第3話 村での歓迎とアロマの驚き


森を抜け、冒険者の男性に案内されて村に着くと、木造の家々と石畳の道がのどかに並ぶ広場に出た。小鳥のさえずりが聞こえ、子どもたちが無邪気に駆け回っている。心なしか、森よりも香りが優しく、穏やかに感じられた。


「ここが、私の新しい生活の場所……かも」少し緊張しつつも、胸が高鳴る。


広場の中央に立ち、村人たちに自己紹介することになった。人々は好奇心いっぱいの目で私を見つめる。肩の力を抜くため、ポケットから小瓶を取り出す。ラベンダーとオレンジスイートを数滴、手のひらで軽く振ると、甘く爽やかな香りが空気にふわりと広がった。


「わあ、なんて良い香り……」村人の声に、思わず私も微笑む。香りが自然と場の緊張をほぐし、初めて会うはずの人たちがほっとした表情になったのだ。


子どもたちは目を輝かせ、大人たちは鼻をくんくんさせながら笑顔になる。森で感じた香りとはまた違う、温かく優しい香り。ラベンダーの落ち着く甘さと、オレンジスイートの爽やかさが混ざり合い、まるで歓迎の手紙のように人々の心に届いている。


「ここなら、私もゆっくり過ごせそう」胸の奥で、ほっと一息つく。香りはただの匂いではなく、人の心をつなぐ魔法のようだ。


村の老夫婦が近づいてきて、にっこりと笑いながら小さな手を差し出す。香りの余韻と村人の笑顔に包まれて、私は自分がこの村で受け入れられたことを実感した。知らない村での歓迎は、香りのおかげで一気に温かくなったのだった。


本日のハーブ

ハーブ/香り:ラベンダー、オレンジスイート

効果:緊張ほぐし、リラックス

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