第13話 天流

ドルメルの森

ラウス「コウテイ!!そっちいったよ!」

コウテイ「おう!」

"炎弾ファイヤボール-"

コウテイが向かってくる獲物に狙いを定め

魔法を放つ。

「キュウウウウン…」

獲物(ロッドラビット)は小さな声を

あげながら倒れた。

デン「ナイスー!」

追撃しようと走っていたデンとフイルが

戻ってロッドラビットを掴み上げる。

フイル「にしても相変わらずきめぇ

見た目だな」

ロッドラビットは皮が溶けたように腐った

兎の魔獣だ。攻撃力などは低いが、

その速度はC級に似つかわしくない。

ラウス「これでやっと7体目だぁぁ…」

現在ラウス達はD級への昇級試験を

受けていた。デリー討伐によりラウスと

デンは特例で飛び級が許されたのだ。

昇級試験の内容は

ロッドラビット七匹、陸鯨二頭の討伐だ。

コウテイ「うぇ〜…あと陸鯨やん…だる…」

デン「そんな嫌なの?」

陸鯨は大型の車サイズの茶色の鯨のような

魔物だ。潮の代わりに泥を撒き散らして

足場をとってくるのが特徴である。

コウテイ「あいつら僕の炎を泥で

消してくるんよ。

やから絶対にやりたくない」

コウテイは苦虫を潰したような表情で

眉間にシワを寄せている。

ラウス「確かに炎は土に相性悪いもんね。」

フイル「じゃあ陸鯨は俺が殺ってくる。

お前らは待ってろ」

フイルはそう言うと森の奥に歩み始める。

ラウス「待って」

フイル「ん?どうした?」

ラウス「俺もついて行きます」

それだけ言うと剣を手に持ち、

フイルの隣に駆け寄る。

フイル「陸鯨ぐらい別に心配しなくても…」

ラウスはじっとこちらを向いている。

真剣なようだ。

フイルは仕方無しに同行を許可した。

デン「いってらっしゃーーい」

───☆───☆───☆───

ラウス「…先生」

しばらく森を進みラウスが口を開く。

フイル「どうした?」

ラウス「デリーの時のあの剣…教えてくれる約束でしたよね?」

ラウスが付いてきた理由はあの時のフイルの

剣技についてだった。

フイル「あぁ。そういえば

教えてなかったな。あんとき、

刀身が伸びたように見えただろ?」

ラウス「はい。デリーの身体に

吸い付いたみたいに…」

フイル「あれは俺が編み出した剣術、

"天流"だ」

フイルの天流の説明は以下の通りだ。

1.天流とはフイル独自の剣術である。

2.身体の関節を柔らかくし、

 攻撃できる距離を伸ばす。

3.腕を大きく回転させることにより威力を

 上げる。

4.身体の負担が大きい。

ラウス「…それ、

俺も使えるようになりますか?」

フイル「なんだ、

お前も天流をしたいのか?」

ラウスはコクリと首を曲げる。

フイル「無理だろうな」

ラウス「!!」

フイルは端的に答え、言葉を続ける。

フイル「俺とお前じゃスペックが違う。

筋力の差もあるが、1番の理由は

俺の関節が生まれつき柔らかかったからだ。

どれだけお前が筋肉を鍛えても身体を

柔らかくしても、再現は無理だ。」

フイル(これは仕方ないことだ。天流は

俺だけの剣技、ラウスは成長したら、

ラウスだけの剣技が出来上がる。)

ラウス「そう…ですか…」

ラウスは肩を落とし下を向いた。その時、

ゴゴゴゴゴ…と低い地響きが辺りに響く。

そして地面が震えだす。

フイル「…?なんか音が…」

ラウス「!危ない!!」

───☆───☆───☆───

デン「なにこの振動!?地震!?」

コウテイ「しかもデカないかこれ!!」

コウテイの小柄な身体は地響きに耐えれず

座り込んでしまった。と、ラウス達の

行った方向の森から遠くからでも

見えるほどの大きさの薄茶色の何かが

盛り上がってきた。

デン「なにあれ土!?」

コウテイ「違うあれは…"陸鯨"だ!!」

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