工の波が打ち寄せていた。酷暑への耐性でもついたのか、誰もがその音を気にも留めていない。
>砂浜の色に塗られたプールサイドのタイルには、濃い影が落ちていた。珠緒はラッシュガードの袖を引きながら、日陰に腰を下ろす。
ひと遊びした後でしょうか。
時間が経って休憩中です。
>「珠緒ー、アイス買ってきた〜」栞が走ってくる。髪は濡れて、首元に貼りついている。片手にソーダバーを二本、もう片方には自分用のチョコモナカジャンボ。
>「…歩く姿だけでマウント取ってくるのやめない?」
>珠緒が眩しそうに言う。
>「へへーん、黄金比だから〜」
羨ましい発言に乗る栞。さすが陽キャ。
傍目には二人とも眩しそうです。
>栞は得意げに腰をひねって見せたあと、わざとらしくアイスの棒を片手で持ち替えた。
>そして、ぽとり。
>青いソーダバーが、地面に落ちた。
>「……」
>「やっちゃった♡」
>まるで偶然を装った必然のように、栞がにっこり笑った。
偶然なのか必然なのか(笑
個人的に、これは偶然と思います。
>「……それ、わざとでしょ」
>「バレたかぁ〜。じゃあ、もう一本お願い♡」
珠緒が突っ込み、栞が当然と受ける。
陽キャだけに許される様式美です。
>珠緒は溜息をついて立ち上がる。
>「はぁ……はいはい、奴隷ちゃん行ってきまーす」
>「ありがと〜♡」
>栞はぴょんと足を組み替え、椅子に寝転んだ。まるで王女様気取りだ。歩き出した珠緒は、売店に向かいながらぼやく。
>「ムカつく黄金比のくせに。…笑顔で頼まれると、なんかもう……社会的に断れない感じ、あるのよね……」
社会的に断れない感じ。わかります(笑
陽キャに振り回される陰キャの宿命ですね……。
そして、自分ではそんなに行動できないので、それも悪くないと思うやつです。
>「ねぇ、また行こっか」
>「どこに」
>「んー…今度は海とか、温泉とか」
>「どれも体力使うじゃん。やめとこ」
>「じゃあ、部屋借りてだらだらするとか」
>「ホームレスに対してその提案は地獄でしょ」
誘う栞に満更でない珠緒。
良い関係なのだなと思いました。
ところで、ホームレス発言。
え? 珠緒、自宅が無い?
>「……まあ、また気が向いたら付き合ってあげるわよ」
>「やった♡」
>栞が腕を組んで、強引に珠緒の肩に頭を乗せた。
栞も珠緒が好きなんでしょうね、たぶん。
>「重い」
>「黙って耐えろ黄金比マット」
>「マットじゃないし黄金比でもないし…ってか耐える理由がわからんし…」
>ふたりの声が、再開した波の音遠ざかる蝉の声に紛れていく。
栞が珠緒を黄金比発言。
煽っているだけと思いますが……実は羨ましい?
楽しく遊んで、一日が終わるようです。
以上が珠緒視点でのお話でした。
----------
>SIDE 栞
ここから栞の視点。
そういえば、栞は苗字が出てないですね。
>珠緒って、つくづく不思議な人だと思う。
>メチャクチャなクセして意外と顔は整ってるし、スタイルも悪くない。なのに、髪が濡れてるまま風に吹かれてたり、靴がいつも一足しかなかったり。見た目の100点に、生活感の0点がくっついてるみたいな。
珠緒、美人判定。
でも生活で残念美人のようです。
>今日だって、電車に乗る時に色々透けてるのを全く気にしていなかったし…
>なのに、プールでは一番日焼け止めをきちんと塗ってた。そういうとこ、嫌いじゃない。
>私は、人の表面を眺めるのが得意だ。
>どこが売りで、どこが嘘で、どこを崩せば人間が転がるかって、大体すぐ分かる。
陽キャの心理。
こういうコミュニケーション能力がなければ陽キャなんてできないのでしょうね。
こう自分で思えるのはすごいです。陽キャって、皆こうなの?
>でもね、平山だけはちょっと読みにくい。
>たとえば、アイスをわざと落としたとき。
>普通の人なら「しょうがないなあ」って笑うか、「自分で行け」って怒る。でも平山は、目の奥だけすごく面倒くさそうに光らせて、「はいはい」って行ってくれる。
>その投げやりさが妙にリアルで、逆に笑えなくなるときがある。
あのシーンですか。
わざと自分で落として反応を見たんですね。
だからポーズをとって落ちるまで時間を稼いだと。
>……たぶん、彼女は疲れてるんだと思う。
>生きるのに。正しさに。期待されることに。
>でもそれを、誰にも見せないで、ぜんぶ塗りつぶしてる。「私は壊れてるのよ」って言いながら、ちゃんと明日の服を綺麗に仕立てておけるような人だ。不器用なのか、器用すぎて壊れたのか、たぶん両方。
>それでも私は、今日一緒にプールに行きたかった。この人とどっかで水に浮かんで、だらだらとアイス食べて、帰りの電車で寝てほしかった。誰かに支えられたわけじゃない人生を歩いてる人ほど、私は好きだ。
おー、栞の価値観です。
流されて耐える栞が良いなと思っているんですね。
頑張っている姿が見えると応援したくなる心理かも。
>それは「すごいね」って意味じゃなくて、「じゃあ、私も頑張ろうかな」って思えるから。
ここは同意です。
近しい人が誰にも漏らさず頑張る姿はとても眩しくて。
自分もそうでありたいと思わせてくれるものです。
>平山珠緒がうたた寝している。目の下のクマは消えないけど、今日の彼女は少しだけ――「人間らしかった」。「またどっか行こうね」って言ったとき、彼女はきっと嫌な顔をするだろう。
>でも、ちゃんと来る。それが分かってるから、私は安心してふざけられる。
>私、ほんとはちょっとだけ、この人のことが、怖い。
珠緒のことを良く分かっているから、珠緒の行動に甘えている栞。
そして、自分と真反対の彼女を怖くも感じる。
他人に対する理解って、こうやって色々な感情が渦巻きますよね。
>でも、すごく羨ましくて、たぶん、すごく好き
無いものねだり(笑
きっと珠緒も同じことを思ってます。
お互いにお互いを刺激して「生きてる感じ」を感じてるのでしょう。
だから、二人ともお似合いの友達同士ですね!
以上です。
女子大生二人の、仲睦まじい夏休みの一幕でした。
リゾート内でナンパされたりとか、そういうイベントがあるのかと思って読んでました。
が、二人とも無事に楽しく遊び、前後の互いに対する思いで語るお話でしたね。
学生の時分。こうして苦労したり遊び惚けたり、ちょっと無茶したことが思い出になります。
きっと二人のこの夏の一幕も、後で良い思い出になるのでしょうね。
意外に心理描写が豊富なお話で面白かったです!
花森遊梨さん、作品提供ならびに本企画へのご賛同、ありがとうございました!
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