第3話 クラスメイトのギャルがラブコメ好きだった件③
「マジでごめん!」
ベッドの上、裸姿の水樹が俺に向かって土下座をした。
「私、昔からこうで一度スイッチが入ると歯止めが効かなくなるんだよね。それで、これまで何度も彼氏と別れてきたの。だから、我慢しようって思ってたんだけど……本当にごめんなさい」
水樹はしばらくの間、俺に向かって土下座をしていた。
正直、強引にでも止めようと思えば止めることができた俺にも非はある。
止めなかったのは水樹とのエッチが気持ち良かったからだ。
人生初めてのエッチだったけど、水樹とのエッチは体の相性が抜群に良いのかというくらい最高で、気を抜けば昇天しそうなほど気持ち良かった。
「いや、まぁ、俺も拒まなかったから、頭を上げて」
頭を上げて俺のことを見た水樹は怒られた子犬みたいにしゅんとなっていた。
そんな塩らしい水樹のことを見て俺は思わず頭に手を伸ばして撫でてしまった。
「あ、ごめん。なんだか、昔飼っていた犬に似てたから」
水樹が大きな目をさらに見開いて俺のことを見つめてきた。
「もぅ、そんなことされたらまたスイッチ入っちゃうじゃん」
「さすがに今日はもうやめてくれ」
「分かった」
初めてだったので体力のことなど考えずにただただ気持ち良くなることだけを考えていたので、さすがに今日はもう限界だった。
「ねぇ、私のこと軽蔑してない?」
「軽蔑? なんで? しないでしょ。こんなに美人で、エッチなギャルとか最高じゃん」
もう取り繕っても意味ないと思って俺は素でそう答えた。
「そりゃあ、性欲強くて驚きはしたけど、そんなことで軽蔑するわけなくない?」
「本当に?」
「しないよ」
「じゃあ、またスイッチ入っても許してくれる?」
「まぁ、許すんじゃないか」
「マジ!? ありがとう!」
水樹が勢いよく抱き着いてきて、俺はベッドに押し倒された。
そして、ぎゅうっと抱き締めてきてキスをした水樹は俺の隣に寝転がった。
「てかさ、織部君。何かキャラ変わってない?」
「今は素で話してるからな」
「へぇ~。織部君の素ってそんな感じなんだ~」
ニヤニヤと笑った水樹が俺の頬を突いてきた。
「そっちの方が私は好きかも♡」
「そりゃあ、どうも」
「それにしても、まさか織部君とエッチをするとはね〜」
「それはこっちのセリフだっての。まさか、自分があの水樹紗羅に童貞を奪われるなんて思ってなかったって」
「えっ!? 織部君、童貞だったの!?」
体を起こした水樹が俺の顔を覗き込んできた。
「マジなの?」
「嘘ついてどうすんだよ」
「マジか〜。上手だったから、童貞じゃないと思ってた」
「残念ながら童貞だったな」
まさか初めてのエッチで五回戦もするなんて思ってもいなかった。
だからだろうか、お昼過ぎに水樹の家に来たはずなのにカーテンの隙間から外が少し見えたけど、薄らと暗くなっていた。
「そうだったんだ。なんかごめんね。私が織部君の童貞貰ってよかったの?」
「嫌だったら、本当に拒んでたよ」
「そっか。それならよかった」
隣から安堵の声とぐぅーというお腹の音が聞こえてきた。
「聞こえた?」
「お腹すいたな」
「もぅ! 聞かないでよ! 恥ずかしいじゃん!」
「いや、無理だろ。こんなに近くにいるんだから」
「そうだけど! そこは聞こえてないふりしてよ! もういい! 出前頼む! 織部君は何食べたい?」
恥ずかしそうに怒りながら水樹が俺に何を食べたいか聞いてきた。
「奢ってくれるのか?」
「迷惑かけちゃったからね。奢るよ。てか、時間とか大丈夫? ママに怒られたりしない?」
「大丈夫だ。一人暮らししてるからな」
「えっ!? 本屋では実家暮らしって言ってたじゃん! あれ、嘘だったってこと!?」
「まぁな」
「何で嘘ついたの!?」
「だって、絶対にめんどくさいことになると思ったから」
「ひどくない!?」
結局は水樹の家に来てしまって、エッチまでしてしまったから嘘をついた意味はなかったんだけど。
こんなことになるとは全く想像していなかった。
まさかこんなにあっさりと童貞を捨てることになるとは思ってもいなかった。
なんなら、三十歳まで守り切って魔法使いにでもなってやろうとさえ思っていた。
でも、あの快感を知ってしまったら、もう知らなかったあの頃に戻ることはできない。
「私のことどんな女だと思ってたの!?」
「ラブコメ風に言うと、距離感のバグったギャルかな」
「あながち間違ってないけど!」
水樹は両頬を膨らませて俺の胸元をポコポコと叩いてきた。
「次は織部君の家に連れて行ってよね!」
「嫌ですけど」
「もう決めたことだから! 絶対に織部君の家に行くからね!」
やっぱり水樹は距離感のバグったギャルだ。
俺の意見など無視をして勝手に俺の家に来る声ことを決定してしまう水樹。
まぁ、嫌というのは冗談みたいなものだので、別に家に来てもらっても構わないのだが。
「てことで、何頼む?」
「本当に奢ってくれるのか?」
「迷惑かけたのは事実だし、織部君の童貞貰っちゃたからね♡ 童貞卒業記念ってことで奢ってあげる♡」
そういうことなら奢ってもらうかと、俺は味噌ラーメンを頼んでもらうことにした。
「私も同じものにしようかな~」
そう言って水樹も俺と同じ味噌ラーメンを注文した。
「なんだか悪いな。ありがとう」
「いいって、どうせこれからもいろいろと迷惑かけることになるだろうし。さて、料理が届くまで天ラブでも読んでようかな~」
「ラーメンが来るまで二十分くらいだろ? 食べてからにした方がいいんじゃないのか? 絶対に中途半端なところで読むのを中断することになるだろ」
「確かに~。それもそうだね。じゃあ、ラーメンが届くまでもう少しイチャイチャしとく?」
「今日はもうしないって言っただろ」
「ちぇ~。残念」
水樹は全く残念そうにせずケラケラと腹を抱えて笑った。
「まぁ、織部君は今日が初めてだから、今日のところはもうやめといてあげるかな~」
「そうしてくれ」
「え~じゃあ、ラーメンが届くまで何する~?」
「そうだな……天ラブの話でもするか?」
「あり! めっちゃいいじゃん! そうしよ!」
ベッドの上で飛び跳ねた水樹。
相も変わらず裸なので、水樹が飛び跳ねる度におっぱいが、ぶるんぶるんと揺れていた。
男というのは不思議なもので、疲れ果てていても、おっぱいを見るだけで元気になってしまうらしい。
「ねぇねぇ、この子はまだヤりたいって言ってるよ?」
それを見た水樹がニヤニヤと笑って優しく触ってきた。
「もう無理だって言ってるだろ。てか、服を着てくれ」
「残念ながら、私は家では裸族なので服は着ません~」
「一人の時はそれでもいいけど、俺と一緒にいる時は頼むから服を着てくれ」
「え~どうしよっかな~」
「服を着れくれないなら、俺はもう帰るからな」
「それは嫌! 仕方ないな~。織部君と天ラブの話したいから服着るか~」
「そうしてくれると助かる」
水樹は服を取って来るね、と寝室から出て行った。
寝室に一人残された俺はベッドに寝転がった。
天井を眺めながら、苦笑いを浮かべた。
「まさかこんなことになるなんてな」
これから先、水樹とどんな関係性になるのか分からないけど、俺は今日の事を一生忘れることなないだろう。
そんなことを思っているとラフな部屋着姿の水樹が寝室に戻ってきた。
☆☆☆
「クラスメイトのギャルがラブコメ好きだった件」了
次回更新は8/31(日)になります。
次回は「完璧超人の生徒会長もラブコメ好きだった件」編になります。
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