一月五日(モラ逃げ一三五日目)、仕事始め。

 今日でモラ逃げ一三五日目だ。正月明けの月曜日なので仕事始めの人も多いだろうが、私にはまだその仕事すら見つかっていない。


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 朝食後に今度は兄が発った。兄にも弟にも県外に自分の家と仕事があるのだ。

 福島の家はまた四人に戻った。


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 午後に次女と散歩がてら郵便局に行った。私は通帳記入して次女はお年玉で好きな切手を買った。

 子供たちの定期預金は通帳を家に忘れてしまったので明日以降にまた窓口に行って手続することにする。


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 昨日電子書籍で買ったTOEICの過去問題集を隙間時間に解く。

 画像問題と一問一答問題の正答率は上がったが、やはりまとまった文章の聴き取りは相変わらず弱い。

 ただ、横浜で暮らしていた頃は、夫はとにかく私の土日の自由な外出には制限を掛けた上に就活や資格試験の勉強には徹底して非協力を貫いたため(私に離婚話を自分からしてきておきながらこちらが就職活動すると『お前の職探しなんか遊んでいるのと同じ』と貶された)、今はTOEICを受験できること自体が有難い。

 離れてみると、夫がいかに私の自立を妨害して彼に依存させ、逃げられないようにして好き放題いたぶるのを楽しんでいたかが良く分かる。

「学生の頃も引き留めて来るこいつなんかさっさと捨てて上海に留学してればもっと普通話も何とかなっただろうし、上海語も少しは解せるようになっただろう」

「五年事実婚してダメだったんだから、引き留めてくるこいつなんかその時にぶった切れば良かった」

「そもそも、私、最初からそんなにこいつなんか好きじゃなかったよな」

「しつこく言い寄って来て金持ちだから付き合っただけだ」

「本当に好きと思えたことは結局一度もなかった」

「一緒に暮らせば喋ってても『俺は頭いい』マウントばかりしてこちらの知識や能力をひたすら矮小化してくる退屈で小さい男だった」

「最終学歴からすれば私より下のくせにオッサンになっても御三家出たことを鼻にぶら下げているバカ男」

「中国語のマウントはしょっちゅうしてきたけど英語はまず喋ってんの見たことないから御三家の割には出来なかったんだろうな」

「英語圏に旅行したいとこちらが何回言ってもスルーだったし、私より出来ないとバレるのが嫌だったんだろう」

「長く一緒にいるほど、こいつとの旅行ってつまんねえ上に苦痛だったな。朝は起こしてやんなきゃいけないし、移動中もずっとゲームしてるからせっかく綺麗な風景が車窓に見えても話すこともないし、気紛れにこっちを無視したりするし。それで帰ってくれば盛大に恩着せられる罰ゲームみたいな遠出。楽しかったのは好き勝手やって恩着せてた本人だけだ。こっちは恩着せられた分だけ余計に鼻について嫌になった」

「あの人と一緒というだけでどこでも針の筵になったし、何を食べても不味くなった」

 考えれば考えるほど、自分が長い年月でどれほど本心では彼を軽蔑して嫌っていたか、どちらにも愛情など無い結婚生活だったかが良く分かるのが辛い。


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