第3話 旅する理由
トレミィ:「ところで、おっちゃん。こんなとこで何してんの?まさか、衛兵クビになったとか?」
トレミィがニヤリと笑いながら、いたずらっぽく問いかける。
エディ:「エディだ。衛兵はもう辞めたよ。今は君と同じ、冒険者さ」
エディは肩をすくめ、苦笑いを浮かべながら答えた。
トレミィ:「えー。衛兵やめっちゃったんだ。もったいないね。衛兵長にまでなったのにさ。」
トレミィは残念そうに表情を曇らす。
その様子に、エディは一瞬言葉を詰まらせるが、やがてポツリとつぶやいた。
エディ:「副衛兵長だけどな。」
トレミィ:「えっ、そうだっけ。」
二人は微笑みあった。
エディ:「……大金が必要になってね」
トレミィ:「大金?」
トレミィが首をかしげる。
エディ:「借金ができちまってさ。衛兵の給料じゃ、どうにもならなくてな」
エディは苦々しい表情で、ぽつりと告白した。
トレミィ:「それで、冒険者になったんだ」
トレミィの声が少しだけ静かになる。
エディ:「そういうことだ。衛兵の経験も活かせるし、一攫千金も夢じゃないと思ってな」
エディは笑ってみせるが、その笑みにはどこか疲れが滲んでいた。
トレミィ:「そっか……大変なんだね。」
エディ:「・・・・」
トレミィはしょんぼりと肩を落とす。
トレミィ:「でもさ、ぼくは嬉しいよ!」
トレミィはぱっと表情を明るくし、キラキラした瞳でエディを見つめる。
エディ:「嬉しい?」
エディは顔をしかめる。
トレミィ:「エディとこうしてまた会えたんだもん。しかも同じ冒険者としてだもん、最高だよ!」
トレミィの笑顔に、エディの顔がふっと和らぐ。
なんとなく、それまでの苦労が和らいだような気がした。
エディ:「そうだな。」
彼は目を細め、トレミィの無邪気な笑顔に、静かに微笑み返した。
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