荊の森でみる夢は

ミナト

荊の森でみる夢は

泣きたくて泣けない子どもが草原で代わりに叫ぶ「狼が来た」


0時すぎガラスの靴で立っている夢のかたちに痛むつま先


頑張ればなんでも叶うと信じてた過去のわたしといま泡になる


宝石を運ぶつばめは知っているいっときだけのやさしさと果て


長かった私の金髪お好きでしたか塔の上にはもういませんが


呪われたカエルとなって歩く夜 星はとおくて地はつめたくて


毒林檎つやつやの赤に映るのは世界でいちばん孤独なわたし


ほんとうに忘れちゃったのお兄ちゃん二人で魔女を焼いたくせして


雪の夜にマッチを数えて考える わたしはどこで道あやまったの


助けなどいらなかったの目醒めなどいらなかったの百年の森

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