第6話 別離
トレミィ:「ねぇ、エディ。この先にさぁ、ゴブリンたちが隠し持ってるお宝が眠ってる気がするんだよね〜」
トレミィは、まるで宝石でも見つけたかのように目を輝かせながら、エディを見上げた。
エディ:「……盗賊のカンってやつか?」
エディは眉をひそめつつも、苦笑いを浮かべる。
トレミィ:「そんなとこかなっ! エディはここで待っててよ。ちょっくら、行ってみてくるから!」
胸を張って宣言すると、トレミィはぴょんと跳ねて岩陰に向かおうとする。
エディ:「行ってみてくるって……何かあるのかい?」
エディは怪訝そうに問いかける。トレミィの突飛な行動には慣れているが、油断はできない。
トレミィ:「盗品の中にさ、もしかしたら一発逆転狙えるような、とんでもないアイテムがあるかもしれないじゃん!」
その言葉に、トレミィの瞳はさらに輝きを増す。
エディ:「……でもなぁ」
エディは腕を組み、眉を下げる。ゴブリンがうろつく洞窟内を単独で突っ込むなんて、無謀にもほどがある。
トレミィ:「大丈夫だって! 危なくなったら、すぐトンズラするから!」
トレミィはへへっと笑い、手をひらひらと振る。
その無邪気な笑顔に、エディは思わずため息を漏らした。
エディ:「……うーん。君一人で行かすのはなぁ・・・・。」
確かに、先ほどの戦闘でのトレミィの動きは悪くなかった。ゴブリンの攻撃を捌くくらいはできるだろう。だが、それでも一人で行かせるのは気が進まない。
トレミィ:「エディ。そんな弱気じゃあ、いつまでたっても借金まみれだよ?いいの?」
トレミィはニヤリと笑いながら、エディの顔を覗き込む。
トレミィ:「……それを言われると、弱い……かも」
エディは肩を落とし、思考の沼に沈んでいく。借金――その言葉は、彼にとって最大の呪文だった。
トレミィ:「さあ、どうする? 乗るか反るか、決めるのはエディだよ?」
トレミィは悪戯っぽく笑いながら、エディの決断を煽る。
エディ:「くっ……うぬぬぬ……!」
エディはまるで人生の岐路に立たされたかのように、苦悶の表情を浮かべた。
その時、洞窟の奥の通路から、不穏な声が響き渡った。
ゴブリン:「オ、イタゾ……!」
ゴブリン:「ニンゲン、ココニイタ……!」
二体のゴブリンが、よだれを垂らしながら姿を現す。
トレミィ:「やばっ、戻ってきた!」
エディ:「……ちっ、言わんこっちゃない!」
エディとトレミィは即座に武器を抜き、息の合った連携でゴブリン二体を瞬殺する!だが――
ぞろぞろ……ぞろぞろ……
奥からは、さらに大量のゴブリンの群れが押し寄せてくる気配が、肌で感じられた。
エディ:「まずいな……」
トレミィ:「こうなったら、やるしかないね。!」
エディ:「はぁ!? ちょ、待てっ――」
トレミィはぴょんと身軽に跳ねると、風のように元来た道を駆け戻っていく。
トレミィ:「足止めよろしく!」
遠ざかるトレミィの声に、エディの額には怒りと焦りの血管が浮かんだ。
エディ:「……マジかよ、あいつ……。くそっ、しゃーねぇ、やるか!」
エディは剣を強く握り締め、迫り来るゴブリンの群れに向かって、たった一人で踏み込んでいった――!
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