山の怪異・心霊アルバイト外伝

稲富良次

第1話 異界の門

「これより日本の法律は適用されない」

そんな立て札がその門の高札に書かれてあった。

長く続く壁、その高さ5メートル

こんな山奥にその壁が延々と続いていた。

遠くに滝の轟音が聞こえる。

その九十九折りの道を離れて奥まった山道を上がると、この壁はあった。

そしてその塀ごしに歩いて半里ほど…やっと曲がり角というか凸部分を歩いて

しばらくして鳥居がありそして門、その脇に高札

つまり左右の両方とも壁で袋小路に門があるのだ。

朱塗りの門は中華風とも日本風ともつかない。


両開きの門の扉を押すと

開いた。


「どうする行くか?」

「当然でしょ、ここまで来て戻れる?」

「俺は行くぜ…止めるなよ」

「この門をくぐるもの一切の希望を捨てよ」

「なんだそれ?」

「ダンテの神曲、地獄編の最初の方」

「死地に赴くは活也とも」


四人は扉の中に入った。

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