第6話 森崎千鶴
私は久保田千鶴
旧姓は森崎
夫と一緒に実家の近くの公営団地に内見に来た。
そう学生結婚、そして妊娠
もっと青春を謳歌したかったけど
やさしい夫と出会えて今は幸せ。
新しい命を授かったし…
夫とは六甲山で知り合った、元カレに捨てられて山で途方にくれていたけど
夫に助けられた。
そしてSF大会でプロポーズされた。
テニス同好会で夫とダブルスを組んだわ。
夫がジゲキで脚本を担当するようになって端役だけど舞台にも立った。
薫さん、朱美さんは輝いてたな。
私も一緒に舞台に立てて嬉しかった。
夫は双眼鏡で団地の公園で子供が遊んでるのを見たり
山を見たりしている。
山に城跡があるんですって見えるのかしら?
夫が突然ベランダからこっちにきた。
「猿を見た。チンパンジーに見えた。
もうここを離れよう」
そういった。
チンパンジー?
夫は公団の敷地を出てタクシーを呼びに行った。
私は公園のベンチで待っているようにと
身重の私を動かしたくないらしい。やさしい。
そうするとウトウトしだした。
やはりストレスが溜まっているのかしら…
目の端に黒い葉が落ちた木が見える。
えっ抱きかかえられている?
何人もの腕で胴上げされているの?
公園の樹に向かっている。
暗転
森の中なの?
あきらかに空気が違う・・・
たくさんの目
小人?
チンパンジーだわ!
何で?
山から下りてきたの?
その奥に仮面を被った大きなゴリラが!
いえオラウータン?
ああっ
正気を保てない・・・
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