小豆の騎士
音無來春
小豆の騎士
西暦20XX年。
地球は外宇宙生命体NATTOによって侵略されていた。
ネバネバした粘着性の粘液を放ち、小型の粒が連なった異形の怪物。
そして人類は、絶体絶命の窮地に立たされていた。
『警報! 警報! NATTO襲来 NATTO襲来』
けたたましい警報が基地内に鳴り響く。
どうやら市街地に奴らが現れたようだ。
「NATTOめ! 小豆部隊、出動!」
隊長の号令と共に隊員たちは一斉にコックピットへ乗車する。
そして向かうは、超大型冷凍保存庫。
一体一体の機体が、そこに眠る薄茶色の武器を掴みだす。
AZUKIBA=。
未知なる敵に対抗するための、旧人類が残したオーバーテクノロジー。
その硬度は、敵の体を容易に粉々にしてひきわりにしてしまうほどの強力な武器である。
「全軍、出撃!」
パワードスーツに身を包んだ機動部隊は、一斉に市街地へ飛び立った。
先頭にいるお調子者のエダノが、回旋しながら AZUKIBA=を振り回す。
「見ててくださいよ、俺が一番に奴らを一網打尽にしてやります!」
「待て! 早まるな!」
隊列を崩して先行するエダノ。
隊長の制止も聞かず、ネバネバの化け物の元へ特攻を仕掛けた。
その体の小さな粒をAZUKIBA=で押しつぶす。
「PIGIIIIIIIIIII!」
悲鳴と共に一体の小型NATTOを圧殺。
その後も次々と敵を倒していく。
「しね! しね! ソラの仇だ!」
彼は恋人、ソラを昔NATTOによって撃たれ、亡くしていた。
その憎しみを晴らすために、狂ったようにNATTOを殲滅し続ける。
だが。
「PIGII……」
敵の一体に、ワラワラとほかのNATTOの残骸が寄り集まっていく。
これは。
「だめだ、離れろ! エダノ!」
ひきわりになったNATTOたちがよせ集まって、巨大ネバネバ怪獣KINGNATTOに進化した。
隊長の叫びも虚しく、エダノの機体が巨大なNATTOによって捕食される。
「ぐわあああああああああああああああ!」
「エダノ! エダノぉ‼」
コックピット内にエダノの悲鳴が響く。
また一人、大切な仲間を失ってしまった。
「くっ、クロダ隊長、このままじゃ!」
「落ち着けエンドウ。かくなる上は、あれを使うしかあるまい」
隊長の声が、重々しく響く。
「ま、まさか……あの伝説の!?」
「そうだ、旧人類が残した最終兵器。OSIRUKOキャノンだ!」
冷凍保存庫の底が唸りを上げ、巨大な砲塔がせり上がってくる。
内部には大量のAZUKIBA=が投入され、瞬時に加熱されていく。
溶けた餅エネルギーが触媒となり、ドロリとした光が砲口に収束する。
「発射準備、完了!」
「目標、KINGNATTO!」
そう、AZUKIBA=は……。
OSIRUKOになるのだ!
砲口から迸ったのは、赤黒く煮えたぎる奔流。
しかもただのビームではない。
熱々のOSIRUKOが怒涛の奔流となり、街を焦がしながら放たれたのだ。
ジュウウウウウゥゥゥゥ‼
驚異的な熱量に包まれ、KINGNATTOの体が煮崩れていく。
ネバネバの糸が一瞬にしてカラメル化し、香ばしい匂いが街に立ちこめる。
「な、なんて兵器だ……!」
「エダノ、ソラ、仇は打ったぞ……」
かくして、地球の平和は救われた。
だが甘き勝利の味の裏で、我々は決して忘れてはならない。
散っていった仲間たちのことを。
そしてまだNATTOの脅威は去っていないことを。
真の平和が訪れるその日まで、小豆の騎士の戦いは続く。
この作品は、井村屋株式会社を、応援しています。
小豆の騎士 音無來春 @koharuotonasi
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