この電車は、どこへ向かうのか? 恐怖と感動が交差する、心温まる物語。

物語の序盤から、終電の描写が巧みに重ねられ、日常の疲れを映し出します。しかし、人身事故のアナウンスが流れる瞬間、一転して非日常の世界へと読み手を引き込みます。

この作品の最大の魅力は、美咲と姉・彩花の強い絆にあります。黒い影の恐怖に直面した美咲を、「目を閉じて」という優しい一言で救い、さらに死後もなお美咲を見守り続ける彩花の存在が、物語全体を温かく包み込んでいます。

そして、「温かい風が部屋を通り抜けた気がした」という情景描写が、姉の存在をそっと感じさせ、感動的な余韻を残します。恐怖と愛情が絶妙に調和した、心が救われる素晴らしい作品でした。