第2話 山の頂上に続く一本道

門を開くと山の頂に続く一本道があった。

あったのはあったのだが…

はたしてこんな直線でなだらかとはいえ山頂まで幅3メートルの道が

存在するのか?

あたりを見回すと人骨が至る所に捨てられていた。

門の裏をみると爪で掻きむしられたのような傷跡が無数にある。

閂の支えはあるが肝心の閂(かんぬき)がない。

門の両脇は空堀になっていた。

森と堀の隙間を出っ張った部分の壁の方に向かって歩く。

壁の裏の空堀は3メートルの幅がある。

堀の深さは1メートルか…つまりは6メートルの絶壁が続いているのだ。

この事実は樹に登って壁は越えられない事を意味する。

見通すと微かだが終わりが見える。半里ほどして直角に壁が見える。

門の方に戻って

もう一方も同様の造りで半里ほどして直角に壁が見える。

つまり一里の空間を壁で結界にしているのか?

日本の山で一里の平らな丘があるのか?

あるのだろうがそこは観光地にならないか?


バタンと門が閉まった。

予想はしていたが罠に嵌まったようだ。


山の頂上から

ブォォォォン

嘶きが聞こえる。

何かが山の頂から下ってくる。

地響き立てて…


俺と達公は慌てて近くの大木に登った。

女達は別の山道に走り去ってしまった。

マズいぞ!

俺達は怪異に向かって大声をあげた。

俺達はここにいるぞ!!


それが正解かどうかわからないが

そうするしかないだろう。

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