No.4 第4話の感想

 続きです。



>第4話 知識は力なり


 いつの時代も知は力です。



>1

>ヴラスは、ぎこちない手つきで木の板の上に炭筆を走らせていた。

>「……あれ? こっちが“り”で……これが“し”か?」


 炭筆なんて持ってるんですね。

 焚き火の炭で 代用?



>「うん、そう。よく見て。ここが曲がってるでしょ。り、はくるっとして、し、はすっとまっすぐ」


 そういえば日本語なんですね?

 具体的に描写すると、どうしてその言語を、と考える私はTRPGのやりすぎです。

 言語って文化にも関係深いですからね。



>「なんで字って、こんなに似てるんだよ……全部一緒に見える……!」


 気持ちはよくわかります。

 中国語やアラビア語を見て同じ感想を抱いたりします。



>「最初はね。けど、読めるようになると楽しくなるよ。世界が、ぜんぶ変わるの」

>「ぜんぶ……?」

>その瞬間、部屋の隅に座っていた年老いた男がふっと鼻を鳴らした。


 ユウって本をたくさん読んでいて博識、という設定でしたっけ。

 ヴラスの知ろうとする努力は良いですね。



>「ふん……百姓の身で、しかも男のくせに……文字を習うとはな」

>ヴラスの祖父だった。皺深い顔に、あきれと嘲りが混ざっている。

>「昔はな、字なんざ、貴族か神さまか、お上のもんが使うもんだったんだ。

>それを農民がやってみたところで、碌なことはないぞ……」


 「昔は」ということは、今は違うのでしょうかね?

 それとも若いユウを見て「今どきの若いもんは~」的な意味でしょうか。

 自身の劣等感を押し付ける感。

 狭い世界で生きている人たちには仕方のないことでしょう。



>その声を無視するように、ユウはまた新しい単語を板に書いた。

>「……じゃあ、これは?」


 ユウのスルーが発動!



>「……“お”……?」

>「おしい。これは“あ”」

>「うわっ、また似てるじゃん!」


 文字を覚えたころに、よく思っていた記憶があります。「あ」と「お」。



>扉の外では、誰かが怒鳴っていた。

>「納めろ! お上の命令だぞ!」


 お上? このセリフって、昔の日本で言えば、庄屋と代官がいて、庄屋が小作農へ言う言葉ですよね。

 この村で言うと村長とか?

 自分のことを「お上」とは言わないでしょうから。



>世界はまだ、変わっていない。


 えっと……世界を変えよう、という話ってありましたっけ?

 初出? 見逃していたらごめんなさい。 


 以上が第1シーンです。





>2

>まだ作物を植えたばかりの季節に、村の広場に緊張が走った。


 春に年貢徴収なんて理不尽すぎます。

 人頭税とかですかね。



>二人の女――色鮮やかな制服をまとった役人が、堂々と馬にまたがり、村人たちを見下ろしている。

>一人は大柄で鋭い目をした女。声も大きく、鞭を腰に下げている。

>もう一人は小柄で、終始口元に笑みを浮かべ、無言のまま村を見回している。


 乱暴者の女性の登場です。



>「マーリイスクの農民ども、耳をかっぽじってよく聞きな!」

>大柄な女役人が、馬の上から書状を掲げた。

>「お上からの通達だ。“マーリイスクより、麦八俵、芋六籠、干し肉十斤を納めよ”。猶予はなし、今日中だ」


 あまり詳しくはないのですが、下っ端?の役人が長の命令を下知するとき。

 「お上」なんて言葉、使うものですかね? 使わないような気が……。



>「ま、またか……!」

>「すでに今年の分は納めたはずです!」

>「こっちは干ばつでろくに育たなかったんだ! 冬が越せなくなる!」


 春に徴収が理不尽なのはわかります。

 でも春に「冬が越せなくなる」は微妙……



>「へぇ、文句があるの? じゃあ、自分で読んでみる?」

>大柄な女が書状を村人の前に突きつける。

>だが、誰一人として文字を読めない。


 いや、それもどうなんですか。

 正式な書状は破れたりしたら困りますから、農民に渡しちゃダメでしょう。



>「……どうせ誰も読めないくせに。黙って差し出せばいいものを」


 それを盾に見下すのもすごい。

 文字が読めない=文句を言ってはいけない、という論法が成立しました。



>「でも、その通達……見せてもらえませんか? わ、私の兄は少し読めるんです」

>老婆がそっと言うが、小柄な役人がぴたりと笑みを止めた。

>「“兄”? 農民の“男”が字を読めるって? ずいぶんおしゃべりな年寄りだこと」


 文字が読める=おしゃべり??

 ああ、この老婆が世迷言を言うことを、おしゃべりと言っているわけですか。



>「いいか、納めなかったら“罰”がある。前の村みたいになりたくなきゃ、さっさと出しな!」


 前の村。悲劇があったと推測されます。

 恐怖政治を敷いているわけですね。

 さすがトンデモ論法。



>ピリッ、と鞭の音が空を裂く。

>誰もが黙り込み、やがて倉庫の扉が軋む音がした。

>それを確認した女役人たちは、くすくすと笑いながら馬を引いた。

>「ご苦労。お上はちゃんと見てるわよ」


 なんかもう「お上」=「お神」のほうが納得できる気がしてきました。

 神様は見ている。



>馬の蹄が遠ざかる。


 え?

 徴収に来たのに帰るの?



>残された村人たちは、うつむきながら、納める作物をただ運び始めるしかなかった。


 ああ、村人が運ぶわけですね。



>そのやり取りの最後、風に吹かれて一枚の紙が地面に落ちていたことを――


 だから、命令の正式文書を雑に扱っちゃダメ。

 この女役人はクビ相当です!



 以上が第2シーンでした。





>3

>「……もうイヤだ、『き』と『さ』が並ぶと毎回変な顔に見えてくる」


 ヴラス、村がどうなろうが気にせず字の練習です。

 平仮名をやるなら漢字もありそうです。先は長い。



>「でも、これは合ってるよ。"はじめてのブリンはだんごにできる"って読めた」


 ブリン……??

 寡聞にして存じ上げないので教授に聞いてみます。


グーグル教授>クレープに似たロシアのパンケーキである「ブリヌイ」を指す


 そうなんですね、知らなかった!

 つまり、初めて作るブリヌイは形が崩れてぐちゃぐちゃになるので団子にして食べる、と(たぶん違う



>「ほんとか……?」


 むしろこの回答が合っているか聞きたいです。



>それから二人は、畑へと向かう。

>雑草を抜き、支柱を立て、土をならしていると、突然ユウが顔を上げた。


 村に招待され、字を教えつつ畑仕事も手伝うユウ。

 地味に労働力として活用されてます。

 食べさせてやってるとはいえ、どうなの、この待遇?



>「……動いた。あれ、害獣じゃない?」

>畑の向こうに、何かがうずくまっている。


 害獣。そう呼ぶんですかね?

 具体的な生き物の名前で呼びそうなもんですが。

 たくさん種類がいるのでしょうか。



>「待ってて、ぼく見てくる」

>「お、おい!? 一人で行くなって!」

>声をかける間もなく、ユウは森のほうへ駆けていった。


 さすがユウ。もはや鉄砲玉の印象です。



>ヴラスはため息をつき、落ち着こうと畝の土を整えようとしたが、ふと目に紙が落ちているのに気づいた。


 危ない害獣に突っ込んで行ったユウはスルー!?

 ヴラスもスルー能力を身に着けていたようです。



>「……紙?」

>それは土埃にまみれた一枚の紙切れ。

>――あいつらだ。いつもの、あの嫌な役人どもが突きつけてくるやつ。


 さっきの紙ですね。

 というか命令書?の扱いが雑すぎて。



>嫌悪をこらえながらも、ヴラスはそれを拾い上げる。

>文字が並んでいる。だが今日は違う。

>(……読める。ユウが教えてくれた)


 一朝一夕で読めるようになるヴラスが素敵。



>震える指で、一文字ずつなぞっていく。

>「……げつようびに おふろをたいて ……かようびは おふろにはいり……」

>口の中でつぶやいた瞬間、ヴラスの目が見開かれた。

>「これ、歌だ……!」


 全文が平仮名っぽいですね。

 村人は平仮名さえ読めなかったのか……。

 あれ? おばばは文字が読めるんじゃ?



>脳裏に蘇る。

>小さい頃、畑で、家で、祖父が繰り返し歌っていた、あのリズム。

>「“すいようびは あのこと あって……”……くそっ!」


 曜日にまつわる歌がいくつかありますよね。

 それが頭をループし始めました。



>紙を胸元に押し込み、ヴラスはぐっと歯を食いしばった。

>命令でも通達でもない。

>ただの、民謡の一節。


 いやだから、その紙がそのまま下知する正式書類じゃない可能性だってあるじゃないですか。



>それを“お上の命令”として突きつけ、村から作物を奪っていた。

>「ふざけんな……!」


 唯々諾々と農民がお上に従うのは仕方がないでしょう。

 でもあの女役人が悪役だったとして、逆らえるなら最初からもっと文句を言いそうなものです。

 上訴したりとか、生き死にがかかっているなら行動しそうにも思います。



>悔しさで涙がこぼれそうになる。

>けれど今、文字が読めたことで、初めてこの理不尽に気づけた。

>それが、自分の手で得たものだったことが、かすかに胸を熱くした。


 以上が第3シーンです。





 ここまでが第4話です。


 すみません、またツッコミ過ぎました。

 役人の理不尽だったのを看破したのは良い流れですね。

 ヴラスの成長が見て取れるのが良い。


 看破したところで「知識は力」のタイトルも回収です。

 子供の世迷言と言われずに、これから対処できるのかどうか。 

 展開が気になります。



 そして……主人公こと、「僕」が登場しないですね。

 一緒にいるはずなのに。

 前回から影が薄くなってます。大丈夫?




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