第39話 初スタメン

四月下旬。

 俺はついに東京レイダースの一軍スタメンに名を連ねた。打順は四番、一塁手。監督からオーダーを渡された瞬間、全身が震えた。

 「お前は長打で試合を決める選手だ。思い切って振れ」

 その言葉を胸に、グラウンドへ向かった。


 一回裏、二死一塁で俺の初打席が回ってきた。

 観客の視線が突き刺さる。相手は150キロを超える直球が武器の右腕。初球、ストレートを見逃してストライク。二球目、外角スライダーを空振り。

 追い込まれたが、三球目をフルスイング。

 「カキィン!」

 打球はセンターの頭上を越えてフェンス直撃。ランナーが一気に生還し、タイムリーツーベース!

 プロ初スタメンで初打点。拳を握り、ベンチを見やると、勇気が笑顔で手を振っていた。


 七回裏、ベンチから勇気の名前がコールされる。プロ初代打。スタンドの雰囲気が変わった。

 相手は左のリリーフ。初球のカーブを冷静に見送り、二球目のストレートに狙いを定める。

 「カキィン!」

 打球は三遊間を抜ける鋭いゴロ。俊足を飛ばして一塁を駆け抜ける。判定はセーフ!

 勇気のプロ初安打は、代打での記念すべき一打となった。


 塁上で笑顔を見せる勇気に、スタンドから大歓声が送られる。ベンチで見ていた俺も、胸の奥が熱くなった。

 「勇気……やっぱりお前はこういう場面で強いな」


 試合後、ロッカールームで勇気が笑いながら言った。

 「太陽、初スタメンで打点か。俺も代打でやっと一本出せた。ここからだな」

 「そうだ。俺たちはまだ、始まったばかりだ」

 その言葉に、二人で力強く頷き合った。


 プロ初スタメンでの初打点。代打での初安打。

 小さな一歩かもしれないが、確かに俺たちのプロ人生は始まったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る