【1日記 前半】妄想は案外叶ったりする

その日は、やけに日差しが眩しい気がしていつもよりだいぶ早そうな時間に目が冷めた。

鼻をくすぐる草木の香りに、まぶし太陽…

いつもの寝具と、抱き枕。

何かが詰め込まれているであろうエコバック…

そして、間違いなく外な背景…

「夢…?」

高らかに音を立て、顔を叩いたがジンジンする。

イコール現実。

イコール…スウウウウ…

「…いやっ!どこここっ!!!!!!」

ほんっとコレ。

マジでここどこなん案件。

え?日本?

…ではないですよね?はい。

ド田舎でももうちょい田んぼとか何やらあるし、田舎や山の近くにあんな…

あんな西洋風の建物ないしッ!?

「って…アレ城?」

よーく見てみると、近くにある西洋風の建物はファンタジーよろしく的な雰囲気の城…

そのうえ、立派な外壁にそこそこ賑わってそうな城下…

え?これって、もしかしてもしかするんじゃない?!

私の頭ん中に有り得ないけど、状況的に有り得そうなことが思い浮かぶ。

「ここって…異世界ファンタジーじゃねぇぇえぇぇえぇぇえ!?!」


一時的にめっちゃ興奮して、ちょっと落ちつ…

いやまぁ?全ッ然落ち着けはしないんだけど、一応マシになったとして。

「やっぱ、異世界的展開ならは言わなきゃだよね〜!」

私はめいっぱい期待を膨らませ、息を吸い込む。

「ステータス、オーーーープンッ!!!」


シィーン…


「あ、あれ?え、ステータスオープンッ!ステータスオープンッ!!!」

ステータス画面…デナカッタ……

え?ここ異世界だよね?

地球じゃないよね?

へ?もしかして外国説アルコアトルってたりする???

「はぁ…とりま、エコバッグの中身確認でもするか……」

枕横に置かれたエコバッグを開くと、中には最近集めてた垢抜け系スキンケア用品や見覚えのないスマホ、ちょっと豪華なお泊まりセット一式に、お気にのちびぬいぐるみまで…なんか色々入ってた。

その中でもいっちゃん気になったのが奥底にあった手紙。

「私調べのお約束では、これが神様的存在からの事情&世界観説明する系手紙な・ん・だ・け・ど〜?」

しんちょーうに、でもどこかゆっるい感じでピラっと開けると…

よっしゃぁあぁぁッ!あったりぃ♪

手紙の初っ端に書かれた〝どうも。神です☆〟は確定演出すぎるって!

「まぁ?ひとまず?読み上げますかッ!」

私は意気揚々と手紙を読み始める。


「〝どうも。神です☆

この度は異世界御旅行プランにご当選おめでとーございます!

エマさんにはこれから約3年間そちらの世界で生活をしていただきます。

世界を救うも良しッ!スローライフを送るも良しッ!チートを極めるも良しッ!な自由度MAXの異世界生活です。

どうです?楽しみでしょう?

念の為、Zな世代の貴女が生きやすいようある程度のものはこのエコバッグの中に入れときました。ド〇えもん的四次元エコバッグですから、荷物のご心配は無用です!

これを読み終わった後、すぐに一つ願いを思い浮かべて下さい。

やれ魔法チート、やれ戦闘チート、やれ農業チート、やれ特別職…

なんでもいいです。

一つだけ 、叶えてさしあげます。

転生チートってやつです。

あと、エコバッグに入っていたであろうスマホ。

それを使えば30日に一度、ご家族やお友達へ連絡を入れることが出来ます。

色々便利機能搭載しといたんで確認しといて下さい。

それではッ!良い異世界ライフを!!!〟」


読み終わると同時に紙は謎に光って消えた…

「…ラッキーだな、私。って、そうじゃないそうじゃないっ!願い事考えなきゃ!!!」

なんか、マジでそれっぽい手紙でポカーンとしちゃったけど願い事速攻で考えなきゃじゃん!

「一つだけ…一つだけ……うーーーーん………」

現代人なら一度は憧れる魔法?

それとも近接戦最強な戦闘チート?

あれば強いだろうけど…

主人公強すぎもアレだし、どーにもしっくりこない…

「帰ってからこの事を物語にすることを念頭に置くと…やっぱ、しかないっ!」

私は物語の主人公の絶対条件にして、シンプルイズ最強な力を願ってみることにした!


「《私・四葩 秋麻にこの星、この宇宙、この異世界1最強最高な幸運ラッキーを下さいなっ!》」


私は空に両手を掲げながら願った。

すると…


--------------- 旅行者特典・一ノ願イヲ受理シマシタ --------------


「お?」

謎な天の声的声が脳内に響いたかと思えば、なんか、身体が発光しだした。

コレが、特典GET時限定演出…なのか?

よく分からないが、暫くすると光も収まった。

特に身体に影響がある感じはしないけど…

まぁ、あるあるだよね?

「よし!スマホ確認しよー。マーホス♪マーホース♪っと。」

さっき広げた荷物をしまいつつ、スマホを手に取る。

薄く輪切りにされたドライフルーツがレジンかなんかでくっつけられた感じのスマホケースに入っていて、大きさは両手で持ったときの手の開き具合によって自由自在っぽい。

デフォのスマホサイズはもちろん、タブレットやモニターサイズ、ミニスマホサイズ…

マジで大小好きにできるなコレ。

「んで?肝心の中身は…と。」

スマホのロックを解除すると〝はじめまして〟の一文が表示された。

普通〝こんにちは〟なのに〝はじめまして〟って、異世界仕様っぽいな…

どうやら初期設定は済んでいるようで、電話番号やL◯NE、メール、Gメール、連絡先などは地球から引き継がれているらしい。

ポイ活アプリやマップ系も全部異世界こっち仕様になってる…

便利ィ〜。

設定を見てみると、翻訳アプリの常時起動ってやつがオンになってる。

スマホの翻訳アプリって、写真や打ち込んだ文章を外国語や日本語に直すやつだった…よね?

常時起動って、どゆこと?

まぁ、ある程度このスマホやここに慣れたりするまでは設定いじんないようにしとこ。

「なんかあって時に設定戻せるようにスクショスクショっと。」

一通り設定画面をスクショし終わったら…


いざ征かん!最初の街!!!

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